2021年をパークハイアット東京で迎える

もし初日の出を見るならどこから見たい…?

そういう会話を交わした気がします。その答えは人によって様々であるけれど、毎年、私は大晦日をホテルで過ごしていました。ただ、泊まったことはなくて、夜に日系老舗ホテルのオールデイダイニングとかバー(一昨年までは深夜まで営業しているお店もそれなりにあったのですよね)で食事をしていました。そして都内をドライブして、深夜に家に着いてそのまま疲れて眠る。目が覚める頃にはすっかり日は昇って、外はすでにかなり明るい…この一連の流れが毎年の恒例となっていたのでした。

しかし今年は初日の出を見に行きたい。そしてじつは私のパートナーにも年末の恒例と言えることがあったのです。それは年末をパークハイアット東京のニューヨークバーで過ごすこと。

こうして自然と初日の出を見る場所は決まったのでした。

冬の乾いた青空がどこまでも澄んでいる。そんな昼間にパークハイアット東京のエントランスに辿り着きました。なぜか少しだけ気恥ずかしいような気分だったのは私だけだったでしょうか。

いつもながらに思うのは、このホテルは、入り口から客室までのアプローチが素晴らしいこと。

おかえりなさいませ、そう見知ったスタッフから声をかけられて、荷物を預かってもらって、2人がかりでエスコートしてもらいながら奥に進んでいきます…エレベーターの灯りが段々と明るくなり、扉が開くと、天から光が差し込むピークラウンジ。そしてオールデイダイニング・ジランドールからのちょっとスパイシーなランチタイムの良い香りを感じ、さらに進むと、季節ごとの絵が飾られたライブラリー。奥に進むと淡い緑色のインテリアが印象的なフロントデスクに至り、ここでコンシェルジュも一緒にエスコートの列に加わります。エレベーター。そして、軽く会話をしながら通路を進み、部屋の扉を開く…この瞬間が堪りません。

今日の部屋はビューデラックスルーム。なんとなく私の中では以前の名前であるパークビュールームと言う方がしっくりくるような気がします。パートナーと一緒にこの部屋に泊まるのは初めてです。

前にひとりで泊まった時に、「東側と南側の二面を眺められるこの階のこの場所が特にいいですね」とコンシェルジュに話したことがありましたが、そのときのことを覚えてくれているのか、スイートに泊まるときでない場合にはこの部屋に案内されることが多い気がします。たとえば、ベッドの上に置いてある低反発枕や、多めに用意されているミネラルウォーターなどもそうですが、些細でも言ったことを忘れずにいてくれる。パークハイアット東京の魅力はそうしたところにも表れているように思うのです。

ジランドールで昼食を取りながら、色々な話をしていました。数日前にパートナーとの間に生じた僅かなわだかまり。私自身はそれをうまく伝えられずに飲み込んでいたのですが、この日はとても素直に話すことができたのでした。それはなによりもパートナーの賢さと素直さ、そして優しい時間を一緒に作り上げてくれようとする姿勢のおかげです。

私は、それがどんなに近しい人であっても、誰かを変えることはできないと思っています。誰かを変えようともがくことよりも、変わらないことを認めて、むしろどれだけその人の魅力を見つけ出せるかが大切なのではないかと思っています。しかし身勝手なものでエゴを捨てることもできません。あるがままの自分でいることは難しい。なぜならば相手があるがままを受け入れてくれるかどうか分からないからです。でも少なくとも相手のあるがままを受け入れようと努力することができると思うのです。少なくともこのときパートナーは、素直に私のあるがままを受け入れる姿勢を示してくれました。それがとても嬉しかったのです。

もちろんいつも仲良くいられるわけではなく、ときに気持ちがすれ違うこともあります。それを否定せずに向き合うことも大切なのだな…最近しみじみ思います。部屋に戻ってしばらくゆっくりしていたら夕暮れ。部屋の窓から2020年最後の太陽が東京の空を赤く焦がす様子を眺めることができました。

夜の服装に着替えてからピークバーの「トワイライトタイム」に出かけます。ディナーは夜の18時半から予約していましたが、その少し前に、軽くなにか飲みながら年末の新宿駅南口の喧騒を眺めつつ、何気ない会話をしていました。この部屋にひとりで籠もるときにはこのヴァージンモヒートを密かに楽しみにしているのですが、今日はパートナーと乾杯。ミントとライムが炭酸の泡と弾け、黒砂糖の香ばしい甘さ。彼女はスパークリングワインを楽しんでいました。この時間帯になる頃にはもうすっかりパークハイアット東京の世界観に魅了されてしまっていました。

ディナーはニューヨークグリルで。元々は隣接するニューヨークバーの年末のカウントダウンに参加する予定だったのですが、コロナ禍の影響を受けて今年は中止との連絡を事前に受けて、急遽ディナーに振り替えてもらったのでした。混雑しすぎない程度のほどよい席の埋まり具合。我々は窓際の眺めのよい席に案内してもらいました。

2020年の終わりに乾杯!

今日はクリュッグ・グランド・キュヴェを合わせます。本当に色々なことがあった年だったと思い出を語り合いました。出逢った日のこと、出かけた日のこと、お互いのこと…。

せっかくなので大晦日限定のコースをお願いすることにしました。

中トロのタルタルを載せた全粒粉トーストのアミューズに続いて、キャビアリのクリスタルキャビアの下にズワイ蟹を敷き詰めて、ディルや金箔と合わせたもの。一粒一粒から広がる心地よい塩気と旨味が、酸味と香りの鋭い端正な味わいのシャンパンにきわめてよく合います。

続いてサステナブルカナディアンロブスターを。金時人参のピューレに合わせた冬野菜と一緒に出てきました。甘みが強くしっかりと肉厚のロブスターをビスクムースにしっかり浸して頂きます。先ほどのキャビアはキリッと引き締まった味わいでしたが、こちらは対照的にふわりとしたら緩い気分になる味わいでした。

本来のコース内容ではここで神戸牛のサーロインというところですが、我々はサーロインが苦手なので、代わりに仙台牛のテンダーロインをお願いしました。炭火の香ばしさをほのかに感じたと思うやいなや、口の中でとろっと溶けていくような柔らかさ。そしてウインタートリュフをアクセントにして、シルバーオークワインソースのコクと香りが突き抜けていきます。シェフのこだわりを強く感じさせる極めて印象深いメインディッシュでした。

金箔を載せたミリオネアショートブレッド。キャラメルエスプレッソとビターチョコレートがとろける甘さに加えて、僅かな酸味と苦味で全体を引き締めていました。そして芳醇なホワイトトリュフ。ここにフレッシュミントティを合わせて、この満ち足りたディナーを終えることにしましょう。

好きな人とゆっくり話をしながら美味しいものを食べているときは、時間の流れをとても早く感じるものですね。例年であれば、家族と一緒に過ごしていた年末。今日は彼女とふたりきりでいる。なんだかちょっと不思議な気がしました。カウントダウンには参加できなかったけれど、私はとても幸せな時間でした。パートナーは果たしてどんな想いを投げかけていたのでしょうか。

部屋に戻ってからテレビでは紅白歌合戦。すっかり満腹になった我々は少し眠い目を擦りながら、年越しの瞬間を待っていました。そして年明けと共に、あけましておめでとう!お互いに言葉を掛け合ってから、程なくして寝てしまいました。

僅かな光を感じて目が覚めると、まだ薄暗い東の空が明るくなっていることに気づきました。寝ている彼女を起こそうかと思いましたが、日の出の時刻までまだしばらくあるので、もう少し待つことにしました。しかしほどなくして彼女も気配を感じて目を覚まして、細やかな歓声を上げました。

広い窓枠に腰掛けて…このホテルを舞台にした有名な映画を彷彿とさせる光景。しかしふたりで見つめているのは、東京湾の向こうに見える2021年はじめての御来光。初日の出というのは、パートナーも私も生まれて初めて見ました。この街を一望できるこの場所からふたりでこの景色を眺められたことがとても嬉しくて、しばらく言葉を失っていました。

日が昇ると、一気に空の青さが際立ち、さっきまで暗かった部屋の中も明るくなりました。どんなときでもどんな人の上にも日は昇る。その尊いことを改めて気付かされた時間でした。こうして我々は2021年を迎えたのでした。

昨年はコロナウイルス感染拡大の影響もあって、本当に様々な困難に直面した年でした。また個人的には人とのつながりの難しさと大切さや喜びについても感じることの多い年でした。パートナーとの出逢いもそうですが、ホテルという話題を軸に様々な人とより交流を深められたことも心から嬉しいものでした。そうしたなかの何人かの方とは実際に直接お会いするという機会にも恵まれました。まさかこうして配信をはじめた当初は、そんなことが叶うとは思ってもみませんでした。そうそう、最近嬉しかったことのひとつが、パートナーもTwitterでホテルやグルメについて配信を始めたことです。それはまるで自分にとって欠かすことのできない世界を共有しているような喜びがあります。

我々にあたたかい言葉をかけてくださる方たち、そして交流を持ってくださる方たち、おひとりおひとりの名前をここで挙げることができませんが、この場を借りて、心から感謝申し上げます。つながりを大切に、そして願わくば、今年はもっとたくさんの方と直接お会いしたり語り合ってみたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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