夜と朝のコントラストが美しいホテル〜リッツ・カールトン沖縄宿泊記

私はホテルの客室で迎える朝が好きです。だから目覚めと一緒に爽やかな気持ちになれるようなホテルはいいホテルだと思います。

例えば、それは、アンダーズ東京のラージルーム、それもタワービューの部屋。この部屋に泊まることがあれば、ぜひとも夜は灯をすべて消して、あえてカーテンを閉めずに寝てみていただきたい。季節を問わず、天気の良い朝であれば、大都会・東京の目覚めに合わせて、気持ちのよい朝の光を戴きながら眠りから醒める快感を存分に堪能できます。

ザ・リッツ・カールトン沖縄は、沖縄県名護市の喜瀬の小高い丘の上にあり、遠くに東シナ海と本部半島を望む絶景が客室から眺めることができます。またホテル全体の雰囲気も洗練されつつ、夜のシックな感じと、朝の開放的な感じとが、美しいコントラストを描いています。

先日、思いがけず臨時の休暇を得たので、こちらのホテルを訪ねてきました。

空港からレンタカーでホテルに向かうと、エントランスではバレーサービスで車を預かってくれます。軽やかなリゾートホテルの雰囲気も悪くないものですが、こちらはそれとは対照的な重厚感があります。こういう世界観の演出はさすがマリオット系列だと思わずにいられません。

なおこのホテルはエントランスまでの丘の道がとても綺麗に整備されていて、そちらも見所だと思います。

このホテルに初めて訪れた時には、日本のリゾートホテルにもこんなに洗練されたロビーエリアの空間づくりをしているところがあるのだな、と驚きと感動を覚えました。今回が2度目だったのですが、改めて、やはり素敵な空間だなと思いました。気温も暑くもなく寒くもなく、海からの夜風がとても心地良く感じられました。

チェックインの対応について

空間デザインは極めて秀逸なのですが、チェックインを担当してくれたスタッフの方が不慣れなことが多くて、説明不足や客室の備品のリクエストがうまく伝わらないということがありました。それをマネージャーがフォローしようとしたのですが、やや慇懃無礼な対応だったのが気になりました。またスタッフルームから私語が聞こえてきていて、私は特に気にしなかったのですが、そのマネージャーが叱り飛ばしにいき、その声がこちらまで聞こえてきたのにはちょっと首を傾げざるをえませんでした。なかには素晴らしいホスピタリティに溢れるスタッフの方たちもいて、満点の対応をしていました。一部の例外的な最高のホテルをのぞいて、どんなところでもスタッフ間の対応のばらつきはあるものだと思うので、あまり批判的にはなりたくないのですが、このあたりの対応によっては、ホテルに対する印象も一段と変わってくるものではないかと思います。

チェックインを済ませて客室に向かいます。
回遊性を持たせた客室にはバルコニーが付いていて、天井のシーリングファンも涼しげです。ベッドもどちらかというと柔らかめ。しかしウェスティンなどに比べると、少々反発を感じるような気もしました。いずれにしても寝心地の良さに優れた良いベッドです。
インテリアコードはナチュラル系です。リッツカールトンというと、勝手に、暗いダークブラウンのような重厚なイメージがあるのですが、こちらはかなり明るめのライトブラウンが主体になっています。それでも上品かつ高級感溢れる空間を実現しているのは、さすがだと思います。
バスルームには大理石が用いられていますが、全体的にはライトなタッチ。しかしベッドルーム側と同じようなインテリアコードに統一されています。本当にこのようなハード面の水準の高さは素晴らしいものです。なおバスタブとは別にシャワーブースも用意されています。アメニティは国内のリッツ・カールトンではおなじみのアスプレイのパープルウォーターです。
このバスルームですが、明るい時間帯であれば、カーテンを開くとゴルフ場を挟んだオーシャンビューバスとなります。ここでゆっくりとしたバスタイムを過ごすのもまた愉しいものだと思います。
ターンダウン後のベッドサイドにはご当地の代表的なお菓子である「ちんすこう」が用意されています。黒糖味や紅芋味でなかなか美味しいものです。
シャワーを浴びて、しばしくつろいだら、しっかり整えられたベッドで休みましょう。窓を閉めておいても、自然の音色が外から聞こえてきます。都会でも夜通し活動する自動車の音やビルの灯などが見えて、その躍動感に捉われたり、安心したり、あるいは眩暈をおこしたりするものですが、それとは対照的な世界がここにはあります。明かりを消すと真っ暗になり、ただ星空の下で、遠くの方に本部や名護の町の明かりがぼんやり見えます。
そして目を覚ますと、このような鮮やかな緑と青が広がります。このコントラストは本当に心躍ります。まさしく陽の光を浴びながらの爽やかに目覚めることができました。
朝食はオールデイダイニングの「グスク」にて。定番のコンチネンタルブレックファストの内容と一緒に、こちらでは沖縄料理も並びます。ジューシー(炊き込みご飯)や海ぶどう、またゴーヤーの漬物などもついつい選んでしまいます。またジュースにもパインジュースやマンゴージュースなどが用意されており、南洋の果物が好きな私としては嬉しい限りでした。
食後はただただのんびりとホテルの中で過ごします。
もちろんドライブで外に出かけるのもいいのですが、こういうホテルではあまり多くの予定を詰め込めずに、ゆったりとした時間を楽しみたいと思うものです。
この日はかなり暖かかったので、こちらのプールで泳いだり、昼寝をしたりしつつ、過ごすことにしました。
ハイアット好きな私でも、ついついこちらのホテルを選んでしまうのは、こういう美しいコントラストを描く空間とそこで流れる時間の豊かさに何度でも触れたくなってしまうからなのかもしれません。そしてこういう場所に滞在すると、現在という時間の流れを否応無く感じられてしまう都会の生活に帰ることに対して、ある種の倦怠感を覚えてしまうものです。こういう感情を持たせたら、リゾートホテルとしては「勝ち」といえるのではないでしょうか。なぜならそういう気持ちの旅人はきっとここにまた戻ってくるのだろうから。
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