2019年にソウルで3番目のハイアット系の高級ホテルとして登場したアンダーズソウルカンナム(江南)。前回はその客室「アンダーズスイート」についてのリポートをしました。今回はホテルの施設と朝食の様子についてご紹介したいと思います。
このホテルは、映像を効果的に使った賑やかなロビーエリアに対して、パステルカラーの淡く落ち着いた雰囲気の静かな客室というギャップがなかなか面白いところだと思います。
チェックインしたときは夜中だったのですが、夜が明けて、ソウルに昇る朝日が部屋に差し込んでくると、淡い色合いのこの客室が柔らかな明るさを得てきました。アンダーズソウルは高級ホテルに分類されるのですが、いい意味で高級感がなく、どこかアットホームな気持ちにさせてくれます。
フィットネス・プール・スパ施設の様子
アンダーズソウルにはプール付きのフィットネス施設があり、中にはジャクジーやサウナを備えたスパ施設があります。なおフィットネス施設は24時間空いています。スパ施設の利用やスポーツウェアのレンタルは通常は有償ですが、World of Hyattのグローバリスト会員は無料で利用できるようになっています。
アンダーズソウルのフィットネスやスパ施設”the summer house”はホテルの地下にあります。まだ開業したばかりというせいもあるのか、ほとんど利用者はいない状態でした。ただ話題のスポットではあるのか、あるいはフィットネス会員を募集中であるためなのか、何人かの見学者とおぼしき人たちは見られました。
写真の左手のほうに受付のカウンターがあり、そこで客室の番号と利用する施設を伝えて、ロッカーキーをもらいます。なおフィットネス施設の利用のためのスポーツウェアのレンタルはありますが、プールも利用したときに、水着のレンタルはありません(2019年9月現在)ので、注意が必要です。なおスイムキャップとゴーグルのレンタルはあるようです。
まだこちらも誰も利用していない状態でした。ロッカールームのエリアはかなりスペースも広く、使い勝手も良好です。唯一ベイシンの位置がやや狭いのが難点ですが、変なところでアンダーズ東京とも共通しているように思います。
”the summer house”のスパトリートメントには、韓国を代表する化粧品メーカーであるAmore Pacific(アモーレパシフィック)のコースが用意されていますが、このパウダーエリアにも同ブランドのアメニティが置いてありました。クレンジングフォームのみならず、最高級の化粧水と乳液まで用意されており、この点は非常に満足度の高いところです。このアメニティの充実だけでもこのホテルのスパ施設の利用価値は大いにあると思えるほどです。
なおロッカーエリアの奥の方にシャワーが並んでいるエリアです。こちらのバスアメニティは客室に置いてあるChristophe Laudamielでした。また奥の方には温度の異なるホットタブや水風呂、それからサウナがあります。
かなり前衛的なプールです
プールにはスパ・フィットネス施設のエントランスから直接行くこともできますが、ロッカールームからも通路で繋がっています。
やや長い廊下を抜けると、いきなりこの光景で、かなり前衛的な印象を受けます。奥に見えるのは映像ですが、それがプールの水面に反射してかなり煌びやかな雰囲気です。
映像は刻一刻と変化し、自然風景やソウルの街並みなどが表示されるようになっています。ちなみに右手にはデイベッドが置かれており、この光の反射する不思議な世界観から隔たれて、のんびりと休めるようになっています。
プールのスクリーンに向かって左手にはジャクジーと水風呂があります。奥の方にサウナルームと深めのホットタブがあるためだと思います。いずれにしてもシティホテルにしてはかなりゆとりのあるつくりとなっています。おそらくホテルの位置してる狎鴎亭が高級住宅街であることから、フィットネス会員を呼び寄せる狙いもあるのではないかと思われます。
なお今回は利用客がいたので写真は撮りませんでしたが、フィットネスエリアはプールに対して、比較的コンパクトにまとまっていました。そちらにはダンベルのエリアやトレーニングマシンの他、最新のカーディオ装置などもあり、またスタッフが常駐していて、かなり積極的に声をかけていました。私にもマシンの使い方の説明が必要か聞いてきたり、水を持ってきてくれました。このホテルは全体的にサービス精神は旺盛だと思います。それはレストランについても言えることだと思います。
メインダイニング”JOGAKBO”での朝食
フィットネス施設に続いて、ホテル2Fにあるメインダイニング”JOGAKBO”での朝食についてリポートしてまいりたいと思います。こちらもWorld of Hyattのグローバリスト会員は無料の朝食が特典としてついてきます。
エレベーターを使ってくると、このようなオブジェが置いてあり、ここがレストランの入り口になっています。ちなみに1階から階段を上ってくることもできます。奥の方が全面ガラスになっており、雰囲気はかなり明るいです。眺望は道路を行き交う車なのでパノラミックではありませんが、これはこれで都市の喧騒を感じながらも、そこから隔てられた静かな空間という感じがして、良いものだと思います。
朝食はブッフェ形式となっています。コーヒーか紅茶はスタッフが直接運んでくれますが、フルーツジュースやスムージーあるいはアイスチョコレートや果実酢など、かなり飲み物の種類は充実しています。また充実しているのは料理の種類もかなり多く、数日間の滞在ではおそらく飽きることはないと思います。
ただしパンの味については、ハイアット系にしては珍しく(?)、それほど美味しいものではないように感じました。もちろん平均点よりは上なのですが、感動するほどのものではありません。マフィンやデニッシュなども季節の食材を取り入れていてコンセプトはとてもいいのですが、もうひとつもっちりとした味わいに欠けるような気がするのです。同じハイアット系で、まずまず近くにあるパークハイアットソウルのパンはかなり美味しいこともあって、このあたりはやや残念なところではあります。
願わくばパークハイアットソウルくらいの質の高さになっていたら、もうここを選ばない理由はないというくらいホテルの朝食としては最高レベルと言えると思います。
アンダーズソウルはローカルな料理である韓国料理もホテルとしては種類が多く、また質もかなり高いものが用意されています。韓国粥や五穀米なども用意され、水キムチやナムル、タコのコチュジャン和えなどはかなり美味しいものです。中でも牛肉とキノコを甘辛く煮たものの味は深みがあって秀逸だと思いました。なお韓国料理以外にも中華料理の点心などの用意もあります。
こちらの”JOGAKBO”ですが、客層も場所柄か非常に上品な方が多く、スタッフもとても親切かつスムースな対応をしている方が多く(しかもかなりにこやか)とても気持ちよく朝食を取ることができました。料理の味もそうですが、滞在先の朝食をいかに心地よい気持ちでいただくのかは重要な問題だと思います。韓国の他のハイアット系はどこもかなり優秀だと思いますが(グランドハイアットソウルはやや劣る気がする)、その例に漏れず、こちらもかなりハード・ソフト両面においてとても素晴らしいと思います。
アンダーズソウルカンナムの快適性
このように客室の様子やホテルの施設の様子についてリポートしてまいりましたが、その快適性については、韓国でもトップクラスに数えていいように思います。特にここのスタッフはまだオープンしたてにも関わらず余裕があり、かつ懇切丁寧な対応をしていてとても頼もしく思えました。もちろんこれからサービスの方式や内容なども運用するなかで適宜変わっていくことと思いますが、いまある良い印象がうまく伸びていってくれたら嬉しいと、ひとりのハイアットファンとしては願うところです。
ソウルにはハイアット系だと、他にグランドハイアットとパークハイアットがありますが、少なくともグランドハイアットには設備面でも洗練の度合いでも圧倒していることは間違いないと思われます。競合関係になるかもしれないのは立地からしてもパークハイアットだと思いますが(ちなみにマリオット系だとJWマリオットが付近にあります)、アンダーズの方がより気楽にリラックスできる印象はあります。これは東京のパークハイアットとアンダーズの関係と似ているように思います。
なお立地について、アンダーズソウルのある狎鴎亭は、明洞などがある北側にも、江南駅を中心とした南側にもどちらにも行きやすい場所にあるため、ホテルだけではなくてどんどん街に出て行きたい方にはかなりおすすめできるかと思います。逆にホテルでゆっくりしたい場合は、アンダーズも悪くありませんが、パークハイアットの方がその目的にはより適うと思います。
いずれにしても、かなり心地よい滞在となり、また近いうちに今度はこちらのテラス付きの部屋にも泊まりにきたいなどと思いながらこのホテルをあとにしました。