ハイアットリージェンシー厦門五縁湾宿泊記(2)〜朝食&レストラン紹介

前回は「ハイアットリージェンシー厦門五縁湾」の客室を紹介しました。シンプルなモダンチャイニーズという雰囲気を持ったなかなか素敵な空間でしたが、こうしたインテリアコードはレストランにも通じています。今回はこのホテルの「マーケットカフェ」での朝食の様子と、広東・福建料理レストランの「Xiang」での飲茶ディナーの様子をリポートしてまいります。

ハイアットリージェンシー厦門五縁湾の朝食

まずは朝食の様子からご紹介してまいりましょう。

1階から2階にかけてはこのように吹き抜けになっており、磨き上げられた床やブラウン系のインテリアコード、そしてところどころに配された陶器や石材がチャイナモダンな空間を演出しています。こうした洗練された空間づくりは近年オープンしているハイアットリージェンシーに共通するもので、個人的にはかなり好きなインテリアの方向性です。

朝食は右手前の階段下に入り口がある「マーケットカフェ」にてブッフェ形式で取ることができます。なおWorld of Hyattのグローバリスト会員は無料で利用することができます。

まずはジュースのコーナーですが、オレンジやキャロットの他に西瓜やマンゴーなどのジュースが用意されているのが、南方の福建省にあるホテルらしい特色といえましょう。その他に数種類の牛乳や豆乳などもありました。

ペストリーはハイアットらしく質はなかなかのものです。種類は取り立てて多いというわけではありませんが、それでもゴマのパンや2種類のパンオショコラなども用意されており、満足度は高いと思います。

ペストリーコーナーの一角にはこのようなホットブレッドのコーナーもありました。ワッフルやマフィンなどの定番のものに加えて、当地の名物であるエッグタルトが置いてあるのが嬉しいところでした。

ホテルの朝食のものなので、質はどの程度なのかと思っていましたが、食べてみるとこれがとても美味しいものでした。サクサクとした表面の香ばしさはしっかりと際立っており、中のカスタードクリームは甘すぎないバランスのとれたもの。卵特有のクセもなく、すっきりとした仕上がりはさすがだと思いました。

こちらはホットミールのコーナーです。アメリカンブレックファーストの必要条件は十分に満たされており、卵料理はライブキッチンで調理してもらえます。

ホットミールで特筆すべきは、やはりローカルの名物料理がいくつもあるところでしょう。やや甘辛い豆腐の炒め物やふわりと塩味がついているインゲンとキクラゲの炒め物などは非常に美味しいものでした。

台湾などでも見かける「鹹豆漿」も用意されています。油条をつけていただきます。

またこのようなヌードルバーもありました。麺の種類も小麦麺・米線・翡翠麺など様々にあり、スープもシンプルなチキンベースのものと魚介系の出汁で辛味のあるものの2種類が用意されています。ここに黒酢や花椒油などを加えることでさらにバリエーションを増やすことができます。

また麺に入れる具材も叉焼や青梗菜などが用意されており、好みに応じて入れてもらうことができます。

私は翡翠麺(太くて喉越しがよい)をチキンベースで、煮込んだ牛肉と青梗菜を入れてもらいました。ちょっとした牛肉麺の趣をもったものができあがりました。ここにアクセントで花椒油を加えると、すーっと突き抜けるような後味を引かない爽やかな辛さが加わります。

我ながらこの組み合わせは成功でした。

他にもヨーグルトやフルーツなどをいただきました。結論から言えばもう大満足の内容で、すっかりこのホテルい対するイメージも良くなりました。

ダイニング「Xiang」での飲茶ディナー

続いてこちらのホテルのディナーについてもご紹介しましょう。

先ほどの吹き抜けのロビーの2階部分にこのホテルの広東料理・福建料理のレストランである「Xiang」が位置しています。

ハイアットリージェンシー厦門五縁湾にレストランは、先ほどの「マーケットカフェ」とここ「Xiang」があり、その他には「閩吧(Min Bar)」というラウンジ・バーがあります。ホテルの公式ページには、その他にも「ラウンジ」と「Noodles」というお店があると書いてあるのですが、どうやらそれが統合されて「Min Bar」になっているようです。このあたりはまだ更新されているので念の為ご注意を。

ちなみにこちらのその「Min Bar」のエントランスの様子です。

今回はリーズナブルに食事ができるところを探していて、最初は公式ページの情報を頼りに「Noodles」に行こうと思っていたのですが、すでにMin Barとなっており簡単な食事しか出せないということ。そこで案内されたのがこのホテルの2階にある「Xiang」でした。

レストラン「Xiang」の入口には、このように中国茶の喫茶コーナーがありました。そこかしこにお茶のモティーフがあり、またホテルの中だけでも3件ほど黒茶や白茶、紅茶、緑茶など様々な種類の中国茶を扱うお店(しかもかなり洗練された雰囲気のもの)があります。これは福建省がお茶の一大産地であって、厦門はそのまさに中心的な都市のひとつであることとも関係があるのではないかと思います。

お店の入口からもふわりと上品なお茶の香りが漂ってきていました。

店内の雰囲気はこのようにかなりチャイニーズモダンです。しかしあまり重厚すぎるということもなく、程よい軽さがあります。

中国風のインテリアはともすると重厚なものや、豪華絢爛なものになってしまいます。あるいは逆に軽やかなものを目指すと安っぽい中華料理屋みたいな雰囲気にもなってしまい、その中間くらいの空間を作り上げるのがとても難しいのではないかと思います。

しかしここ「Xiang」のインテリアコードは、程よい軽さを持ちながらも上品な雰囲気が漂っており、伝統的なものにハイアットのモダンなセンスがうまく混入したような雰囲気なのです。またここのスタッフの方達は一様に満開の笑顔で応対していてとても気持ちよく、非常にサービスの水準も高いものだと思いました。

席につくとまず「どのようなお茶にしましょうか」というリクエストを聞きに来てくれました。お酒を飲まない私にとってはこのようにノンアルコールの選択肢が非常に広いというのは非常に嬉しいことです。

またワインペアリングなどのようにお酒に合うように料理が考えられている、というよりも、お茶を選んで、それに合わせておすすめの料理をスタッフの方達と話合いながら決められるというのも感動的でした。このお店についたのはすでに閉店が近い時間帯だったにも関わらず、嫌な顔ひとつせず、丁寧に食事の説明やおすすめの組み合わせなどを説明してくれて、とても満たされた気持ちになりました。このことだけでもこのホテルの評価が自分の中でかなり高まったことは間違いありません。

今回は当地の名品のひとつである安渓鉄観音を選びました。

新緑のような爽やかな香りが強くでますが、飲み味はまろやかでほんのりと甘みがあります。また金木犀のような華やかなのにどこか儚げな残り香が印象的なものです。

こうした料理に合わせて、料理も色々と選んでもらいました(スタッフと一緒に選んだ)。

割と鉄観音はどんな料理とも相性がいいのですが、酸味の効いたものや、あっさりとした味わいに特に相性が良いようです。酢豚はかりっと香ばしく、パイナップルと野菜から出る自然なあまみと酸味のバランスが絶妙。

その他にもスターアニスで煮込んだ豚肉を包子に詰め込んだものや潮州式の野菜煮込み。そして厦門式焼きそばなどを注文しました。潮州式の野菜煮込みは魚介出汁が非常によく効いており、青梗菜や人参、椎茸といった野菜と厚揚げにしっかりと旨味が凝縮されていました。

また厦門式焼きそばは、もしマレーシアに行かれたことのある方であれば馴染みがあるかもしれませんが、いわゆる「ホッケンミー」(シンガポールにもありますが、あちらは塩味がベースになっているので異なる)と呼ばれるものと同じです。やや太めの縮れた麺を野菜やエビなどの魚介類と一緒にやや甘めの黒醤油で炒めたもの。黒醤油の濃厚な甘みと心地よい塩気、それがまさにシャキシャキした野菜と魚介類から出る味わいと絶妙に混ざり合っていました。

さほど分量は食べませんでしたが、それでも大満足で店をでました。これはもちろん料理のクオリティが高かったこともありますが、スタッフの非常に親切でフレンドリーな対応の素晴らしさが大きいものです。

まとめ

このようにご紹介してまいりましたが、個人的にはこちらのハイアットリージェンシー厦門五縁湾はかなり素晴らしいホテルだと思いました。

客室の雰囲気やレストランの質は下手な国内のホテルよりもはるかに高い水準にあると思いますが、概ね日本円で1泊1万円程度で宿泊することができます。

難点としては市街地や主要な観光地からはやや離れたところにあるという点です。厦門市には地下鉄やBTSなどの公共交通機関が整備されていますが、このホテルの周辺はまだ開発されていないので、移動の中心はタクシーになると思います。このあたりに抵抗感のある方にはあまりお勧めできません。しかし厦門高崎国際空港からはほど近い距離により、少なくともタクシーでぼったくられたりしたことは一度もありませんでした(治安は良い方だと思います)。またショッピングモールに隣接しており、買い物に便利なうえにローカルな料理のレストランも結構入っているために便利です。またハイアットのグローバリスト修行(特に回数で)をするにも、非常に良い条件の整ったホテルだと思います。

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