名古屋マリオットアソシアホテル宿泊記・20周年記念のデラックスツインで過ごす出張後の夜

久々に出張で名古屋に行くことになり、滞在時間は僅かながらもホテルの選択権は私に与えられている。そのような状況となったときに、すでに私の心はひとつのホテルを向いていました。開業からちょうど20周年(もう少し新しいホテルという先入観を持っていた私にとって、2000年5月開業というのは軽い驚きの気持ちがありました)を数える「名古屋マリオットアソシアホテル」がそれです。

駅直結という利便性の高さに加えて、Twitterを眺めていると、しばしばここのホテルが登場することもあって、きっと多くの人に愛されているに違いないという思いがありました。せっかくそのようなホテルなのだから、じっくりとホテルステイを堪能したい気持ちもありましたが、今回は時間の制約で断念しました。しかしそれでも随所に感じられたこのホテルの魅力についてリポートしてまいりたいと思います。

チェックイン

東海道新幹線で東京駅から名古屋駅まで一直線。ちょうど新型の新幹線車両N700Sのデビューが話題になっていて、僅かに期待をしていましたが、今回は従来型のN700A。それでも十分に快適で滑らかな走りを見せてくれ、熱海からの海(先日のひらまつの滞在を思い起こしました)も、雲より姿を見せた富士山も、浜名湖の湖面も望みながら、気持ちよく名古屋までの移動をこなしました。

駅に着いたらそのままホテルのエントランスまで歩きます。新幹線の改札口からは反対の方向にあり、少しだけ距離がありますが、やはり利便性は高いと感じます。

エレベーターで15階まで行くと、水の流れる音。獅子の口から水が流れるクラシカルな雰囲気漂うエリアを抜けて、フロントまで行くと、この季節ならではの七夕飾りが華やかでした。チェックインはこの左手にあるカウンターで行います。担当してくれたスタッフは凛とした佇まいが印象的な方で、必要以上でも不足でもない、ちょうどいい分量の案内をしたうえで、私にルームキーを渡してくれました。

ホテルの入っている高層ビルはもちろん極めて近代的なのですが、このロビーを見渡してみると、往時のグランドホテルのような趣があり、その違いがおもしろいと感じました。最近のホテルであれば向かうであろうモダンな路線に振れずに、あくまでもこのような雰囲気を強く打ち出していく姿勢は好ましく、落ち着いた世界観を実現しているように思われました。

デラックスツイン

今回は最もスタンダードな客室を予約していましたが、デラックスツインへとアップグレードをしてもらえたようです。

客室の広さはまったく問題のないゆとりがあり、インテリアコードもすっきりと上品な色合いでまとめられています。ベッドボードのベージュやかなり明るいブラウンに、淡い青色のカーペットという組み合わせは、程よくモダンな印象を与えながら、同時にクラシカルな雰囲気も醸成するのに寄与するのでしょう。このような世界観はこのホテル全体に貫徹されているようにも思われます。テレビの横には三面鏡のついたドレッサーもありました。

久々のツインベッドタイプでしたが、さすがマリオットらしく硬さのバランスやシーツの肌触りがとても気持ちよく、寝心地は非常に快適でした。

窓から見下ろすと、新幹線や在来線の列車が行き交う名古屋駅の様子が見て取れて、見飽きることがありません。また遠くまでずっと続いている名古屋の街並み。改めて大きな街なのだということを実感させられます。楕円形のデスクはルームサービスの食事にも使えるし、もちろん仕事などでパソコンや書類を広げるのにも十分に堪えるものです。淡い色合いの絵が間接照明に照らされていて、落ち着いた雰囲気もあり、個人的にこの客室で一番気に入った場所でもあります。

残念ながら最新設備の用意はないし、正直なところ、個性の際立つ感じや、ラグジュアリーホテルらしい高級感にはやや乏しいように思われました。しかし独特の優しく落ち着いた雰囲気があり、居心地の良さはかなりのものだと思いました。

Bluetoothスピーカーはありませんが、ネスプレッソは置いてあります。またコンプリメンタリーのミネラルウォーターやティーバッグの用意などはしっかりしています。

バスルーム

続いてバスルームをみてまいりましょう。今回滞在したデラックスツインの場合は、バス・トイレは分離されていないためにすべてが同じ空間にあります。これは時代性を考慮すると仕方がないことではありますが、最近のホテルの潮流からすると、やや古さを感じてしまうところです。

ライトやベイシンの意匠などには高級感を演出しようとする意志を感じられます。しかしシャワーカーテンも省略されたやや狭いバスタブの作りや、細かなところに古さを感じてしまいます。シャワーブースも特にレインシャワーなどはなく、ハンドシャワーのみ。水圧もさほど強くはありませんでした。割り切って利用すれば特に問題ないのかもしれませんが、バスルームに関する限り、個人的に快適とはいえません。

バスアメニティはTHANNで揃えられています。やや甘い柑橘系の香りが印象的なソープバー。そしてシャンプー・コンディショナー・ボディウォッシュ・ボディローションの4点セットに加えて、ハンドウォッシュも用意されていて、充実しています。なお香りはジンジャーのようなオリエンタルな香りも立ってきて、洗い上がりの印象も悪くありません。

開業20周年記念の雪豹・出張後の夜と朝

ホテルに荷物をおいたらすぐに出かけます。そのまま仕事をこなして、夜に名鉄電車で名古屋駅まで戻ってきました。

名鉄百貨店のあるあたりの出口からふと見上げると、小雨で燻る夜のホテルの全貌が見えました。夜の黒さを焦がすようなほのかに赤い光を照らす白く巨大な建物に、なんだか頼もしい気持ちになりました。行き交う人で賑わっている駅周辺の喧騒とは異なり、ホテルのエントランスは人がまばらで静かな雰囲気。仕事帰りにホテルに戻ってきたときのあの安堵の気持ちをさらに高めてくれたことは言うまでもありません。

バスルームでシャワーを浴びて、バスローブに着替えたら冷たい水とアイスクリームを食べたくなるのはいつものこと。このホテルのルームサービスでは明確に「ハーゲンダッツ」と書かれていて、潔さを感じますが、保冷用に金属容器に入れて持ってきてくれるあたりに心遣いを感じます。

今回は母から頼まれて連れて帰ることになっていた、このホテルの開業20周年を記念していた雪豹くんを共にして、静かな夜のひとときを過ごします。どうして出張で疲れたときに食べるアイスクリームってこんなに甘美なのでしょう。

翌朝早く目を覚ますと、外はまだ雨とも曇りともつかない、もやもやした空模様。しかし身支度を整えて朝食に向かいます。名古屋のホテルの朝食というと種類も豊富で楽しみなイメージがあります。しかしいまはコロナウイルス感染拡大という社会情勢の中で、セットメニューのみの用意となっていました。

15階のフロントに程近いダイニング「パーゴラ」で頂きます。

オムレツにフレッシュジュース。そしてサラダにペストリー。おもしろいのはバジルマヨネーズやサルサソースに加えて、名古屋らしい味噌ソースが用意されていたことです。これをオムレツに塗るという実験的な試みをしてみましたが、なかなか美味しいものだと個人的には思いました。ひとつひとつの料理自体の質も高く、満足度は高いものでした。

ロビーから出ると、開放的な空中回廊のようになっていて、向かいの大名古屋ビルヂングを正面にして、実にパノラミックに広がる名古屋の街の朝の景色。この頃には雲も薄くなってきていて、空の青さが見て取れるようになっていました。それから程なく昼過ぎにはこのホテルをチェックアウトして、名古屋の街を後にしました。

私にとっては初めての滞在となった「名古屋マリオットアソシアホテル」でしたが、全体的にホテルに求めるものがバランスよく揃っている印象でした。またモダンな装いのなかに、クラシカルな趣を随所に感じさせるところや、現在の名古屋ではトップレベルのグランドホテルとしての矜持も思わされるところがあり、どっしりとした安定感がありました。今回の滞在を通じて、改めてこのホテルが多くの人に愛されているという認識が裏付けられた思いです。今回は時間があまりありませんでしたが、また機会を得たときにはきっと、フィットネス・プールや様々なレストランを堪能したいものです。

フォローお待ちしています