2024年1月〜3月のホテルステイを振り返る

明日から少し遠出をすることになっていて、いま旅の準備をひととおり終えたところです。しばしば誤解されるのですが、私は海外旅行が好きではないのです。ホテルステイはものすごく好きですが、主に仕事の都合でひとりで旅をすることになり、しかも交通網や現地の情報の下調べから、リスク管理から、語学的な不自由性や日本と比べた場合の利便性の低下など色々な想定に対処するのが面倒で、できれば行きたくないと思ってしまう。それにも関わらず、旅を終えると、いつもどこか満たされた気持ちになるのは、異世界との出会い…それ以上に、日本ではなかなか叶わないホテル体験や長旅特有の「ハイ」な状態に巡りあえるからなのかもしれません。

今回の旅は東京を起点に、愛しのキャセイパシフィック航空に乗るために、香港を経由して、米国のふたつの大都市をめぐり、再び香港経由で東京に戻ることになっています。はっきり言って面倒と思うことも多いのですが、今回はいくつかのホテルの「元祖」や「本店」と言える場所をめぐることで癒しを得ようと算段しているところです。そして、ふと思ったのは、こういう大きなホテル巡りをする前に、今年はいったいどんなホテル体験を重ねてきたのかをなんとなく振り返ってみたいということでした。そこで(最近のこのブログはいつも「振り返り」記事ばかりになっているということからは目を逸らして)年明けからいままでのホテル体験を簡単に思い返してみようと思ったのです。

よろしければ少しお付き合いください。

帝国ホテル&オークラ東京

年明けはふたつの大好きな日系ホテルをはしごしました。泊まってはいません。ただなんとなく年明けには日系ホテルに行きたくなるんです。

W大阪

年明け早々に所用で大阪へ。比較的時間に余裕があったためか開放感のあるスイートルームを存分に味わえたのでした。年明けの御堂筋を行き交う車の流れが印象的でした。

ホテルインディゴ犬山有楽苑

ここもどういうわけか年明けの定番ホテルのひとつになっています。武家屋敷のような趣とおもちゃ箱のようなポップさの奇妙な統一。相変わらずホスピタリティもしっかりしていてほっとします。

東京ステーションホテル

ひとつの理想的な空間だと思います。コンパクトでありながらもクラシカルな世界観があって、どっしりとしたスモールラグジュアリー。もともとの東京ステーションホテルというと、良くも悪くもどこか無骨ないかにも昭和の駅舎ホテルという趣でしたが、ここまで上品になってしまうともはや別世界…そう開業したときに思ったものでした。良くも悪くも…が残っているのは、その日系らしさ、でしょうか。なおまったくこれは些細なことですが、SLHとハイアットの提携解消となると、おそらくこのホテルとも少し縁遠くなってしまうかもしれません。まだ仲通りのイルミネーションが華やかな季節でした。ちょっと外を散策して冬の華やかさに目を輝かせていました。

パークハイアット東京

思い出も思い入れも多すぎて、いまだに改装のための休館という現実を受け入れきれない自分がいます。この日はある冬の日の静かな滞在でした。冷たい雨のなかのあたたかな夜でした。

リッツカールトン日光

はじめて冬のリッツカールトン日光に滞在しました。驚くほどの凍てつく寒さで夜は吹雪の露天風呂という希少な経験もできました。冬の中禅寺湖畔は本当に美しいのですね。スイートルームからゆっくりと眺めている時間もとても満ち足りた時間でした。個人的な印象ですが、日本国内に開業してまもないリッツカールトン(日光と福岡)のホスピタリティがしっかりと育ってきているように思います。はじめてリッツカールトンに泊まったときの感動に近いもの。それをちゃんと感じられることの悦び。そうそうひとりステイに朗報なのは、ここのレークハウスの食事はハーフポーションなども柔軟に対応してくれました。これで心置きなく名物のピザを食べられますね!…とそうこうするうちに、フルポーションくらいの量を食べてしまうのは世の常というものでしょう。

キンプトン新宿東京

いつ滞在しても明るく開放的な気持ちになれるホテル。それがここです。ちょうどイギリスから友人が訪ねてきていて、階下のJonesでクロッフルを食べながらなんということはない近況をだらだらと語っていたのもいい思い出。今度は京都で再開しよう…!よかったらフォションで。そんな話もしました。世界観の魅せ方は当然違うものの、どこか京都のフォションホテルとキンプトンはすごく親和性がある気がするのです。その違いなんかについてまただらだらと話したいなと思いました。

コートヤードバイマリオット名古屋

比較的リーズナブルでありながら、いつもしっかり満足のできる滞在が実現する優等生。このときも慌ただしい滞在でしたがとても快適でした。

W大阪

また戻ってきてW大阪。

年始はとても満ち足りた滞在だったのですが…この時はいろいろありましたww

皆美館

毎年毎年、今年こそは松葉蟹を食べる!とそう思い続けて数年。とうとう実現しました。ひとり黙々と松葉蟹に向き合って、宍道湖を眺めて、温泉につかる。とても静かでストイックで、でもなんだかほっこりする滞在。たまには王道の日本旅館もいいものだと思いました。

モクシー大阪本町

モクシーなんて…というなかれ。さりげなくこのホテルの存在が私がマリオットに夢中になるひとつの大きなポイントになってさえいるのです。独特の世界観をもった空間。楽しい食体験。コンパクトでシンプルなのに快適性をしっかり追求した客室の設備。スタッフのホスピタリティも最近は安定していると思います。これだけ満足度が高いのにこれだけリーズナブル。あなどれません。宿泊費の高いホテルがすべてではない、とは常々思っていることですが、これくらいの満足度と適度に放任されつつ求めるものにはちゃんと応えてくれるホスピタリティ。予算面でも宿泊体験という意味でもある意味で私の最近のホテルに求めるものの全て満たしているとさえ思うのです。

グランドハイアット東京

1泊2日のあいだずっと雨でした。少し雪混じりの冷たい雨でした。部屋で仕事したりゆっくりしたり…ときどきヒルズにきままな買い物。朝食はおなじみのフレンチトースト。これがびっくりするくらい美味しいんです。

ウェスティン横浜

この日も雨でした。落ち着いたインテリアのなかでゆっくりしよう。個人的な最近のウェスティン横浜最大のニュースはバレーパーキングサービスをはじめたことです。これで立体駐車場で入出庫するストレスから解放されてシームレスなホテル体験が可能に。嬉しいことです。ぜひ今後は積極的にここに車で泊まりに来ることにしましょう。

ウェスティン仙台

しっかり快適に滞在できる東北の定宿。夜も朝も牛タンを食べたくなる。この日は比較的過ごしやすい気候だったのでちょっと仙台の街も歩いてみました。

TIADオートグラフコレクション

大通公園の近くでゆったりとした滞在。去年末に滞在してからというもの、この客室の居心地の良さに魅了されています。おそらく名古屋でもっとも客室の快適性の高いホテルではないかと思います。階段とテラスとビューバスと…部屋から出なくていいかな。でもロケーションもよくてちょっと散歩にも出かけたくなります。なんでしょうか。そういうホテルっていいですよね。スタッフがとても丁寧(ときに過剰なほど)なのも好印象です。

グランドハイアット東京

今年は桜の開花が例年より遅くて、花見もできるかわからない…そんなときにふとHyattのページを眺めていたらこの「花のスイート」の空室を見つけてすかさず予約したのでした。やわらかな色合いの青空に春の訪れを感じながら開花を待つ滞在でした。ふと夜にオークドアバーのキューバサンドを食べたくなってちょっと暴食してしまったのも良い思い出だったりします。

ストリングスホテル東京インターコンチネンタル

夜のアトリウムの壮大さと落ち着いたインテリアが好きでここもまた定期的に泊まりたくなるホテル。そう、定期的に泊まりに来たくなる理由のひとつには、食事のおいしさ、わけてもインルームダイニングのクラブハウスサンドは深夜であってもつい注文してしまう絶品。品川の夜に抱かれるように、そのままゆっくり眠る。そしてリフレッシュして朝出かける。その心地よさ。久しぶりの東京都内の連泊でしたが、ここを選んで本当によかったと思うものです。

アロフト大阪堂島

個人的にここは比較的高い割合でスイートルームにしてくれる気がします。それを特段求めているわけではないけれど、バスタブと広いリビングと開放感あるベッドルームが心地よくてやっぱり嬉しくなってしまう。ここにくると近くのお気に入りの店に食事に行くことが多いのです。そして昼の賑わいがすっかり落ち着いたオフィス街の横を流れる川を渡って、このホテルに戻ってきたときのギラリとした雰囲気にいつもなんだかほっとする。この感覚こそホテルステイの魅力のひとつと常々思います。

ヒルトンガーデンイン京都四条烏丸

本当にひさしぶりのヒルトン系列。ポップなカラートーンやシンプルながら機能的な作りの客室など優等生的な空間づくりはさすがと思わされます。ホテルのグローバル・スタンダードという印象を私はヒルトンに持つわけですが、ここもやはり模範的な居心地の良さ。でも私の想像を超えて、ここは距離感が近くて、なんとなくハイアットタッチに近いようなあたたかさもかんじられてさらに好印象。ところでここのバスアメニティ…私はクラブツリー・イブリンの香りが好きで、それを期待していたのですが、違うものが用意してありました。なんだかとってもビタミンたっぷりな感じの香り。悪くないです。なんだか元気になれる気がしました。ホテルをあとにしたら桜が咲いているのが見えました。外国人観光客で大混雑(タクシーすらつかまらない)のも納得ですね。

ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル

隣接する姉妹ホテルのPier8に目が奪われがちですが、アイコニックな建物に堂々たるサービス。個人的には横浜のホテルの中でも強く推したいところのひとつです(もちろんPier8も好きですよ)。夜の海を眺めているとき、いろいろなことを思い出しますね。

長崎マリオットホテル

異国情緒あふれる港町。どこか切なさも漂いながら、歴史の数奇な運命の結節点にある街。本当に絵になるたくさんの景色に彩られた港を見渡す駅前に立地する新しいマリオット。ホテルのインテリアもすっきりとして心地良い最近のマリオットスタンダード。スタッフの応対もとても気持ちの良いものでした。夜になるとこのテラスからの眺めがまた変わってきらきらと小さな光が港にも山裾にも広がってとても綺麗なんです。そうそう長崎といえば、ちょっと前にヒルトンもできたし、まもなくグラバー園のほど近く、美しい煉瓦造りの旧マリア園の場所にインディゴもできる予定ですよね。次にいつ来られるかわかりませんが、この街のホテル巡りもいつかしてみたいものです。

ANAインターコンチネンタルホテル東京

六本木エリアにはひとりで泊まるのに本当に気持ちのいいホテルがいくつかありますが、ここANAインターコンチネンタルのクラブフロアもそのひとつ。若干シャワーの水圧が弱いと感じますが、それ以外は完璧と言っていいでしょう。クラブラウンジの質の高さは特筆すべきですし、ホテル全体を貫く「東京感」がなんとも素敵だなといつか思います。ちなみに今回の滞在の2日目は家族も合流したためにスイートルームに移動。現在さまざまな客室の改装中のこのホテルですが、リノベーション前のシンプルなインテリアの部屋でした。これからどんな進化を見せてくれるのか楽しみですね。

ひと通り振り返ってみて…

あんまり泊まってないかもしれないと思っていたら、想像以上に「今年」泊まっているホテルが多かったことに驚いています。よくよく考えてみたらまもなく今年も1/3が終わろうとしているのですね。時の流れはいつも早すぎますね。

そんな時の流れのなかでホテルステイに対する価値観もゆっくり移ろったり、元に戻ったりを繰り返しているような気がします。ふと去年の今頃はどこにいて、どんなことを考えて過ごしていたんだろうと感傷的な気分になったりもします。そういえば去年くらいからでしょうか、NIPPONIA系列との出会いにはじまって日本全国に点在するまだ十分には知られていないけれど、魅力がたくさん詰まったホテルを探すことにはまったのは。それ以来ますます私の国内旅行愛が強まっている気がします。合わせて分かりやすい高級感だけではなく、その場所でしか体験できないこと、なにげなく過ごす心地よい時間の密度、そんないろいろな良さに自分を開いてきたような気がしています。

しかし振り返ってみると、どのホテルもそれぞれの楽しみ方がありましたね。なんだか面倒だなと思っていた香港と米国の旅も悪くないかもしれないと思い始めました。結局はその場所にどんな魅力や楽しさを見出すのか、それに尽きるような気もします。今回は分かりやすい高級感とモダンでシンプルなものとを織り交ぜたホテルステイの旅になる予定です(本当は仕事が主目的ですが…笑)。またその記憶を誰かと語り合えることを密かに楽しみにしつつ…またここでもその記録を綴ってみたいと思います。

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