なぜリッツ・カールトンで食べる沖縄そばが美味しいのか

沖縄には他にも数多くの高級リゾートホテルがすでにあるし、また近年でも「ハレクラニ」のオープンが間近に迫るなど、まだまだ掘り尽くされていないリゾートとしての魅力に満ちた場所であると思います。沖縄というと複雑な歴史的な経緯を辿った地域でもあり、簡単に、沖縄は〜と語ることには抵抗がありますが、しかしやはりひとりの訪問者として考えると、数多くの魅力的なリゾートがあるというのは嬉しいものです。しかもそれぞれのレベルが極めて高いということも付しておかなければなりません。

リッツ・カールトン沖縄は、名護市の喜瀬にある丘の上に位置する高級リゾートホテルです。ゴルフ場に面していますが、プライベートビーチもあり、いかにも質のたかそうな石造りのプールで泳ぐのも気持ちのいい、魅力的なホテルのひとつです。

沖縄のリッツ・カールトンに泊まったら、やはりリゾート内のレストランで美味しいものを探したくなるものです。イタリアンレストラン「ちゅらぬうじ」で地産あぐー豚のブラーチェ(炭火焼)を味わってもいいし、鉄板焼きの「喜瀬」で伊勢海老を焼いてもらってもいい…その日の気分にのっとって、豪勢な食事をのんびりと楽しむのが好きです。

でも決して外したくないメニューをひとつ挙げてほしいと言われたならば、私はきっと、幅広い人から愛される気軽だけれど奥の深いある料理を思い浮かべます。

それがこの「沖縄そば」です。

沖縄そばといえば、伝統的には小麦粉にガジュマルの木などを煮詰めた灰汁で打たれた麺のことをいいましたが、近年では入手しやすくなった「かん水」が使われるようです。この沖縄そばの特徴はなんといっても、このモチモチと弾力のある食感の麺に、たっぷりととられた出汁の風味の味わいが絡み合うことです。ここに島唐辛子の泡盛漬けである「コーレーグース」を少々ふりかけると、抜けるような爽やかな辛さが加わります。

沖縄そばのベースとなっているのは豚骨スープですが、基本的にはここに鰹だしか昆布だしがブレンドされています。リッツ・カールトンのそれはとてもコクのある味わいの上品なものです。また具材には三枚肉と軟骨肉(いわゆるソーキ)の両方が乗っており、炭火の香りもほのかにするような本格的な仕上がり。この具材だけでもただならぬこだわりを感じさせられるものになっています。

オールデイダイニング「グスク」でも食べることができますが、せっかく宿泊していて、気持ちのいい天気を望めるのであれば、ルームサービスにしてテラスでいただくというのが、なんともいえず良いものです。

まずは合わせ出汁のスープからはじめましょう。喜瀬に吹く爽やかな風に引き立てられる美味しい香りをききながら、麺の食感を味わいます。最初はしっかりと硬いのですが、スープの味がうまく絡み合っていて、噛み締めていくうちにしだいに食感は気持ちのいいモチモチした弾力へと変わっていきます。

つづいて具材のお肉を堪能します。三枚肉の方はしっかりとした肉厚のもので、脂身の甘みがしっかりと広がっていきます。他方で軟骨肉の方はとろりとした強い余韻を感じさせられる味わいです。この2種類のお肉の個性をここまで引き出していることには感服せずにはいられません。最後まで倦怠感を催させない麺とスープと具材の三つ巴です。

沖縄そばは、極めてポピュラーなグルメのひとつであり、合わせ出汁と三枚肉とオーソドックスなものから、モツやゆし豆腐を使ったものに到るまで様々なバリエーションのものがあります。たとえ高級ホテルであっても、ルームサービスで注文されるようなシンプルなものについては、さほど力を入れていないということはよくあるものです(たとえば、どこにいっても同じような味がする鍋焼きうどんなど)。しかし、リッツ・カールトンの沖縄そばは、この一品だけでも勝負できるほどに豊かな味わいを持っていると評価できましょう。

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