2023年2月 パークハイアット東京 宿泊記
ブルートレインで最後の旅に出かけたのは、いつの頃だったのだろう。ガタンという鈍い衝撃音と共に客車が揺れる。みんな一緒に揺れる。A寝台もB寝台も乗務員も。そしてキーっという甲高い音が遠くに聞こえるやいなや、静かに滑らかにゆっくりゆっくりと景色は後ろに流れていく。特に好きだった東京発大阪行きの夜行急行銀河。日本の二大都市を結ぶビジネス列車。でもビジネス列車というにはあまりにもくたびれていて、どこか時代 […]
ブルートレインで最後の旅に出かけたのは、いつの頃だったのだろう。ガタンという鈍い衝撃音と共に客車が揺れる。みんな一緒に揺れる。A寝台もB寝台も乗務員も。そしてキーっという甲高い音が遠くに聞こえるやいなや、静かに滑らかにゆっくりゆっくりと景色は後ろに流れていく。特に好きだった東京発大阪行きの夜行急行銀河。日本の二大都市を結ぶビジネス列車。でもビジネス列車というにはあまりにもくたびれていて、どこか時代 […]
佐藤愛之助、生まれはロンドンから少し北にいったクラプトン。その珍しい苗字がのちの彼の運命をどこまで決定的なものにしたのかについては議論の余地があることでしょう。いまよりもずっと社会的な流動性の低かった時代のこと、オックスブリッジでの学位取得が困難であることを見越して、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンを優秀な成績で卒業した彼は、遠い異国の地を心に抱いて海へと船に乗り込み、公使館の通訳生として横浜の […]
釜山駅からはきらきらと輝く海が見えました。密陽経由でのんびり走っていたKTXは、大邱を出るとスピードを上げて、枯れた山々やいきなり現れる高層ビルの都市を抜けて、ようやくソウルの街まで辿り着きました。現代的でありながら日本の大都市の駅に比べると妙に無機質なプラットホームに降り立って、そのままタクシー乗り場へ。ハイアットまで。でも南山のグランドハイアットではなくて、三成のパークハイアットに。わざわざ運 […]
年明けのムードもすっかり忘れつつある2月のはじめ。私は再びこの街を訪れました。去年の年末に急用のためにソウルに行くことになって、久しぶりにその手軽さを思い出して、すかさずまたホテルを予約してしまったのでした。日本から最も近い海外の大都市。その距離的な近さもさることながら、魅力的なホテルが数多くあることも、この地を何度も訪ねる理由として十分すぎるほどです。今回はもともとソウルにある個性的なハイアット […]
想定していたよりもやることが多くて、結局、夕方の5時近くになってしまいました。六本木通りには混沌とした車の列ができていて、乾いた寒気の中に無数の白い排気を放出していました。雪が雨に混じった曖昧な天気のなか、私はハンドルを切って、屋内のループラインをホテルのエントランスへと進んでいきます。 今日は特に冷えますね。そんなことをベルのスタッフに話しつつ、鍵と荷物を預けます。そのままグランドクラブへと案内 […]
なにも予定のないクリスマスの翌日に降り立った仁川空港には乾いた寒さが漂っていました。思いがけず年末のソウルに1泊滞在することになり、あてどなく乗りこんだ満席の飛行機。ボーディングブリッジを降りる人々は着込んでいて、久々に訪れた冬の隣国のこの冷気を瞬間的に思い出させました。数年前に来たときとは色々な意味で状況が変わっている。果たしてそれが自分にとってどんな意味を持つのだろうか。そんなことをぼんやり思 […]
思ったよりもずっと冷たい海風が吹いていた早朝のオークランド。今日のフライトまではまだ十分に時間があるけれど、手配してくれた車がまだ到着しないのでなんだか気持ちが落ち着きません。先進国で最も早く太陽が昇る国。空の明るさが増して、ヴァイアダクトハーバーをジョギングする人たち。当初の予定よりも15分ほど遅れて車がホテルに到着しました。到着したときに空港からホテルまで随分と時間がかかったことともあり、これ […]
毎年、大晦日になると、私はその年に撮った写真を眺めます。 今年のはじめにこうしたいと思っていたこと、思い悩んでいたこと、願っていたこと…解決したこともあれば、積み残したこともあります。 ホテルステイを生きがいにしている者にとって、そうしたすべての想いはどこかのホテルにいた記憶と密接に結びついています。必ずしもそこに宿泊したわけではなくても、食事したり、誰かと会ったり、所用があったり、あるいはなんと […]
夜の10時近くなってそろそろ搭乗のアナウンスが流れる頃。想像よりもはるかに短い時間で出国の手続きを終えた私は、夜の空港のターミナルでハーブティを飲んでいました。本当はコーヒーでも飲みたい気分だったのだけれど、夜間飛行とカフェインはどこか私のなかで相容れないものがありました。 それにしても寂しいターミナルです。夜の空港には独特の疲れたような雰囲気が漂うものですが、これは昨今の社会情勢の反映でもあるの […]
本当は毎日書きたいと思っていたのです。少なくとも1週間に1回は。いや、仕方ない、2週間に1回書けたらそれでいいや…ところが、日常のさまざまなことをこなしているうちに、あるいは、そんなことを言い訳にしながら、ついつい更新の手が止まり、1ヶ月に1回、より正確には、1ヶ月半に1回くらいの更新頻度になってしまいました。Twitterではしばしばホテルの滞在を綴っていました。そしてそれで満足した気でいたので […]