スクリーンの向こう側に〜ハイアットホテルズの滞在を思い描く

あまり外出しない日々を過ごしています。仕事はもとより、プライベートな人と人とのやりとりもオンライン化してみて改めて感じることは、自分は自分が思っていた以上に、誰かと直接会うことでたくさんのものを得てきたのだということでした。画面の向こうに相手の顔が映る。声が聞ける。文字で必要な情報を伝えることはできる。しかしそこにはなにかしらの欠如したような違和感が残ってしまうのです。ふと私がかつて日本とヨーロッパの間で遠距離恋愛をしていたころの、つながっているがゆえのもどかしさを思い起こしました。

ホテルにどれほど素晴らしいハードが用意されていても、そこにいる人と人の交流が満たされたものでなければ意味がないと常々私が思う感覚は、こうした誰かと「直接向き合うこと」で得られる様々な感情の交換に下支えされていたのかもしれません。いまの不安定で鬱屈した情勢が改善されたら、また新しい旅へと出かけていこうと強い意欲を燃やしていますが、そのときにはこれまで出来ていた直接的な感情の交換のあたたかさや豊かさを噛み締めたいと心から思うところです。

いまはそんなことを思いながら、このスクリーンの向こう側にある様々なホテルのページを眺める日々です。今回はそうしたホテルに対する思いを綴っていきたいと思います。

パークハイアットニセコHANAZONO

今年はじめの開業から、ずっと行きたいと思っていて、結局行くことができず仕舞いになっている「パークハイアットニセコHANAZONO」。白銀世界のなかに佇むモダンな空間で寛ぐのも素敵だな、などと思っていながら、東京からのアクセスが必ずしも良いわけではないので、雪解けに車を走らせてしばしの滞在をしたいと思っていたのでした。

写真で見た印象からすれば、いかにもハイアットらしい、すっきりと洗練されたラグジュアリーを感じさせる客室がまずどのような雰囲気なのかを体験したい欲に駆られます。それと同時に興味深いのが、パークハイアットなのにダイニングの種類がかなり多いということ。自然豊かな北海道の味わいを生かしたミシュラン三つ星レストラン「モリエール」や、金沢・ひがし茶屋街に鎮座する「鮨 みつ川」。この2店舗だけでも相当に魅力的なのに、さらに炉端焼きや中華料理。カジュアルなイタリアンやピエール・エルメ監修のパティスリーを楽しめるデリ…食道楽を堪能するには十分すぎるほどです。

ウインタースポーツで盛り上がる冬はもちろん、夏であっても、羊蹄山を抜けていく爽やかな風を感じながら深呼吸したり、軽やかなサイクリングなども楽しみたい。あるいはまったく気が抜けたように、プールや温泉付きスパをはしごしながら、ホテルの中でゆったりとした時間を過ごしてみたい。非常に多面的な楽しみ方がここではできるはずだという確信に近い期待を込めて、訪ねる日を心待ちにしているところなのです。

グランドハイアット東京

ぴかぴかでつやつやの石造りの床やモダンアートが配された空間。ハイモダンで多国籍的な雰囲気のあるレストランの数々。全体的にダークな世界観のフィットネスエリアはどこまでも格好いい。東京にあるグランドホテルの中でもトップクラスの刺激的なホテルだと思います。ダウンライトとストーンが印象的な雰囲気のエントランスに車を横付けして、顔馴染みのスタッフに鍵を預けて、グランドクラブに足を運ぶときの高揚感はこのホテルの世界観に裏打ちされたものでしょう。

こちらのスイートルームの快適性は言うまでもないのですが、個人的にいま一番泊まりたいのは、スタンダードなキングルーム。非常に機能的でありながらも、モダンで洗練されたハイアットらしいラグジュアリーを随所に感じさせる部屋です。六本木ヒルズ森タワーを正面にして、パーシャルビューで東京タワーを望むこの部屋で、持ち込んだ仕事を片付けたり、映画を観たり、夜食を取ったり…なにげないことに特別なニュアンスを添えるここに、いま妙に心焦がれる気持ちです。

ハイアットプレイス東京ベイ

ときどき無性に訪ねたくなる不思議な魅力をもったハイアットホテル。そもそも立地からして面白く、ディズニーリゾートで知られる舞浜地区からやや離れた浦安市明海地区にあります。周辺にはホテルの他にも新興住宅地や大学のキャンパスなどがあり、清潔でカラフルな建物に取り囲まれているのです。自然に生成されたリゾート地をひとつの極とするならば、こちらはそれとは対照的な人工的なリゾート地。しかしその人工的な雰囲気が妙に非日常的で面白いと思うのです。

ここではまだ滞在したことのないテラス付きの客室に滞在したいものです。ディズニーリゾートに行くわけでもなければ、周辺に特に用事があるわけでもない。このホテル自体が目的地になるように、というコンセプトがあったように記憶しています。しばらくこちらにも訪問していないけれど、無目的的にふらりとここのホテルステイを楽しみにいきたいものです。

パークハイアット東京

言うまでもなくここはひとつの完成された世界です。今年のはじめ、いまのような情勢になる前にここに滞在できたことは幸いでした。そしてまた情勢が安定してきたら、またこの浮世離れした空間で優雅な時間を過ごしたいことは言うまでもありません。エントランスからピークラウンジに上がってきたときのあの開放感。ライブラリーを抜けたあとのあの静謐。細部にまでこだわっている洗練された空間美。どんな季節のどんな時間でも素晴らしい体験ができるホテルだと思います。

ここからみる夜景は格別です。いまは消沈してしまっている東京の街が、再び気力を取り戻し、この部屋の灯りを落としてその様子を感じとることができる日が早く訪れることを願わずにはいられません。

ハイアットリージェンシー横浜

オープン予定が当初よりも遅れていて、ようやく2020年の5月に開業する予定となっていたこちら。ホテルの所在地は、著名なみなとみらい地区や再開発の進む馬車道地区と、明治時代以来横浜らしさを牽引してきた関内・元町地区の間に位置しています。完成予想図などをみるかぎり、客室は近年のハイアットリージェンシーらしい清潔感あるインテリアコードですが、きらきらした屏風風の壁などが取り入れられた「遊び」の要素も少し感じ取れます。またスペシャリティレストランの「ミラノ・グリル」では横浜の歴史と文化に焦点を当てた創作イタリアンを堪能できるようです。

こちらのホテルのオールデイダイニング「HARBOR KITCHEN」のテーマは「豪華客船」とのことで、料理の内容はもちろんですが、その内装の雰囲気をどのように演出するのかも気になります。少し離れたところにあるふたつのIHG系ホテルがともに豪華客船にインスパイアされたインテリアになっているのですが、ハイアットテイストで同じテーマに挑んだ時に、どのような世界観が出来上がるのかも注目したいところです。

個人的には色々と思い入れの深い土地である横浜にできるハイアットということもあり、はじめての訪問を指折り数えていたところでした。いまの情勢が続いていたら予約もキャンセルせざるを得ないかと思いますが、一刻も早く収束して、心置きなくこの新しいハイアットホテルに滞在したいものです。

 

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オンライン会議の時間も近づいてきたし、ひとまず今日のところのハイアット語りはここでお仕舞いとしましょうか。またこの続きは改めて綴ってみたいと思います。家の書斎から窓の外をみると麗かな春の青空が広がっていました。ふさぎこんだ気持ちになりがちかもしれませんが、どうぞくれぐれも健康にお過ごしください。

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