ハイアットのロイヤルティプログラムであるWorld of Hyattが、スモールラグジュアリーホテルズ(SLH)と提携するようになってから、もうしばらく経ちました。この提携はすべてのSLH系列のホテルを対象としたものではなく、徐々にその提携範囲を拡大していくという発表がされていますが、2019年4月現在、日本国内だとまだニセコの「Kasara Niseko Village」しか登録されていません(しかもこちらのホテルは空室がでない)。
そうした状況であるので、まだまだ知名度がさほど高くなく、また利用する機会が十分にあるとは言い切れないのですが、アジアだとタイやマレーシアを中心として徐々にハイアットと提携を行うSLH系列のホテルが増えてきています。その結果、以前よりもハイアットのグローバリスト修行を行いながら、アジア各地の(しかも大規模なチェーンがカバーしていないエリアなどの)ホテルの選択肢も増えてきています。
台湾はそもそもハイアットの系列のホテルがこれまでグランドハイアット台北しかなく、きわめて修行へのインセンティブがない場所だったのですが、2020年に「パークハイアット台北」と「アンダーズ台北」が同一のビルに同時オープンするというニュースもあり、今後の見通しに注目が集まっている場所です。またSLHと提携したことによって、大安地区にあるブティックホテルである「ホテルエクラット台北」(Hotel Eclat Taipei)もハイアットのポイント加算やポイント宿泊の対象となりました。
今回はこの「ホテルエクラット台北」の全体的な印象やWorld of Hyattの特典やポイントの取り扱いについて注意すべき点などを具体的にリポートします。またこれに続く記事ではその個性的な客室の様子もご紹介してまいります。
ホテルエクラット台北の印象
個人的な印象ですが、他のアジア圏の都市と比べると、台北には魅力的な高級ホテルの数がやや乏しい印象があります。ハイアットにはグランドハイアットしかなく(しかもやや古い)、マリオット系列にも「W」はありますが、リッツカールトンやJWマリオットといった名だたる最高級ブランドはありません。「リージェント台北」はIHG系列となっていますが、こちらもやや古く、また2019年4月現在でソフトオープンしている「Kimpton」はモダンな雰囲気ですが、やや施設全体としては簡素な印象があります。
アジア系列の最高級ブランドとしては、シャングリラは(特に近年のものに比べると)やや時代遅れな雰囲気だし、ペニンシュラはそもそも台北にはありません。例外的にマンダリンオリエンタル台北はやたらとゴージャスな雰囲気を漂わせていて、インテリアもかわいらしくてとても好印象です。
もちろん上であげた「古い」ホテルと言っても、ハード面での問題であって、リノベーションがされていたり、ソフト面での水準が高いなど一概に悪いというわけではありません。ただやはり個人的には他のアジアの大都市に比べると、やや魅力には乏しいなどと思ってしまうわけです。
とりわけ一人で滞在するという場合に、ホテルの中での仕事のしやすさや、フィットネス・スパ施設が充実していることは必要不可欠だと思っているのですが、そうした点を高い水準でクリアしているホテルというと、あまり数多くはない気がします。そうなるとむしろ様々な設備はすっぱり諦めて、客室を充実させつつスタッフによるきめ細やかな対応が受けられる心地よいホテルが求められるようになると思います。そういうホテルに泊まると外にふらっと出かけていって、帰ってきたときになんともいえない満足感を得ることができるのではないでしょうか。
ホテルエクラット台北(Hotel Eclat Teipei)はまさにそうした意味では理想的なホテルだと思います。SLHに登録されていることからもわかるように、ホテル全体の規模はかなり小さなものです。プールやスパ施設なども特にありません。
しかしエントランスをくぐると、現代アートがあちらこちらに配された個性的な空間に目を奪われます。さらにスタッフの方たちも小規模だからこそ可能なアットホームな対応で、ゲストの要望に対して、きめ細やかな対応をしてくれます。
細やかなサービスが充実しています
客室のご紹介は次の記事で行いたいと思いますが、このホテルは、他ではなかなかみられないこだわりのアメニティの充実をその特徴のひとつに挙げられると思います。
客室に置いてあるボールペンは「モンブラン」のもの。バスアメニティは「ゲラン」で揃えているほか、冷蔵庫の中の飲み物も好きなだけ飲めるようになっている…といった、ハイアットでいうと、アンダーズのようなこだわりときめ細やかさを備えていると思います。
同じくアンダーズらしいと思われるサービスは、1階のロビーエリアの右手側にはこのようなフリーのラウンジがあることです。「エクラットラウンジ」というこちらのラウンジは、朝はブッフェスタイルの朝食を提供していますが、それ以外の時間でも宿泊客は自由に持ち帰ってよいお菓子や飲み物、フルーツなどが用意されています。
このあたりのきめ細やかなサービスアイテムの充実などもこのホテルの魅力といっていいでしょう。
World of Hyattの特典と注意点
特にロイヤルティプログラムにこだわらなくても、こちらのホテルはなかなか魅力的かと思います。しかしハイアット修行をされている方であれば、こちらのホテルは台北での有力な選択肢になるでしょう。
以前の記事でもお伝えしましたが、ハイアットは現在この「ホテルエクラット台北」も加盟するSLHグループとポイントの提携をしています。このプログラムの詳細についてはそちらの記事をお読みいただきたいと思うのですが、ざっと次のような特典を得ることができます。
- 1USドルあたり5ベースポイントの付与
- ポイントによる特典宿泊が可能
- 無料の朝食(コンチネンタルブレックファスト)
- 無料のWiFi
- 12:00pmからのアーリーチェックイン(空室状況による)
- 2:00pmまでのレイトチェックアウト(空室状況による)
- 1カテゴリー上への客室アップグレード(空室状況による)
無料の朝食やチェックイン・チェックアウト・客室アップグレードなど通常のホテルチェーンの上級会員特典のような内容が、平会員を含むすべてのWorld of Hyattのメンバーに対して付与されています。これはかなり大きな点ではないでしょうか。逆に言えば、グローバリストなどのハイアットの最上級会員ならではの特典というのはありませんが、それでも十分に魅力的な内容かと思います。
こちらが「エクラットラウンジ」での朝食の様子です。
World of Hyattの規定によると「コンチネンタルブレックファスト」と書いてありますが、こちらはブッフェ形式となっており、通常のホテルのブッフェに望ましいものはほとんどカバーしています。
またこちらの朝食はメインディッシュをひとつ選択することになっており、オムレツなどの卵料理や、フレンチトースト、あるいは台湾式の朝食も選ぶことができるようになっていました。私は台湾式のお粥をオーダーしましたが、これが非常に上品な味で満足度も高いものでした。
ポイント付与に関する注意点
このように極めて充実した内容ですが、ハイアットのアカウントへのポイント付与についてだけ気をつけなければならない点があります。ハイアットとSLHの連携に時間がかかるようで、通常宿泊日から4~6週間しないとポイントが付与されないということです。また宿泊実績についても、ポイントの付与と同時に行われるので、こちらはハイアット修行をされている方にはやや注意が必要な点かもしれません。
ハイアットの系列ホテルに宿泊した場合、ポイント付与や宿泊実績は通常2~3日以内につくので、やや不安になってハイアットコンシェルジュに問い合わせてみたところ、SLHホテルは全体的にこのような状況となっているようです。
ここまで「ホテルエクラット台北」についてリポートしてまいりましたが、やはりハイアット系列とは雰囲気が異なるものの、非常に快適な滞在が可能だという印象を持ちました。難点をいえば、ややMRTの駅から遠いということを挙げられます(徒歩10分圏内ですが)が、それでもやはり個性の光る素敵なホテルだと思います。
共用部分はもちろんですが、このホテルの客室がまた個性的です。特に一押しなのが「プレミア9(Premier 9)」と呼ばれる客室でして、小規模なブティックホテルだからこそできるような前衛的な空間となっています。こちらの紹介はまた次の記事にて行ってまいります。