パークハイアット東京宿泊記・大都会の異空間、このホテルの魅力を語る【2020年版】

【この記事は私がこれまでパークハイアット東京に滞在してきた記録をもとに構成したものです。最後の更新は2020年9月時点での情報なので、場合によっては現状と一致しない場合もあります。予めご承知おきください】

東京には数多くの超高級ホテルが軒を連ねていますが、そのなかでもトップクラスの洗練と快適さを誇るものとして「パークハイアット東京」を挙げることに異論のある人は少ないでしょう。このホテルの接客は全体にきわめて丁寧で、ハイアットタッチとして知られる、都会的かつフレンドリーなおもてなしを受けられることも魅力のひとつです。

ちなみに私がハイアットのロイヤルティプログラムであるゴールドパスポート(現在のWorld of Hyatt)の上級会員を目指そうと思った第一の理由は、このホテルの存在にあると言えます。それはもちろんホテル自体のレベルの高さもありますが、その特典の充実度の高さも非常に素晴らしいと考えるからです。

今回はこのホテルの魅力について語っていくとともに、World of Hyatt のグローバリストの特典情報についてもリポートしてまいります。なおこのホテルの魅力的なスイートの宿泊記もよろしければぜひご覧いただきたいものです。

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レストラン・バーと施設の内容について

パークハイアット東京のレストランとバーは次のようになっています。

  • ニューヨークグリル New York Grill:グリル料理
  • 梢 Kozue:和食
  • ジランドール Girandole:オールデイダイニング・ブラッセリーフレンチ
  • ニューヨークバー New York Bar:ジャズバー
  • ピークバー Peak Bar:モダンバー
  • ピークラウンジ Peak Lounge:オールデイラウンジ・アフタヌーンティー
  • デリカテッセン Delicatessen:軽食のテイクアウト・イートイン

よく知られているニューヨーク・グリルはこのホテルの最上階に位置しているシグネチャーレストラン。併設されているジャズバーとともにこのホテルらしい洗練を存分に味わえる場所です。また料理のレベルもかなり高く、和牛のグリルのメインはもちろん、スターターのシーザーサラダに至るまで、とにかくその深い味わいはやみつきになります。また和食の「梢」やオールデイダイニングの「ジランドール」についても、外界から隔たれつつ、このホテルの全体的な雰囲気と見事に調和しています。もちろんこれらのレストランで頂く料理の質もニューヨークグリルに負けず劣らず良いものです。

エントランスからの高速エレベーターでホテルに入り、最初に訪れることになるピークラウンジとピークバは対称的なな位置にあり、その高く開放的な天井はまるで空に吸い込まれるかのような迫力があります。ここは本当にどこのホテルにもない特異な空間だと思います。

さらにスパ(フィットネスとプール含む)・ビジネスセンターなどの高級ホテルには欠かせない施設もしっかりそなえており、しかもそれぞれがこのホテルの世界観の中に完結しているところも素晴らしい。また同じビルの地下にはコンビニエンスストアや薬局、本屋などがありますので、簡単な買い物には困ることはありません。ラーメン屋やとんかつ屋といったローカルなレストランも同じ地下街に位置しているのでこちらで食事するのもよいかもしれません。

ホテル全体の雰囲気

東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ。

高村光太郎は、その最愛の妻である智恵子の会話を「あどけない話」という表題の詩にこんなふうに残しています。智恵子は故郷の福島の安達太良山にかかる空を恋しく思い出すが、高村は慣れ親しんだ東京の空を「むかしなじみのきれいな空だ」という…同じひとつの空を見上げながら愛し合うふたりのささやかな断絶。そんな東京の空を見上げる人たちのまなざしは、いまも変わらない。それゆえ今もこの詩がどこかしら私たちの心を打つのかもしれません。

パークハイアット東京からみる「空」です。このホテルは映画「Lost in Translation」にも取り上げられた、なにか宿泊する人をストーリーに巻き込むような雰囲気のあるホテルです。

エントランスからのエレベーターを降りると、まず目に飛び込んでくるのはこの植物園のような空間。空が近いのになぜかそこには地上の落ち着きがある…ここに来るだけでもなにか特別な気持ちになります。このインパクトは言葉以上のものなのでぜひ一度は体験していただきたいものです。

エントランスでチェックインすることを告げると、慇懃だけれどとても親しみやすいベルスタッフにいざなわれて奥の方へ。これからどんな部屋が待っているのだろうと心高鳴るときです。

長い廊下を通っていくと、このようなライブラリースペースに出ます。ひときわ奥まっていることも手伝って、隠れ家の入り口のような雰囲気すら漂います。なおここに置いてある本は貸してもらって部屋で読むこともできるそうです。この奥にフロントとコンシェルジュデスクがあります。

エントランスから一番奥にあるエレベーターに乗って客室のあるフロアまでくると、淡い緑色を基調に黒いフレームと鏡張りの空間。1994年の開業当初から基本的なデザインを変えていないということでしたから、まさに「タイムレス」な魅力を感じずにいられません。さりげない場所にもホテルの哲学が生きている。都会的で洗練されていながら、どこか浮世離れした隠れ家のような落ち着きがあります。

World of Hyatt・グローバリスト特典

パークハイアット東京のグローバリスト特典は次のようになっています。

  • スタンダードスイートまでの客室のアップグレード
  • バー「ピークバー」での「トワイライトタイム」を無料で参加可
  • オールデイダイニング「ジランドール」で朝食が無料
  • スパ「クラブ・オン・ザ・パーク」の利用が無料
  • 16:00までのレイトチェックアウト
  • 特典宿泊であれば駐車料金も無料

これはその他のハイアット系列のホテルにも共通する特典なのですが、グローバリスト会員はもっとも安い客室を予約してもアップグレードが得られます。クラブラウンジのあるハイアット系列のホテルであれば、ラウンジでのカクテルアワーがどこでも設けられています。しかしパークハイアット東京にはクラブラウンジがないので、その代替としてフリーフローの「トワイライトタイム」が利用できます。

デラックスキングルーム宿泊記

※この部分は2018年10月の情報です※

このマルチデスクに腰掛けるだけでも、このホテルに滞在してよかったと思うものです…隣の部屋から見えないように細かくスリットが入った窓。せっかくの高層階なのにこちらからは景色がよく見えない。しかしむしろ見えないことでかえって落ち着いた空間が実現しています。

そういえばこの部屋、以前はパークデラックスルームと言っていたように記憶していますが、最近名前が変わったのかもしれません。ちなみに同じデラックスキングルームという名前の部屋でも、場所によって間取りにいくつかの種類があるようです。

清潔感あふれる真っ白なベッドです。やわらすぎず、かたすぎず、この上でひたすら本を読んでもいいし、外のことを忘れてひたすら寝続けるのもいい…またまわりを見渡せばグリーンの床にベージュの壁、そして真っ黒な家具。色づかいもとても洗練されつつ、また不思議と落ち着く空間でもあります。

琴をイメージしたコーヒーテーブルとソファ。

この部屋にはネスプレッソマシンもあるし、Bluetoothスピーカーもあります。他のホテルにあって、このホテルにないものはないと言って良いほど、高級ホテルに備えておいてほしいものは一通り揃っている印象です。

本当に黒が映える客室です。

客室に辞典や小説がさりげなく置いてあって、しかもそれが立派にインテリアとして成り立ってしまう空間の妙は他の追従を許さないといえるでしょう。

次はバスルームをみてみましょう。コの字型にシャワーブースとトイレが配置された間取りになっています。磯に横たわる人の絵がとても強烈なバスルームです。ちなみに向かい側にはテレビがあるのですが、天井近くの配置となっており、見上げるような形になります。

バスタブの横にはアメニティがこのように置かれていました。

いまではときどき使うくらいですが、はじめて泊まった時にはこのヘチマをみて妙に感動したものでした。なおバスソルトは白檀の香り。薄い和紙のような袋に入っており、香りもとても上品なものです。Aesopのボディーソープに白い石鹸。白い石鹸はなんの変哲もないように思われるのですが、数種類の花がブレンドされたような淡いけれど、爽やかな香りです。外から帰ってきてこれで手や体を洗うと、なぜだかほっとします。

洗面台はダブルシンクではありませんが、きわめて清潔感のあるものです。Aesopのボディクリームは柑橘系の爽やかな香りでしっとりとしたテクスチャ。ふんわりしたタオルはフェイス・ボディ・バスタオルの三種類が備えられ、しっかりとした重みのあるバスローブもかけられています。

シャワーブースは最新式のものではなく、レインシャワーもありません。この点は同じ東京のハイアット系列でもグランドハイアットやアンダーズに軍配が上がります。しかしユニークなボディシャワーというものがついており、当時としては(いまでも)斬新な仕様になっていました。

アメニティはAesopに統一されています。

ボディクレンザーはマンダリンとベルガモットという柑橘系を極めたようなもの。比較的粘り気が強いのですが、洗い上がりはしっとりするものです。シャンプーとコンディショナーはAesopのClassicシリーズ。シダーウッドとローズマリーが使われているのですが、ふんのりミントのような香りもあり、非常にさわやかです。なお洗い上がりはややごわつくかもしれません。コンディショナーは5分くらい置いてから流すことが推奨されています。

客室にはAesopのフェイシャルケアセットも置かれています。またスパ・フィットネス施設の「クラブ・オン・ザ・パーク」に置かれているものもAesopで統一されています。高級ホテルであっても、スパ施設のアメニティにまでは気が回っていないところが多い中で、さすが、と思わず唸らされます。

客室がよかったり、サービスがよかったり、あるいは最近であれば、テーマ性が面白い…様々なホテルがあります。近年の日本のホテル開業ラッシュの中にあって、個性的なホテルが以前にもまして数多く登場してきているように思います。しかし私にとってパークハイアット東京はやはり数々のホテルの中にあっても特別な空間であり続けてきましたし、そうそうこの気持ちが変わることもないように思います。もちろんこのホテルにまつわるいくつかの思い出がそうさせている面もあるのですが、ホテル全体としての完成度の高さがやはり圧倒的だと思うのです。

洗練された空間やスタッフのサービスレベルの高さとともに、それらすべてがひとつの世界観として成立してしまう。ここに滞在することはただの「宿泊」というものを超えた「経験」だと思うのです。いつもチェックインするたびに変わることのない心地良さと新しい刺激に驚き、チェックアウトのたびに、きっとまたここに戻ってこようと思うのです。

キングルームに滞在した

※この部分は2019年10月の情報です※

ホテルの目指すところのひとつの目安には「A Home away from Home」という言葉があります。まるで自分の家のような場所。パークハイアット東京のピークラウンジなどに足を運ぶと、自分の家のような場所というには程遠いような、とても「よそ行き」の空間が広がっています。

しかし有名なライブラリーを抜けると、途端に静かで落ち着く場所になっている…なにか魔法にかけられたように急に外界から隔たれた隠れ家のような静けさがそこにはあります。エントランスからエレベーターに乗ってピークラウンジ、そして長い回廊を通って、ライブラリー。そのさらに奥にはレセプションカウンターやコンシェルジュデスクがあり、さらにその奥まで行ってエレベーターに乗って、良い意味で閉塞された廊下の奥に客室がある。言葉にしてもまわりくどいアプローチですが、この長さと手間によって生み出される落ち着きは様々なホテルと比べても一線を画すものだと思うのです。

この日はパークハイアット東京で最も狭いこの「キングルーム」で一夜を過ごすことに。宿泊客が数多いせいか、久々にアップグレードは一切なし。むしろ客室が確保できただけでも奇跡的だったようです。

ゆっくりと落ち着いて部屋に戻り、ベッドに腰掛けて、ふと、もの思いに耽りました。このホテルに初めてひとりで滞在した日のこと…あの日もこの客室タイプの部屋でした。薄曇りの日で、たしかあのときも仕事やら人間関係やらで疲れきっていて、これまで名前は知っていたけれど、滞在したことのなかったこのホテルに泊まってみようと思い立ったのでした。

ベッドルームからバスルームに至るまで…本当にどこまでも洗練されたデザインのホテル。それまでだっていわゆる高級ホテルに滞在した経験がなかったわけではありません。しかしこの空間はちょっと他のホテルとは違ったのです。

いや、もしかしたら、心が疲れていたから、余計にそんなふうに非日常に浸る経験を美化してみたのかもしれません。それでもふとこのバスルームに白檀の香りのバスソルトを入れて、ぼんやりとテレビを見ているうちに、なんだか日常のあれやこれやが些細なことに思えてきたのです。

バスローブに着替え、窓から見える東京の夜景をひとり眺めながらストロベリーアイスクリームを1スクープ注文しました。シャーベット状にした苺のしゃりしゃりとした気持ち良い食感とさわやかな酸味、そして濃厚なミルクの味わいと、すこしもちもちした手作りのアイスクリームならではの贅沢な口当たり。

そしてすっかり心が穏やかになっている自分に気付く…本当に素晴らしいホテルは、日常という文脈から自分自身を切り離してくれるものだ、ということを強く感じた体験でした。

改めてみると、このキングルームはコンパクトながら、このホテルの魅力が凝縮されています。インテリアコードの秀逸さも、心が解けていくような居心地の良さも。テーブルやベッドやランプだけでなく、辞書やミニボトル…ひとつひとつのものが機能的に収められ、それぞれが空間を盛り立てる役者のようです。

この空間を本当の意味で「A Home away from Home」にできる、そのくらい気軽にこのホテルに来られるようになりたい。そんなことを考えていました。まだその領域に達しているとは言えませんが、少なくとも、このホテルは私の人生の段階に寄り添ってくれる場所にはなりました。

朝も昼も夜も窓の外の東京の空とデスクの天板が見つめ合う…この部屋の窓際のデスクは本当に心地よいものです。仕事でひとりで滞在しているときも、誰かと一緒にゆったりとした時間を過ごしにくる時も、変わることなくそこにある光景。

平均的なホテルの部屋から見たら広いこの部屋。しかし実際の広さよりも狭く感じます。しかしその狭さは決してイヤな狭さ(ホテルの価値は部屋の広さでは決まらないと私は思います)ではありません。洗練された様々なアイテムが計算されて配置されていて、唯一無二の空間が出来上がっています。このホテルの魅力を最小限に凝縮するとこの狭さがむしろちょうどいいのではないかとすら思います。

久々に帰ってきたこの客室は、私にとってのパークハイアットというひとつの体験の原点でもあったのでした。

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