KENJIさんとラグジュアリーホテルの魅力について語り合う・Clubhouse配信の記録1

食べる・泊まる・癒すが好き。そんな私にとってラグジュアリーホテルはすべてが揃う場所です。必然的にこれまでずっとラグジュアリーホテルを渡り歩いてきました。それまで完全に個人的な楽しみであったホテルステイ。しかしひょんなことからはじめたこのブログとTwitterを通じて、ホテルを軸にした様々な交流が生まれたのは、思いがけない喜びでした。こうした写真と文章での配信活動も始めてから早いものでもうすぐ3年となります。そのなかで生まれたひとつひとつの交流は私にとってかけがえのないものです。

さてそれは今年の春先くらいのことでした。このブログの最初期からの読者であり、Twitterなどを通じて交流のあるKENJIさんからClubhouseでホテルの魅力を語り合う配信をしませんか?というお誘いを受けました。もともとKENJIさんの素晴らしい写真と紡ぎ出される物語のファンであった私は、このお誘いをとても光栄に思いました。またお互いにかなりのホテルラバーということもあり、直接お会いしたときにもマニアックな話がとめどなく続き、とても時間が足りなかったほど…ぜひやりましょう。毎回KENJIさんが選択する心地よい音楽をBGMにゆるやかに大好きなラグジュアリーホテルの魅力について語り合う、そして参加者の皆様には体験談や質問を寄せていただく…こうして私たちはClubhouseでの配信をスタートしたのでした。

先日おかげさまで第10回目の配信を終えてみて、じつに興味深い話やホテルの魅力に触れられる瞬間に満ちていたと思うのです。そこで今回このブログにて、そのすべてをお伝えすることはできないにしても、備忘録をかねて、記憶の及ぶかぎりでの内容(それゆえ話されていた内容と微妙に違ってしまっているところもあるかもしれませんが…)をリポートさせていただきたいと思います。

※本当はClubhouseに参加してくださっている皆様からも、非常に面白く、素敵な体験談をたくさん聞くことができたのですが、紙幅(というか個人的に文字起こしする力量)を超えてしまうし、その場かぎりの話の良さやプライバシーなどの諸々の観点から原則として掲載せず、基本的にKENJIさんと私の間で話したことを中心に記録しています。ご了承ください。

第1回:パークハイアット東京

記念すべき第1回のテーマに選んだのは、パークハイアット東京でした。不特定多数の聞き手の方たちに自分の声を届けるということは、これまでの人生で体験したこともなかったために、はじまるまえに拍動が聞こえるくらいに緊張していたことを思い出します。

そんななかで、KENJIさんと最初に話したのは、そもそもラグジュアリーホテルってなんだろう?ということでした。

普段なんとなく感じている心地よさや、心ときめくあの感覚を改めて言葉にしてみようとすると、伝わるような、伝わらないような、いま思い返してみても明確に説明するのは難しいものです。とりあえず私は「物語の中に入り込んでいくような特別な場所」というふうに表現してみました。日常の様々なことを括弧にくくってしまって、そこから離れていけるような場所。そんな非日常から力をもらえるのではないか?と思っています。これに対して、KENJIさんは、ラグジュアリーホテルをエクスクルーシブな価値体験の場所と表現されていました。なるほど、画一的ではない体験をしたときの優越感、そのかけがえのない時間の心地よさ…それが私たちをラグジュアリーホテルという場所にいざない続けるのかもしれませんね。

そんなこんなで始まったパークハイアット東京についての語らい。もうすぐ創業から30年にもなるこのホテルが愛され続ける魅力はなんだろう?そのひとつの答えについて、KENJIさんと私でゆるやかに見解が一致していました。それは「タイムレス」であるということ。KENJIさんはそれを「キープコンセプト」とも言い換えていました。開業当時のデザインコンセプトやストーリがブレることなく、現在進行形で生き残っている魅力。そうです。あの特徴的なエントランスに車をバレーパーキング(私は想像以上にバレーパーキングサービスの愛用者であることに、この会話の中で気づきました。笑)で預けて、だんだんと明るくなってくるエレベーターに乗り、ピークラウンジから客室へと進んでいくプロセスには、いつ行っても非日常の感動があります。同時に細かなことまでスタッフがよく覚えていてくれて、老練なサービスや時流に左右されない空間のもつなんともいえない落ち着きもあります。

パークハイアット東京の宿泊体験として、私は最近の様々なスイートの体験(よろしければぜひこのブログに掲載した記事もご覧ください)を話しましたが、参加者の皆様からも寄せられて興味深く思いました。普段Twitterを通じて交流のある方や、Clubhouseを通じて初めて話した方。それぞれの方にそれぞれの想いがあるのだという当たり前の事実。それを聞くことのできる嬉しさ。そんなことをしみじみと感じていました。

ちなみにKENJIさんは開業したばかりにパークハイアット東京に滞在しており、そのときにホテルという概念が音を立てて崩れたといいます。伝統的なフロントカウンターでのチェックイン、ではなくて、コンシェルジュデスクで座りながらチェックインする。そこからはじまって、このホテルの様々な建築的な魅力についての話を聞くことができました。そもそもこのホテルは3つのタワーで構成されているのですが、エレベーターを降りて、フロントデスクに行くためにはダイニングのジランドールの横を通って、3つのタワーの端から端まで長い水平距離を歩くことになるのです。そのシーンの連続性がじつになめらかであり、歩くたびに空間が移り行く流れの楽しさがあるといいます。それは建築的な制約が翻って空間の魅力になっている面白さであるとKENJIさんは言います。その実測値まで交えた話はじつに興味深いものでした。

そうそう、このホテルのアフタヌーンティを楽しむならば、冬の夕方がおすすめだという話も忘れずにここに記しておきましょう。富士山を望む西側。からっとした東京の青空が刻一刻と表情を変えて、グラデーションを描き、澄んだ空気のなかにキラキラとした夜景へと転じていく美しさ。そしてもちろんパークハイアット東京専用農園で育てられる大和茶、同じく茶園にこだわった紅茶(マカイバリは初摘みと秋摘みの両方を味わえる)、セイボリーやスイーツの素晴らしさはいうまでもありません。

個人的には世界で一番と言っても良いほど好きなホテルであり、KENJIさんにとっても思い入れの深いホテルであることもあり、話題は尽きず深夜まで及びました。いつかまた語り合いましょう。そういうことにして第1回の配信を終えたのでした。

初めてKENJIさんと直接会ったのもパークハイアット東京のニューヨークバーでした。こうしてブログを始めてからずっと会ってみたかった人にようやく会うことができた感動。思った通り、いや思った以上に素晴らしい人柄にパートナーともどもすっかり魅了されてしまったのでした。多くの人から引かれるくらいにマニアックなホテルの話が淀みなく続いていく…他にも色々な話をして大いに盛り上がったとても楽しい夜でした…いつかまたそんな機会も持ちたいものです。

第2回:日本国内のザ・リッツ・カールトン

第2回目のテーマは日本国内のザ・リッツ・カールトンでした。本当はどこかひとつ、たとえば、ザ・リッツ・カールトン東京でもよかったのでしょうが、あえて幅広く「国内の」というテーマにしたのでした。前回話しきれなかったパークハイアット東京のおすすめの客室、デラックスビュールームの話を最初に少ししたのですが、やはり2時間以上の時間をもってしても、ひとつのラグジュアリーホテルの魅力を語り尽くすことは到底できないということの裏返しなのだと思います。そんなわけでザ・リッツ・カールトンという素晴らしいホテルブランドについても当然のように限られた時間ではとても語り尽くせるものではありませんでした。

しかし、逆にひとつのホテルに絞らないからこそ見えてくるブランドイメージの話は興味深いものがありました。KENJIさんは言います。高級ホテルと言ってもプレミアムとラグジュアリーに分けられるのではないかと。豪華な体験をできる(=プレミアムな)場所というのは数あれど、やはり「そこでしか体験できない特別感」こそがラグジュアリーホテルと言えるのではないでしょうか。私はそれを聞いてはっとしたのですが、たしかにそのとおりで、単に高級な空間というのではなくて、そこにしかないホテルの世界観や空気感に心惹かれて旅をしているのではないかと思ったのでした。それはパークハイアット東京もそうだし、ザ・リッツ・カールトンにも言えることですね(ホテルブランドに定冠詞がついていることもその現れでしょうか?)。

私は当初このホテルブランドに対して、周辺の環境もホテル自体がもつ世界観も全く異なるのですが、わかりやすく高級感を打ち出すことに強いこだわりを持っているというイメージがありました。例えば、重厚感ある貴族の邸宅のようなクラシカルな雰囲気が全面に出ている大阪に対して、軽やかで明るい雰囲気が全面に出ている沖縄では別のホテルブランドのように一見感じられるかもしれません。しかしそれぞれの場所で打ち出せる高級感を、ときに過度なほどに演出されていて、それに圧倒される心地よさがザ・リッツ・カールトンにはあるように思うのです。KENJIさんはそれを地域性が色濃く注入されているローカリティ溢れるデザインのホテルなのだという印象と共に語っていました。

そういえばこのときに最も好きなザ・リッツ・カールトンはどこかという話題が出ました。

私は迷いながらも大阪を挙げました。外は現代的なビルなのに、重々しい扉を開くと、そこは別世界のようなクラシカルな空間が待っている…あの体験は何度行っても素晴らしいものです。ここは同ブランドではこれまでに最も多く泊まったホテルであり、祖父や家族との思い出、あるいはパートナーとの思い出…様々な記憶が織り込まれています。冬の清新な朝にビルの谷間のオアシスのようなプールで泳ぎ、心地よく目覚める朝の瞬間も堪らないものです。KENJIさんは息子さんとの思い出に彩られたザ・リッツ・カールトン沖縄を最も好きな同ブランドのホテルに挙げていました。息子さんが本当に幼かった頃からずっと滞在してきて、そのたびにスタッフにあたたかく迎えられてきて…美しい記憶に私も想いを馳せて、とても素敵だなと話を聞いていました。

ちなみにもし今年だけに限れば、私はザ・リッツ・カールトン日光がとても気に入っています。このブログでも以前に書いたかと思いますが、ちょっとしたトラブルに見舞われたのですが、そのあとのリカバリーが実に素晴らしくて、一気にファンになってしまったのでした。そのときの滞在からしばらくして、再び訪問したときの滞在も素晴らしいものでしたが、それはまたいつか語ることにしましょう。

第3回:フォーシーズンズ大手町東京

3回目を迎えて、ようやく私の緊張の糸がほぐれて、よりくだけた気持ちで配信できるようになってきたのでした。テーマはフォーシーズンズ大手町東京。つい先日開業1周年を迎えたばかりの新しいラグジュアリーホテルですね。私にとっては物心ついてから初めて泊まったラグジュアリーホテルがシンガポールのフォーシーズンズ。その体験はいまだに強く記憶に残っていますが、そのときのことも少しお話ししました。このときはゲストスピーカーの方も交えて、よりディープな話を色々と聞くこともできたのでした。

KENJIさんはこのホテルを今までに感じたことのないような不思議な空間であると言います。それは同じフォーシーズンズでも、丸の内とは全く異なり、空間のひとつひとつがダイナミックに切り替わるような大胆さがあるのです。最初の回で取り上げたパークハイアットのシームレスな変化と比べると、こちらはがらっと、まるで舞台装置が切り替わっていくような驚きがある。ロビーをぐるりと歩き回るだけでも、なんだか旅でもしたような、ドラマティックな空間体験ができるのが魅力と言えましょう。私もこの大胆さにはとても驚きましたが、同時に、開放感と落ち着きのような相いれなさそうな部分がうまく調和した空間というイメージもあります。その調和の取れた居心地のよさは角部屋であるスタジオルームに特に強く感じることができたように思います。

またスタッフの積極的な姿勢や自由な雰囲気が心地よいホテルでもあります。フランクなバーのスタッフ。客室へのエスコート中にずっとジョークを言い続ける楽しいスタッフ…そういう交流が自然と生まれるホテルというのはやはり良いものです。

夜の静けさのホテルロビーを彷徨うNight OwlのKENJIさん。このホテルは皇居を望む圧倒的な眺望に恵まれる立地ですが、窓の近くには水盤があります。ほとんどの人の寝静まった時間はさぞかし神秘的だろうと想像しながら、その様子を言葉で描く話を聞いていました。そうそう、この眺望の素晴らしさと水盤の美しさに吸い寄せられるように足を進めて、そのまま服を濡らした人も数知れずとのことでした。同じく水に濡れるにしても、このホテルで欠かさずに訪れたいのがメタリックなプール。KENJIさんがこのホテルで最も好きな場所のひとつだと言います。スワンネックや水流で遊ぶのもいいですが、金属床の妖艶なプールを遊泳すると、水中にはアップテンポな音楽が聞こえてきます。この異世界感覚は体験しないわけにはいきませんね。

また私はバーのVirtuで夕焼けを眺めているのも好きです。ほとんどお酒を飲めない私ですが、7つの美徳をテーマにしたカクテルは是非とも時間をかけていつかすべてを堪能したいもの。テラス席のついたレストランの素晴らしさもここに付け加えてお話ししました。朝食を取れるピニェートで都心の朝日を浴びながらコーヒーを飲む時間の心地よさは比類なきものですね。

レストランの話題でも盛り上がりましたが、 KENJIさんにはロビーラウンジでいただくスイーツの魅力もたくさん語って頂きました。参加者の皆様からもたくさんの素敵な体験を聞くことができて、ますます訪ねてみたい気持ちを強めた回でした。パートナーと一緒にときどきふらっと食事に行きますが、また泊まりにも行きたいですね…そんな宿泊欲を掻き立てられながら第3回目の配信を終えたのでした。

第4回:パレスホテル東京

外資系ホテルを中心に話してきたのですが、もちろん日系ホテルにも素敵なラグジュアリーホテルがたくさんあります。前回の皇居とのつながりということもあり、第4回目はパレスホテル東京について語り合うことになったのでした。皇居の前という圧倒的な立地。南向きの客室に泊まれば、目の前には皇居前広場の緑と日本的な美しさ、日比谷公園から丸の内、銀座や虎ノ門方面の東京らしい景色を眺めることができます。

いまここで最初に「南向き」と強調したのは、KENJIさんにも私にも共通する失敗(?)がありまして、てっきりすべての部屋にバルコニーが付いていて、そこからこの圧倒的な景色を眺められると思って当日チェックインして部屋に入ったところ、西向きのバルコニーなしの部屋がアサインされてしまったのでした。もちろんそちらの景色の魅力もありますが、やはりせっかくだったら南向きを選びたいところだと改めて思ったのでした。

私はこのホテルに対して清楚なイメージを持っていました。KENJIさんもそれに同意してくださって、パレスホテルにいくと気持ちが洗われるような、神聖なものに触れて心が綺麗になるような感覚を持つと表現していました。清く正しい日本の伝統(なんていうとおおげさに聞こえるかもしれませんが)のようなものを感じます。もちろん日系ラグジュアリーホテルには、それぞれ独自の「日本らしさ」の演出がなされていて、どこも魅力ですが、パレスホテル東京はなんとなく女性的というか、きらきらした明るさや華やかさのニュアンスを感じます。同じ時期に開業し、同じ時期に建て替えがなされたキャピトル東急も少し似たような雰囲気をもつホテルですが、あちらが黒っぽい、深さや渋いかっこよさがあるのとも対照的だと思います。もともとは終戦直後にバイヤー向けのホテルテートとして開業したこのホテルですが、1961年に東京會舘を中心にパレスホテルとして開業、2012年に建て替えが行われて新生パレスホテルとしての歩みを始めました。マロンシャンティが名物なのはこうした経緯によるものでしょうか?(東京會舘のもパレスホテルのも美味しいですよね)

このホテルの明るさや華やかさを感じる場所が好きで、私は客室はもちろんのこと、グランドキッチンのテラス席とかサンルーム、あるいはエビアンスパなどが素晴らしいと思っています。KENJIさんはロビーにある装花の素晴らしさについて語ってくれました。自由な発想で飾られ、しかもとても高い頻度で新しい作品が作られていく…クリスチャン・トルチュの感性が光る空間です。もうひとつマニアックな魅力のひとつには、フランス料理「エステール」のポップな椅子についても大いに語られました。他には見たことのないようなあの椅子。私も大好きなアラン・デュカスの監修する美味しいフランス料理をいただきながら、大きな窓とかわいらしい椅子と楽しい会話で結ぶ交歓。何度でも足を運びたくなってしまうことは言うまでもありません。

料理といえば、KENJIさんおすすめのグランドキッチンのオニオングラタンスープ(日本で2番目に美味しいと絶賛されていました!)ですが、いつか食べに行きたいと思いつつ、いまだに行けていません。ここで振り返りながら、その優しい味わいを想像して、垂涎の心地です。いや、これは早く食べたい強い気持ちが再燃してきてしまいました。秋の心地よい青空の下で…ああ、想像が止まりません。

第5回:グランドハイアット東京

これはもうハリソン・フォードですね!そんな話からはじまりました。映画の話をしていたわけではなく、グランドハイアット東京の話です。これはKENJIさんとも見解が共通するのですが、ここはぎらぎらとした王道のグランドホテルだと思うのです。泊まることの楽しみが全て備わった夢のような場所としてのホテル。その現代的な表現。ステレオタイプ的なアメリカっぽさ。それをかの名優のアナロジーで語ったというわけなのです。多国籍というか無国籍というか、そういうあらゆるものを受け入れてしまいそうな懐の深さを感じる世界観は堪らない魅力だといつも思います。

レストランもたくさんあって、私などは泊まる前に今回はどこで何を食べようかという算段から始めるほどです。また六本木ヒルズに接しているというのも魅力のひとつ。もちろん泊まらなくてもふらりと立ち寄るのもまた楽しい。KENJIさんはフィオレンティーナのボリュームたっぷりのグラスに注がれた香り高い紅茶とミルクが絶妙なアイスミルクティーの魅力を語ってくれました。かくいう私も季節問わずにしょっちゅうあそこのアイスクリーム(これもまたボリュームたっぷり)を食べに行きたくなります。

このブログでも何度も宿泊記を書いているので、あえてそのひとつひとつのエピソードは語りませんが、パートナー、家族、友人、あるいはTwitterなどで交流のある人たちに至るまでたくさんの思い出があるホテルでもあります。それはこのホテルがどんな要望も叶えてくれるような総合性を備えた場所であることに裏打ちされてもいます。ひとりで泊まるのも、誰かと一緒であっても、本当に快適で素晴らしい。スタンダードルームも快適な部屋の手本のような空間になっていて、ベッドの心地よさも、ライティングデスクの美しさも、そして脅威の勢いのシャワーの水圧も…じつに完成度が高いという話で盛り上がりました。そしてNAGOMIスパ&フィットネス。私はこのスパの隠れ家的な魅力について、 KENJIさんは窓のない閉鎖性が生みだす小宇宙のような美しいプールについて、その魅力を強調しないわけにはいきませんでした。

そういえば、ちょっと前にこのホテルのアメニティがBALMAINに変わりましたね。我々は以前のJune Jacobsのボタニカルな香りが好きだったということで一致したのですが、皆様はいかがでしょうか?…そんな細部の話をしても語り尽くせない。毎回のことですが、魅力あるホテルは掘り下げれば掘り下げるほど、話題が尽きなくなってしまいます。そんなことを改めて感じた第5回でした。

第6回:ホテルオークラ東京

伝統と格式を重んじる典型的な日系ホテル、ホテルオークラ東京、いまは正確にはThe Okura Tokyo。古き良きホテルらしい慇懃さとフレンドリーで親身なスタッフに迎えられながら、伝統を継承したかの有名なロビーに立つと、ぴりっとした緊張感となぜか懐かしくてほっとする居心地の良さが同居しています。KENJIさんはここを創業者の想いが随所に受け継がれている「時代を継承するホテル」だと表現されていました。私もその良い意味で古くさい雰囲気に惹かれ続けているホテルです。第6回はそんなホテルオークラ(あえてこう呼びたい)の思い出を中心にした語り合いの時間でした。

時代に左右されない=タイムレスという意味でパークハイアット東京とも共通するものを感じます。それゆえ私がその両方のホテルが大好きなのかもしれないと改めて気付かされたのでした。思い出はこのブログでも多く語ってきたので、ここにはあえて書きませんが、この配信でも祖父やパートナーとの記憶を手繰りながら、このホテルのもつ奥深さを感じていました。

KENJIさんは建築的な細部の話をしてくれたのですが、そっくり同じように再現された新本館(プレステージタワーの側)のロビーがじつは細かなところで旧本館と違うという解説は興味深いものでした。個人的には特に以前よりも照明が明るくなったというところに、はっとさせられる気持ちがしました。旧本館はもう少し薄暗くて、その薄暗さがまた古き良きホテルらしいところだと感じていたことをふいに思い出させてくれたのです。細部が変わっていても、あのようなパブリックスペースを広く取っている老舗の余裕のようなところがしっかり継承されていて、それもまた素晴らしいと思わされます。

空間の魅力やサービスの魅力についても語りましたが、やはりこのホテルの「食」の魅力についても触れずにはいられません。とりわけ朝食にいただけるあの柔らかなフレンチトースト。もはやこれは「オークラのフレンチトースト」という食べ物ではないか、と絶賛。私はとくにヌーヴェルエポックで朝食を取るときに、ハーブソーセージを添えてもらうのが大好きです。またオーキッドの伝統的な3種類のパイ(特にチョコレートパイ)やピーチメルバも素晴らしいという話をしました。それ以外にも桃花林のつゆそば…とめどなく名物料理を上げたくなるのはなぜなのでしょう?

KENJIさんはこのホテルのプールの魅力についても語ってくれました。話を聞きながら、たしかにあのプールの朝の清々しさは堪らないものがあります。夜もそうですが、オークラで迎える朝というのは、ピンと背筋が伸びるような気持ちがします。それはパレスホテル東京とも違った意味での気持ちが洗われる体験なのかも知れませんね。ラグジュアリーホテルの魅力は朝の時間にあり。オークラの話をしながら、さまざまなホテルの朝の心地よさについて想いを巡らせていました。

第7回:沖縄の個性豊かなホテル

東京のホテルの話ばかりじゃなくて、もっと他のホテルの話もしたい。夏本番も近いし、せっかくだから沖縄のホテルについて、自由に語り合おう。そんなイメージではじまった第7回。冒頭に私の最近の沖縄のホテル体験を話しました。ひらまつ宜野座、ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄、そしてザ・リッツ・カールトン沖縄…このあたりのホテルはこのブログでも取り上げましたが、改めてさまざまなホテルを眺めてみると、沖縄という共通項でその世界観の演出も似ているようで、じつはそれぞれの個性が光るというのも面白いところだと思いました。

とりわけ印象に残っているのが、テラスホテルズですね。KENJIさんによる語りによって、その魅力の数々に触れることができたのですが、建設業者によるホテル運営という珍しさ、そしてそのこだわりには驚嘆しました。歴史あるブセナテラスは外廊下。つまり部屋から出ると外気に触れる。沖縄特有の気候がこのようなつくりにしたけれど、むしろそれがエキゾティックな魅力になっていると思われます。タラソテラピーが心地よく、プールの真ん中で見知らぬ旅人と語り合う楽しさのテラスクラブ。ジ・アッタ・テラスで眺める雨でも晴れでも美しい沖縄の空。ウザテラスの圧巻のプライベートなラグジュアリー感。新しいホテルだと北谷にできるMBギャラリーもとても楽そうな世界観を持っているというわけで、話を聞きながら、いつかすべてコンプリートしたいという決意を密かにしていた私でした。

私はまずは大規模なホテルで気になっているハレクラニやこれから開業が予定されている恩納村のフォーシーズンズなどに興味津々ですが、KENJIさんの語るスモールラグジュアリーと言っていいビラにもまた心惹かれました。ホテルシエスタやレセブ瀬底。ひとりで滞在したときに大きなホテルではなかなか難しい極めてパーソナルなもてなしやあたたかい交流が生まれたとのことでした。第1回のパークハイアット東京以来のテーマである、エクスクルーシブな体験がラグジュアリーホテルの要素というならば、ある意味で、こうしたスモールラグジュアリーホテルは、その究極的な形のひとつと言えるかもしれません。このときはKENJIさんの沖縄のホテルに対する知識の豊富さに圧倒され、また参加者の皆様からも色々と耳寄りな情報を得ることができた回でもありました。特定のホテルにこだわらず、話題があちらこちらに脱線していくのもClubhouseの楽しさなのだな、ということを改めて実感したのでした。

第8回:アンダーズ東京とライフスタイルホテル

徐々に脱線していくのがClubhouseの面白さであるならば、第8回は「アンダーズ東京」をテーマにしながら、思いがけない脱線をしていった回でもありました。このときのサブテーマはライフスタイルホテル。私自身は「正装の典型的なホテル像に対するイメージの転換」をこうしたホテルのイメージに掲げていて、KENJIさんは宿泊以外の付加価値をテーマとして打ち出しているホテルが多いという印象を持っていたのですが、よくよく考えてみると、現代のホテルはもはや定型がよくわからなくなってきているようにも思います。

部屋のデザインが大胆だったり、予想外のイベントを企画したり、そういったことはライフスタイルホテルの得意分野かなと思っていたのですが、それはグランドホテルであっても得意にしているところをいくつも思い浮かべることができたように思うのです。それでもゆるくライフスタイルホテルの宿泊体験と言えるようなものを集めてみると、W大阪だったり、エディション東京虎ノ門だったり、エースホテル京都だったり、キンプトン新宿だったり…そしてもちろんアンダーズ東京だったりして、おそらく漠然としたイメージが共有されているのですが、明確に定義が与えられないような多様性がそこにはあります。その白にも黒にもわけられない感覚それ自体もあるいは現代的と言えるのかもしれませんね。

KENJIさんの考えるライフスタイルホテルの重要な点に、パブリックスペースの充実ということがありました。例えばアンダーズ東京に初めて滞在したときにいわゆるカウンターがなくて、フリーラウンジ席で飲み物をいただきながらチェックインの手続きをしたのが新鮮だった記憶があります。宿泊客はいつでもフリーのラウンジ席を利用できて、そこにPCを持ち込んで仕事をしたり、きままな時間を過ごしたり、自由な利用に向けられている…あるいはもっと気楽な形だと、エースホテル京都の横にはスタンプタウンコーヒーがあって、そこで買ったものをいただきながらパブリックラウンジで思い思いに過ごしている人たちがいる…しかし、そうして考えてみると、誰もがそこに立ち入ることができて、気軽にホテルの世界観に触れて、特に若い世代などにとっては、将来ここに泊まりにきたいという大きな宣伝にもつながっているかもしれない。そんな話題が出てきました。ふと、わたしは、ホテルオークラのロビーがまさにそういう場所ではないかということです。その観点だけから言えば、ホテルオークラはライフスタイルホテルの祖型と言えるかもしれませんね。

ホカンス(ホテル+バカンス)という言葉が最近よく使われるようになったというのも、たしかこのときに参加者の方から提起された話題だったと記憶しています。なるほど、ホテルラバーの私たちは随分と前からそういうことをしていたわけですが、一般的には「どうしてそんなことを?」という奇異の目で見られることもしばしばありました(東京に住んでるのにどうして東京のホテルに泊まるの?と当然のようによく聞かれます)。しかしいま、ホテルのスタイルが変わってきていると同時に、ただホテルに滞在すること、その魅力もだんだんと広まってきているのかもしれません。そんなわけで思いがけずホテルの魅力というところから、ホテルの過ごし方ということをあれこれ考えた回になりました。

第9回:ペニンシュラ東京

あれこれと幅広いホテルの話をしてきて、ひさびさにひとつのホテルに注目してみた第9回のテーマはペニンシュラ東京。21世紀になってからの東京都心の外資系ラグジュアリーホテル開業ブームの中では珍しく一棟まるごとというグランドホテルらしいホテルですね。KENJIさんはこのホテルに足を踏み入れるといまだかつてない強い存在感の木の格子に囲まれたロビー空間に、コンテンポラリーなオペラ劇場にいるような圧倒的な感覚を覚えるといいます。デザインを手がけた橋本夕紀夫氏は、かのスーパーポテト出身で、その要素をどこかに感じさせながら、自らが語る「空気のデザイン」を光らせていると思います。

さて私はついついペニンシュラというと、やはり本家のペニンシュラ香港を連想します。国外で最高のホテルは?と聞かれて思い浮かぶホテルのひとつです。ロールスロイスやヘリコプターなどの乗り物。王道的な雰囲気。クラシカルな空間に最新鋭の設備をつめこんだ客室。よく気が利いて、じつに能動的に行動するスタッフ…ついついそのアナロジーでペニンシュラ東京についても語ってしまいます。全体に古典的なホテルらしい雰囲気を漂わせるなかで、なぜか最上階に弾ける個性のPeterがあることの必然性も、ペニンシュラ香港の28階にこれも弾ける個性のFelixがあることと関係があるに違いないと思うのです。

グランドホテルとしてのこのホテルの魅力はさまざまにありますが、KENJIさんは、そこに至る動線の高揚感や、ガラスを落ちる滝を裏からみる空間や外の気配を感じることのできるバルコニーを備えたプールの魅力を素敵な写真と共に紹介してくれました。私はこのときはひたすら食の話を。ヘイフンテラスの窯焼きチャーシューの魅力、地下のブティック&カフェで気軽に手に入れられるケーキ(特に以前あったミルフィーユは素晴らしかった)などについて語ったのですが、KENJIさんもまたPeterのトーキョージョー、きのこのソテーやフレンチフライのケイジャン味(余談ですが、私の以前撮った写真を引用してくださったのがとても嬉しかった)の魅力について語りました。

個人的にペニンシュラ東京を語る上で欠かせないのがアフタヌーンティです。もはや定番中の定番というほど有名ですが、やはりロビーラウンジで生演奏を聴きながら優雅な気分で味わう紅茶とスイートやセイボリーの味わいは、何度行っても飽きがこない素晴らしい体験だと思うのです。ところでこのシンメトリーなロビーラウンジ。エントランスから入って左上には生演奏を行っているスペースがありますが、右上にも木の格子で囲われた謎のスペースがあります。KENJIさんの情報によると、ここは階上のヘイフンテラスからアクセスできるシークレット席になっていて、ここでアフタヌーンティーをいただいたりすることもできるようになっているとのこと。いつか「とっておきのサプライズ」はここで…そんな妄想を働かしつつ、このグランドホテルの魅力に改めてふれて無性に泊まりに行きたくなってしまったのでした。

第10回:コンラッド東京と首都圏のヒルトンホテル

記念すべき第10回のテーマは「コンラッド東京と首都圏のヒルトンホテル」でした。ちょうどこの配信の前にコンラッド名古屋ができるというビッグニュースが飛び込んできたところでもありました。3名のヒルトンラバーのゲストスピーカーの方たちに話を色々と聞くこともできて、私としては知らなかった様々なヒルトンの魅力に触れることができたのもとても嬉しいものでした。

そもそも私にとってヒルトンホテルとは、万人に受け入れられるような優等生的なイメージがあり、客室でもサービスでも、あえて極端な冒険をしなくてもいい余裕を感じるホテルブランドでした。風変わりなことをしなくても、これでいい。ホテルチェーンと言えばと聞かれてヒルトンと答える人も少なくないのではないでしょうか?現在のキャピトル東急の前身となった東京ヒルトンは、日本の外資系ホテルの草分け的存在。またキューブリックの映画「2001年宇宙の旅」の宇宙ステーションにもヒルトンホテルが登場します。そんな誰が聞いても、ああホテルですね、と分かるようなホテル。そんな印象があります。コンラッド東京もそうしたイメージを昇華させたラグジュアリーホテルでした。

極端に東京を打ち出さないコンテンポラリーラグジュアリー。どこかグランドハイアット東京にも似ていますが、そこかしこにヒルトンらしい印象を感じるコンラッド東京。KENJIさんはこのホテルが開業したときに、入り口がわからず困惑しつつやっとのことで辿り着き、天井の高いフロントロビーやそこから見える東京湾ビューの美しさに感動したといいます。またチェックインが非常に横に長いカウンターで行われ、そこに堂々たるヒルトンのグランドホテル的な矜持を見出したといいます。これはまったくもって私も同意するところです。ちなみに私はコンラッド東京に行くとなぜか書き物をしたくなりますが、それはこのホテルに特有のピリッとした気分を高めてくれる心地よさのせいでしょうか。

都会のビルの真ん中を泳いでいくようなコンラッド東京のプール、バルコニーにジャクジーが設けてあってそこから都心を見渡せるヒルトン東京お台場のプール。KENJIさんによるホテルプールの魅力の語りにはいつも触発されるものがあります。そしてコンラッドベア。私もなんとはなしに持っていたのですが、まさかあんなにバリエーション豊富とは知りませんでした。今年のハロウィーンのデザインもとてもかわいらしくて是非とも欲しいですね。

コンラッドのみならずヒルトン東京の魅力も多く語られました。KENJIさんの表現によれば、威風堂々とした老舗の雰囲気。あのマーブルラウンジの螺旋階段のあるいかにもホテルらしい空間はある種の興奮に似た感情を催させます。マーブルラウンジでは昼夜ブッフェをやっていて、童心に帰れるような楽しいフェアをよく開催していますね。あそこの冷たい石板でつくるアイスクリームが私は好きなのです。他にも王朝の北京ダックを含むオーダーバイキングもそそられます。コンラッドにしてもヒルトンにしても、食べるにしても泊まるにしても、あらゆる局面で、やはりホテルならではの豪勢な楽しさがそこにはある、そんな気がします。いつか話題に出たヒルトン東京お台場のメロンオーレも飲みに行きたいと思います…メロンジュースも有名なシャングリ・ラ東京を次のテーマに掲げて第10回目の配信を終えました。

全10回の配信を終えて…

このブログ始まって以来最長の記事となりました。ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

実際の配信では、ここには収録しきれなかった興味深い話もたくさんありました。またオンラインとはいえ会話だからこそ成立する独特のノリや面白いかけあいもたくさんありました。それらをブログに反映できない責は私にあり、もどかしい思いもたくさんあります。しかし振り返ってみれば、本当にどこのホテルにもそれぞれの組み尽くしきれない魅力に溢れていることを改めて発見したし、ホテルステイの楽しさをKENJIさんをはじめ、参加者の皆様からたくさん教えていただけたと思っております。そうした意味でなによりも配信している私が楽しんでいたと言えます。

改めて皆様に感謝いたします。本当にありがとうございます。

そしてKENJIさん、いつもありがとうございます。

今後ともホテルラバーのひとりとしてホテルの魅力を語ること、そして参加される皆様とホテルを通じた話題で交流できることを楽しみにしております。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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