伊豆北川 望水 宿泊記(2) 〜ジュニアスイートと温泉(プライベートガゼボ)

前回からの続きで伊豆北川にある望水の客室と温泉についてリポートしてまいります。

今回は少し金額を上乗せすることで禁煙室を指定したところ、条件のいいリニューアルフロアのジュニアスイートがアサインされることになりました。正直なところ、旅館の「ジュニアスイート」と言っても、ホテルのようなアッパー感には乏しいのではないかという先入観がありました。しかし実際に部屋で過ごしてみてると、そのような感覚は払拭されることになりました。

また望水には大浴場もありますが、売りにしているのは、「プライベートガゼボ」とよばれる個性的な貸切温泉露天風呂です。こちらもまた大変満足度の高いものでありました。

望水 ジュニアスイート

チェックインの手続きを済ませるといよいよ客室に案内されます。望水の建物自体はやや古さを感じさせるものなのですが、禁煙フロアはリニューアルしてからまだ日が浅いとのことで、かなり綺麗です。

ジュニアスイートの居間は黄金色を中心とした落ち着いた趣の部屋です。ホテルの洋室と比べて、和室は客室全体のインテリアコードで個性を出すことが難しいように思います。「星のや」のような高級路線の旅館が、この点を割り切ってユニバーサルな(ともすると高級リゾートホテル的な)雰囲気に仕上げるのも頷けます。しかしこのようなオーソドックスな和室の型のなかで、工夫して個性的な空間を作り上げているような旅館があると、なんとなく好ましい気持ちがしてくるものです。

望水の客室からは海が一望できるようになっており、晴れていて見通しが良い時は対岸に伊豆大島が見えるのですが、ジュニアスイートにはこのようなリラクゼーションスペースがついています。この空間はなかなかよく考えられていると思いました。オーソドックスな和室の型の中で、客室全体の雰囲気を崩さない形で、さりげなくリゾート感のあるスペースを作り上げている。この印象はあとでご紹介するこの旅館の温泉にも言えるところだと思います。

展望スペースにはこのような収納ダンスと一緒にCDプレイヤーが置いてあり、この旅館のイメージである海にかかる月光の道「ムーンロード」をテーマにしたヒーリングミュージックが用意されています。

展望スペースの反対側にはこのような次の間があります。どちらも居間とつながっていますが、こちらはこじんまりとしていて落ち着いた雰囲気です。夜に居間に布団が敷かれてからは、こちらでゆっくりと過ごすこともできるし、また鏡台も置かれています。

客室の玄関のほど近くには洗面台とバスルームがついています。すっきりと綺麗にまとまっていますが、やはり高級ホテルなどに比べてしまうと質感には劣ります。

こちらが客室についているバスルームです。檜風呂に加えて、バスアメニティもオリジナルのものを揃えるという個性的なものですが、この旅館はさらに個性的な貸切露天風呂を多数用意しているため、どこまで利用機会があるのかは未知数です。ちなみに我々は客室のバスルームを利用することはありませんでした。

アメニティが充実しています

このホテルのバスルームや貸切風呂、大浴場などにはオリジナルのバスアメニティが用意されていますが、それとは別にベイシンのところには「SUNDARI」のアメニティが一式用意されていました。SUNDARIといえば、ニューヨーク発のアーユルヴェーダにインスパイアされたスキンケアブランドです。ややスパイシーながら爽やかなとても良い香りのするアメニティでした。

浴衣はこのように用意されています。このような格好でゆったりと過ごせるのはやはり旅館の醍醐味といえましょう。なおここではソックスクリーニングサービスも行なっており、唐草模様の袋に入れておくと、翌朝には綺麗にして持ってきてくれます。

高級ホテルではすっかりおなじみのネスプレッソも用意されています。個人的にはこれがあるのは大変ありがたいものです。またDHCの海洋深層水がコンプリメンタリーの水として用意されています。望水のある伊豆北川からやや北でDHCが海洋深層水を利用した温泉地(赤沢迎賓館・日帰り温泉館など)を運営していますが、その関係でこの水のチョイスになったのかもしれないと思いました。

温泉(プライベートガゼボ)

客室で一休みしたら次に温泉に向かうことにしましょう。望水には大浴場もありますが、個人的な感想を言うと設備が古めかしくてさほど魅力を感じませんでした。しかしこの旅館が売りにしている貸切温泉露天風呂は秀逸な温泉体験を実現していると思います。

望水の貸切温泉露天風呂は「プライベートガゼボ」といい、事前に利用したい時間帯を申請すると、他のゲストとかぶっていなければ無料で利用することができます。

プライベートガゼボに向かう途中にはこのようなリラクゼーションスペースがありました。コンプリメンタリーの水が用意されている冷蔵庫の青白い光と間接照明が重なって、なかなか温泉旅館ではみられないような雰囲気を醸し出していました。

このスペースを抜けると個別のプライベートガゼボ(全部で4種類)があります。

今回我々が利用したのが「浮舟」と呼ばれるプライベートガゼボ。こちらの檜の露天風呂と、手前側にドライサウナと洗い場がついています。

貸切温泉露天風呂ということで他の人に気兼ねなく温泉でくつろぐことができ、この絶景を一望できるというのは素晴らしいものだと思います。まさにこの開放感や心地よさは海の前にある温泉旅館ならではの魅力だと思います。ここでしばらくゆったりとした時間を過ごすことにしましょう。

洗い場とドライサウナはこのような雰囲気になっています。取り立てて特徴はありませんが、オリジナルのアメニティが用意されているあたりに、この旅館のこだわりを感じることができます。

時間と空きがあれば、他のプライベートガゼボも利用できました

我々は当初の予定では、プライベートガゼボは一度しか利用できないものと思っていました。しかしあまりにも快適だったので、可能であればもう一度利用してみたいと思い、スタッフの方に確認してみることにしました。すると今回は閑散期の平日だったせいか空室があり、無料でもう一度利用できることになりました。

2度目に利用したのは「波まくら」というプライベートガゼボでした。こちらの特徴は石造りの温泉に、きりっと冷えた水と黒豆茶が用意されていること。そして手前側にモダンな雰囲気のリビングルームが付いているというものです。

夕食のあとで利用したので、すっかり日も暮れて、遠くに見える大島の灯りと星空に静かな波の音が聞こえるという趣深い温泉体験をすることができました。

こちらが「波まくら」のリビングルーム。クッション性の高いソファが置かれており湯上りにどっしりと休むことができるようになっています。

今回我々が利用したのは2種類のプライベートガゼボでしたが、両方ともそれぞれ個性的で、質の高い快適な時間を過ごすことができました。この旅館の大浴場はさほど際立つ魅力がないので、個人的にはこのプライベートガゼボを積極的に利用するのがいいと思いました。

なお今回は利用しませんでしたが、望水にはさらに広いタイプの貸切温泉露天風呂である「プレミアムガゼボ」もあります。通常の「プライベートガゼボ」の利用時間は60分であるのに対して、こちらは90分利用可能なのでよりゆっくりと過ごすことができそうです。ただし予約制で¥12,000かかるようなので、検討の余地があると思います。個人的にはプラベートガゼボの質が高いので、わざわざエクストラチャージを払って(しかもけっこう高い)までプレミアムガゼボを利用する必要はないかと思いました。しかしとにかく温泉でゆっくりと過ごしたいという向きにはおすすめできるかと思います。

さて、温泉旅館のおおきな要素とは、なんといっても温泉と当地の料理でしょう。望水の宿泊記の最後となる第3弾では、こちらの旅館の料理についてレビューしてまいりたいと思います。

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