どのロイヤルティプログラムでホテル修行するか【2020年版】

ホテル選びは旅行の準備において最も楽しい迷いのひとつですが、その選択の基準をどこに置くべきでしょうか。客室の快適性?ホテルの施設の充実度?あるいはクチコミやレートから読み取れるホテルスタッフの質の高さ?こうした問いの中心には、滞在先のホテルでしっかりとした「もてなし」を受けたいという心理が働いているということは疑いありませんが、そのための最短の道として、そのホテルのロイヤルティプログラムの上級会員になるということがあります(=ホテル修行として知られています)。

さてホテル修行をするにあたって大きな関心事としては、果たしてどのようなホテルチェーンやブランドが自分のライフスタイルに合っているのか、というところにあるのではないでしょうか。今回はこのページでご紹介しているホテルのロイヤルティプログラムを比較しつつ、いくつかの項目に分けてランクづけを行ってみました。この記事を読めば、自分のライフスタイルに合ったホテル修行はどれか、を選ぶ基準がより明確になるかもしれません。

今回の比較・検討の対象ホテルチェーン

  • マリオットボンヴォイ(Marriott Bonvoy)
  • ヒルトンオナーズ(Hilton Honors)
  • IHGリワーズクラブ
  • ハイアット(World of Hyatt)
  • アコーホテルズ(Le Club Accorhotels)

※日系のホテルチェーン(OneHamony・プリンスホテルなど)は今回は除いた。

ホテル修行を行う場合には、外資系の有名ホテルチェーンのものロイヤルティプログラムに参加することが多いと思うので、これらを中心にみてまいります。もちろん日系のホテルにも、「ホテルオークラ・日航ホテルズ」や「プリンスホテル」あるいは帝国ホテルなどの老舗ホテルなどが独自のプログラムを運用している場合もありますが、特にホテル修行をする場合には、かなり範囲が狭まるので、今回の比較からは除外してあります。そうとはいえ、これらの独自のプログラムも魅力的な内容を含んでいるので、もしご興味がある方は以下の記事をご覧ください。

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どのような項目で比べるか?

まずホテル修行で得たいものとはなにか、という点が重要だと思います。そこでこの記事では以下のような項目についてそれぞれみてまいりたいと思います。

  • ホテルの数が多いのはどこか?
  • 最上級会員になりやすいのはどこか?
  • 無料朝食を獲得できるのが早いのはどこか?
  • ラウンジアクセスできるのが早いのはどこか?
  • 総合ランキング 2020年

それぞれの項目について簡単にご説明しましょう。

1. ホテルの数が多いのはどこか?

ホテル修行をライフスタイルに取り込むうえでまず欠かせないのは、対象となるホテルが、どの都市や地域に、どのくらいあるのか、ということです。ホテルの絶対数が多くなればなるほど、目的の都市や地域にその系列のホテルがあるという確率も高くなります。ただし自分の泊まりたいホテルの雰囲気や地域内の立地条件など選択には様々な要素が関わってくるので、そのあたりは読者の皆様の好みによるかと思います。ここではホテル修行に限定して話をわかりやすくするため、2020年2月段階での各ホテルチェーンの全体数を日本国内に限定して比べています。

2. 最上級会員になりやすいのはどこか?

ホテル修行者が目指す最終的なゴールは、なんといっても自分の好きなホテルチェーンで最上級のもてなしを受けることができる最上級会員になることでしょう。ホテルチェーンによっては最上級会員のサービス内容は様々ですが、ここでは①最大限の客室アップグレード(スイートなど)、②クラブラウンジアクセス+無料朝食、③午後4時以降のレイトチェックアウト、という3つの要件すべてを満たしたものを「最上級会員」とみなすことにして比べています。

3. 無料朝食を獲得できるのが早いのはどこか?

ホテルチェーンによっては、比較的早い段階で無料の朝食が付いてくるところもあります。最大限の客室アップグレードなどの特典よりも無料朝食に関心がある方は、この項目をまずご覧ください。

4. ラウンジアクセスできるのが早いのはどこか?

ほとんどのホテルチェーンの場合、クラブラウンジへのアクセスは最上級会員に限定されています。したがって多くの場合は追加料金を支払う必要があるわけですが、それだけラウンジ利用には高い価値が置かれているということでしょう。しかしホテルチェーンによっては比較的早い段階でラウンジアクセスの権利を獲得できる場合もあります。ここでは回数の制限がついている場合も含めてクラブラウンジに早い段階で入れるプログラムはどこなのかを検証しています。

5. 総合ランキング 2019年

これまでの内容を総合的に加味したうえで、2019年にホテル修行を行う上で最も魅力あるプログラムについて独断でランキングを行います。こちらの項目は多分に主観が入っていますので、参考程度にしつつ、あくまで読者の皆様のライフスタイルを考えて、そのなかに取り込みやすいロイヤルティプログラムを選ばれることをおすすめします。

ホテルの数が多いのはどこか?

日本全体にあるホテルを比べると2020年2月現在では以下のような順位になります。

  1. マリオットボンヴォイ:49件
  2. IHGリワーズクラブ:34件
  3. ハイアット:23件

2018年にマリオットとスターウッドが合併したということもあり、やはり圧倒的な数を誇るのがマリオットリです。インターコンチネンタルを主軸としたIHGはANAホテルズと連携していることもありますが、近年では面白いホテルを数多く開業させていて、再び注目すべきチェーンになっているかと思います。

またしばらく前まではヒルトンのホテル数が第3位(17件)にきていましたが、2020年現在ではSLHや新規開業ホテルが重なったハイアットが第3位となりました。

最上級会員になりやすいのはどこか?

続いて最上級会員になりやすいのはどこかを見てまいりましょう。

  1. ヒルトンオナーズ:30滞在 or 60泊 or 120,000BP
  2. マリオットボンヴォイ:50泊
  3. アコーホテルズ:60泊 or 5,600ユーロの利用

単純に(連泊を含む)宿泊数で最小なのはマリオットなのですが、施設を変えて30回ホテルに宿泊することで達成できるヒルトンがいちばん最上級会員に近いプログラムといえましょう。またヒルトンは最上級会員になるための選択肢の多さも特筆すべきところです。

3位のアコーホテルズの最上級会員になるための必要宿泊数は、じつはハイアットのWorld of Hyattのグローバリスト会員になるのと同じ数です。しかしポイントで比較すると、ハイアットが最低でも230万円以上かかりますが、アコーホテルズの場合は5,600ユーロなので70万円ちょっととなり、より最上級会員になりやすいと言えるでしょう。

ちなみにいちばん最上級会員になりにくく、かつラウンジアクセスすら得ることができないのが、IHGのスパイアエリート会員です。逆にいえばこちらの会員資格を獲得する方の数は比較的少ないと想定されるので、稀少性はそれだけ高いポジションと言えるでしょう。

無料朝食を獲得できるのが早いのはどこか?

続いて無料朝食を最短で得られるプログラムについて見てまいりましょう。

  1. ヒルトンオナーズ:20滞在 or 40泊(ゴールド会員)
  2. マリオットボンヴォイ:50泊(プラチナエリート会員)
  3. アコーホテルズ:60泊 or 5,600ユーロ(プラチナム会員)

こちらの順位はほぼ最上級会員へのなりやすさと同じとなっています。そもそも無料朝食特典は最上級会員にのみ付与されるという場合が多いのも理由かと思います。しかし特筆すべきはヒルトンの場合は20滞在で得られるゴールド会員でこの特典を得ることができます。

ちなみにこの無料朝食特典については、しばしばクレジットカードの優待で簡単に手に入れられる場合もあります。有名なところだと、ヒルトンのゴールド会員はアメックスプラチナ特典やヒルトンオナーズVISAゴールドカードで獲得することができます。

またこのランキングには載っていませんが、ANAマイル修行僧の目指すひとつの目標となるスーパーフライヤーズカード(SFC)を使えば、日本のIHG系列のホテルで朝食が無料となります(※カード所有者のみ)

ラウンジアクセスできるのが早いのはどこか?

続いてクラブラウンジへのアクセスが得やすいプログラムを見てまいりましょう。

  1. ハイアット:30泊 or 50,000BP(エクスプローリスト)
  2. ヒルトンオナーズ:30滞在 or 60泊 or 120,000BP
  3. アコーホテルズ:60泊 or 5,600ユーロ

ここで初めてハイアットが出てきましたが、エクスプローリスト会員となればラウンジアクセスの権利を得ることができます。しかし注意点としては、エクスプローリストの場合は年に4回までしか無料でラウンジに入ることができないため、無制限とするためには最上級会員であるグローバリストにならなければなりません。これは単純にエクスプローリストの倍の時間とお金がかかるため、そんなに簡単とはいえないでしょう。

すると実質的に無制限のラウンジアクセスを獲得できる最短のプログラムはヒルトンオナーズであるといえましょう。

総合ランキング 2019年

最後に総合ランキングです。これはもし私がはじめてホテル修行をするとしたら?という視点から独断でレーティングを行なうものです。

  1. マリオットボンヴォイ
  2. ヒルトンオナーズ
  3. ハイアット World of Hyatt

1位のマリオットリワードは、無料朝食やラウンジアクセスまでの道のりがやや長いのですが、やはり圧倒的なホテルの数やそれに裏打ちされた最上級会員へのなりやすさが魅力的です。日本全国のみならず世界各地に豊富なホテルがあり、その種類も最上級のリッツカールトンやJWマリオット、セントレジスなどから、リーズナブルに泊まれるコートヤードやフォーポイントまで幅広いため、モティベーションが低下することもないでしょう。ホテルやその地域の様々な個性を楽しみつつ最上級会員を目指せます。まさしく王道のホテル修行と言えましょう。

2位のヒルトンオナーズは、ホテル数の多さもさることながら、最上級会員へのなりやすさやその途中で得られる特典のバランス感覚に優れています。ヒルトン系列はマリオット+SPGのようなバリエーションには乏しいのですが、逆に言えばどこでも一定の水準が保たれる安心感があります。またそれが世界中のホテルに貫徹されているところも特筆すべき点です。

3位のハイアットは、ホテル数・最上級会員のなりやすさなどにおいてはかなり難易度が高めなのですが、ひとつひとつのホテルの質がとても高いことが特徴といえます。玄人受けするホテルチェーンといえるかもしれません。また最上級会員になった場合の優遇の内容の素晴らしさは見逃せない魅力といえるでしょう。

なお1位のマリオットリワードは【SPGアメックス】や【アメックスプラチナ】といったクレジットカードの優待で「ゴールドエリート会員」特典を得ると、滞在自体を快適にできるほか、最上級会員にもなりやすくなります(2泊分の宿泊実績も付与される)。

また【アメックスプラチナ】については、ヒルトンオナーズのゴールド会員や、ここでは紹介できなかったけれども優れた特典内容をもつシャングリラのジェイド会員資格も無料で同時に得ることができるので、ライフスタイルにホテル修行を取り入れていくときに検討してみるのもいいかもしれません。

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