一般に「ホテル修行」というと、マリオット+SPGやヒルトンといった外資系ホテルチェーンを連想される方が多いのではないかと思います。しかしマイナーではありますが、日系のホテルチェーンでも独自のロイヤルティプログラムを展開しているところがあります。
ホテルオークラと日航ホテルが展開する【One Harmony】は、まさにそうしたロイヤルティプログラムのひとつであり、修行のしやすさや個性的な特典内容を兼ね備えています。フラッグシップである【ホテルオークラ東京】をはじめ、近年ではアジア圏を中心とした国際展開をはじめた同ホテルチェーンで修行するメリットはどのくらいあるのでしょうか。今回の記事はこの点について検証してまいります。
どれくらいのホテルネットワークなのか
最初にOne Harmonyがカバーしているホテルの数や規模についてみてまいりましょう。このホテルネットワークは基本的に、「ホテルオークラ」「日航ホテル」「ホテルJALシティ」で構成されています。またアメリカ・ハワイにある「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」やソウルにある「新羅ホテル」などもOne Harmonyのメンバーになっています。
以下がホテルのネットワークのまとめです。
国内のOne Harmony系列ホテル
<北海道・東北>
- ホテルオークラ札幌
- JRタワーホテル日航札幌
- ホテル日航ノースランド帯広
- ホテルJALシティ札幌中島公園
- ホテルJALシティ青森
- ホテルJALシティ仙台
<関東>
- The Okura Tokyo(ホテルオークラ)
- ホテルオークラ東京別館
- グランドニッコー東京台場
- ホテルオークラ東京ベイ
- ホテル日航成田
- ホテル日航立川東京
- 川崎日航ホテル
- オークラアカデミアパークホテル
- オークラ千葉ホテル
- ホテルイースト21東京
- フォレスト・イン昭和館
- オークラフロンティアホテルつくば
- ホテルJALシティ東京豊洲
- ホテルJALシティ羽田東京
- ホテルJALシティ羽田東京 West Wing
- ホテルJALシティ関内横浜
<中部・北陸>
- ホテルオークラ新潟
- ホテル鹿島ノ森
- ホテル日航新潟
- ホテル日航金沢
- オークラアクトシティホテル浜松
- ホテルJALシティ長野
- ホテルJALシティ名古屋錦
<関西・四国>
- 京都ホテルオークラ
- ホテル日航プリンセス京都
- ホテル日航大阪
- ホテル日航関西空港
- ホテルオークラ神戸
- ホテル日航奈良
- ホテル日航姫路
- ホテル日航高知 旭日ロイヤル
<九州>
- ホテルオークラ福岡
- ホテル日航福岡
- ホテルオークラJRハウステンボス
- ホテル日航ハウステンボス
- ホテル日航熊本
- ホテル日航大分 オアシスタワー
- SHIROYAMA HOTEL kagoshima
- ホテルJALシティ長崎
- ホテルJALシティ宮崎
<沖縄>
- ホテル日航アリビラ
- ホテルJALシティ那覇
このように日本全国に48件もあります(2020年2月現在)。これは他のホテルチェーンに比べてもかなり数が多い方です。中国・四国地方には高知以外にはありませんが、それでも全体的にみればバランスよく全国にホテルが点在しているといえるでしょう。他方でたとえばリッツカールトンのような最高級ホテルに位置づけられるようなホテルは特になく、ホテルオークラ東京をフラッグシップとしたアッパーミドルクラスからミドルクラスホテル、またビジネスホテルが中心となっています。
それでは世界に目を向けるとどうでしょうか。
海外のOne Harmony系列ホテル
<日航ホテル系列>
- ホテル・ニッコー上海
- ホテル・ニッコー大連
- ホテル・ニッコー秦州
- ホテル・ニッコー蘇州
- ホテル・ニッコー無錫
- ホテル・ニッコー厦門
- ホテル・ニッコー広州
- ホテル・ロイヤル・ニッコー・タイペイ
- ホテル・ニッコー・バリ ベノアビーチ
- ホテル・ニッコー・ハノイ
- ホテル・ニッコー・サイゴン
- ホテル・ニッコー・グアム
- パラオ・ロイヤル・リゾート
- ホテル・ニッコー・デュッセルドルフ
- ホテル・ニッコー・サンフランシスコ
<ホテルオークラ系列>
- オークラガーデンホテル上海
- ホテルオークラマカオ
- オークラプレステージ台北
- ソウル新羅ホテル
- 済州新羅ホテル
- オークラプレステージバンコク
- ザ・カハラ・ホテル&リゾート
- ホテルオークラアムステルダム
このように海外には23件あり、また2020年以降にも何軒かの新規ホテルの開業が予定されています。中国を中心に東アジアに比較的大きなネットワークを形成していることも特徴でしょうか。また国内がミドルクラスが中心であるのに対して、海外ではアッパーミドルクラスが中心となっているのも特徴といえましょう。
2020年2月現在は全部で71件のホテルがあり、外資系の大規模なホテルチェーンに比べると微々たる規模ではありますが、日本や中国に広く展開しているため、特に日本人には修行しやすいプログラムと言えるかと思います。
会員の種類と特典の内容
One Harmonyの会員の種類は、平会員である【メンバー】と【ロイヤル】そして最上級会員の【エクスクルーシィヴ】の3種類があります。
まずすべての会員が共通して受けられる特典は次のようなものです。
- 系列ホテルのレストランで最大10%割引
- バースデー特典
- 無料の新聞
レストランでの割引率はホテルによって異なりますが、一般には10%割引で、ホテルJALシティと一部のホテルオークラ系列のレストランは5%割引となっているようです。
またバースデー特典とは、誕生日に系列ホテルを利用した場合に、スイートルーム/デラックスルームが半額で利用できるほか、対象レストランでのケーキかデザートがサービスされるというもので、かなり得な内容となっています。このバースデー割引の制度は帝国ホテルの有償会員である「インペリアルクラブ」などでも見られる特徴ではありますが、客室料金半額はかなり特筆すべき点でしょう。
上級会員特典
One Harmonyの場合は、多くの外資系ホテルチェーンと異なり、上級会員の種類が2種類で、しかも得られる特典も共通であるというのがユニークなところです。ただし共通の特典の内容に多少の差があります。
特典の内容 | ロイヤル | エクスクルーシィブ |
ボーナスポイント | +25% | +50% |
ボーナスマイル | +10% | +30% |
クーポン特典 | ◯ | ◯ |
レイトチェックアウト | ◯ | ◯(より長い) |
客室ワンランクアップグレード | 年5回 | ◯ |
宿泊数・ポイント数の繰越 | ◯ | ◯ |
このようにボーナスポイントとボーナスマイルの獲得に差があり、エクスクルーシィブに関しては優遇されています。
クーポン特典とは、系列のホテルでスイート/デラックスカテゴリーに指定されている客室の宿泊料金が正規料金の半額になるというもので、こちらはロイヤルもエクスクルーシィブも共通となっています。
レイトチェックアウトはホテルによって可能な時間が異なりますが、エクスクルーシィブ会員の方が、最低1時間は長く滞在できるようになっています。またフラッグシップホテルである【ホテルオークラ東京】を例にすると、ロイヤル会員で14:00まで、エクスクルーシィブ会員は16:00までのレイトチェックアウトが可能であり、他の外資系ホテルチェーンの最上級会員と遜色ありません。
客室のワンランクアップグレードは、ロイヤル会員については年5回まで利用できるクーポンが渡されますが、エクスクルーシィブ会員は無制限です。
宿泊数・ポイント数の繰越とは、ステータス判定期間である1暦年内に、上級会員の維持に必要な宿泊数やポイント数を超えた分に関しては、翌年にその数を繰り越せるというものです。たとえば、ロイヤル会員になるためには年間に5000ポイントか10泊以上が必要となるのですが、1暦年内に13泊したとすると、翌年のスタート時点ですでに3泊したという扱いになるわけです。これはなかなか画期的なシステムだと思います。
ホテルオリジナル特典&プレミアムセレクション
上記の会員種別ごとの特典に加えて、OneHarmony会員にはホテルごとに異なる【ホテルオリジナル特典】が用意されています。また数ある系列ホテルの中から1つだけ自分のお気に入りのホテルを選択し、そのホテルに滞在すると特典が得られる【プレミアムセレクション】というものもあります。
たとえば、「グランドニッコー東京台場」の場合だと「ホテルオリジナル特典」として、駐車場無料やボトルウォーターの用意があるほか、上級会員にはウェルカムドリンクやViewLoungeの利用とスパ施設の無料アクセス権が与えられます。また同ホテルの「プレミアムセレクション」として、誕生日にホテルグッズのプレゼントがあるほか、ブッフェメニューの20%割引やフィットネスクラブ Le Clubの入会金60%割引がついてきます。
この特典のその他のホテルの詳細は以下のURLから調べることができます。
https://oneharmony.com/jp/Membership/Original
上級会員になるには?ポイント・宿泊数獲得の方法
さてこうした特典が用意されているOne Harmonyですが、ホテル修行において重要な上級会員へのステータスアップはどのようになっているのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
ポイントの獲得方法
まず、ポイントの積算方法ですが、次のようになっています。
- 宿泊利用の場合:1000円につき20ポイント
- レストラン・バーの利用:1000円につき10ポイント
特徴としては、宿泊でもレストランやバーの利用でもポイントが付与されるということで、ハイアットのWorld of Hyattなどと同じ方式です。そして貯めたポイントはホテルの宿泊やギフトの獲得などに利用することができます。
https://oneharmony.com/jp/RedeemPoints
これはホテルを最大限に活用しつつ修行できる点でこの方式はかなり優れていると思います。ただし宿泊の方がポイントは多く付与されるので、より早く上級会員やポイントの特典などを利用したい場合は、積極的に系列のホテルに宿泊する必要があります。
上級会員になるには
ロイヤル会員になるためには、5,000ポイント以上の獲得か系列ホテルへの10泊以上の宿泊が必要です。One Harmonyのポイント積算率で計算すると、完全に宿泊のみでポイントを貯めるとすると、25万円分の利用が必要になります。またレストラン利用のみであれば当然50万円です。
また最上級会員であるエクスクルーシィブ会員になるためには、15,000ポイント以上の獲得か系列ホテルへの30泊以上の宿泊が必要です。これも同様に計算すると、最安で75万円分の利用が必要になります。
さてこの数字を高いと見るか安いと見るかは、当然人によって異なるものでしょうが、個人的には比較的上級会員になりやすいプログラムだと思います。難易度でいうとアコーホテルズのLe Club Accorhotelsと同じくらいでしょうか。さらに、冒頭に見たように国内にかなりの数のホテルがあり、また安く泊まれるホテルも数多いので、難易度はさらに低くなります。
ただし最上級会員の特典は、無料朝食やクラブラウンジアクセスなどの他の外資系ホテルチェーン(マリオット+SPGやハイアットなど)が用意するようなものもないので、無理して目指さなくてもいいのかなとも思います。もちろんホテルオークラや日航ホテルの利用頻度が高い方であれば、マイルの積算率も高いのでおすすめできますが。
One Harmonyは、ホテルのネットワークの規模の割には日本国内を中心としたホテル数が多く、また価格の安いホテルも多いため、宿泊数で上級会員を比較的簡単に狙っていくことができそうです。また食事でのポイント積算もできるなどの柔軟な点も評価できるでしょう。
難点としては、最高級ランクに位置するようなホテルがなく、修行や獲得したポイントの利用に対するモティベーションがやや弱いというのが欠点です。とはいえホテルオークラ東京や海外のアッパーミドルレベルのホテルなど魅力的なホテルも擁しており、さらにこれらのホテルは日系だけあって、日本人に対するサービスが充実していることも特徴といえます。
最上級会員への要件も他のホテルチェーンに比べると緩いため、国内の出張の多い方やはじめてホテル修行をされる方にもOne Harmonyはおすすめできます。