ヒルトンといえば、日本における外資系ホテルの草分けとして知られている。1963年に北大路魯山人による会員制の料亭「星ヶ岡茶寮」の跡地に開業されたのが「東京ヒルトンホテル」であり、繁華街の赤坂に近いこともあり隆盛をきわめていた。数多くの外国からの著名人を迎え、来日したビートルズの滞在先としてこのホテルのプレジデンシャルスイートが選ばれたことはとりわけ有名だ。
アジアの拠点を求めていたヒルトンと、国際的なホテル経営ノウハウの獲得を求めた東急が合弁企業として運営を始めたこのホテルの歴史はさほど長いものとはならなかった。運営受託契約をめぐる対立から両者が対立し、結果的に1984年に「東京ヒルトン」は「キャピトル東急ホテル」へと改称し、東急ホテルズのフラッグシップホテルとなる。他方のヒルトンは同年、現在の西新宿に「東京ヒルトンインターナショナル」を開業することとなった。
1980年代前半に西新宿には、ヒルトンとハイアットが並ぶことになる。どちらも当時の日本における米国ホテルの絢爛な雰囲気をよく残している。現在の外資系ホテルの水準から考えると、やや古めかしさを感じるかもしれないけれども、あと10年も経てばその古さが逆に価値になりそうな気もする…
プレミアムキング宿泊記
2019年の初宿泊は意外にも(?)こちらのヒルトン東京になりました。慌ただしくチェックアウトをしてしまったために、ホテルステイを満喫するという感じではなかったのですが、久々にヒルトンの雰囲気を味わうことができたことは良かったと思っています。
なおスイートを除くと、このホテルの一般客室は次のようになっています。
- ヒルトンルーム(ツイン・キング)
- デラックスルーム(ツイン・キング)
- プレミアムルーム(ツイン・キング)
- エグゼクティブルーム(ツイン・キング)
今回宿泊したのは上から2番目の等級であるプレミアムルーム。
ヒルトン東京の客室は全体的に「和」のイメージを全体に取り込んでおり、デラックスルーム以上の客室は「茶室」をイメージしているインテリアコードとなっています。今回宿泊したプレミアムルームは、基本的な設備はデラックスルームに準じるのですが、最大の特徴としてバスルームが個別のブースになっています。
ベッドルームの雰囲気
まずはベッドルームから見てまいりましょう。
客室に入るとこのような雰囲気。窓のところがカーテンではなくて襖と障子になっているところに、たしかに「和」を感じます。またカーペットも「書」のようなイメージ。こうしたインテリアコードは、偶然か意図的か定かではないけれど、キャピトル東急(かつての東京ヒルトンホテル)にも通ずるものがありますね。
なんとなく誇張して描かれた「JAPAN」を感じさせられます。しかしさほど嫌味のないデザインでまず好感が持てます。
しかしこのオットマン付きの赤いソファーは目立ちますね。客室全体の雰囲気にアクセントを添えています。
ベッドはすっきりと整えられています。寝心地もこれといった個性はないものの決して悪くありません。
ベッドの入り口側はこのようにバスルームが見えるようになっています。ガラスで仕切られており、横にある障子戸を動かすことで中から見えるようにも見えないようにもできます。
茶器などもこのように、どことなく、さりげなく、和風。
バスルームの雰囲気
続いてバスルームまわりを見てまいりましょう。
こちらがベイシンとトイレですが、コンパクトにまとめられています。こちらもこれといった特徴はないけれど、シンプルで飽きのこないインテリアといえましょう。
入って左側がこのように独立式のバスルームです。さきほどお見せしたように客室側もガラス仕切りになっているため開放感があります。広さはそれほどではないにしても、使い勝手は良いです。
アメニティはヒルトンでおなじみの「クラブツリー&イブリン」です。以前はマリン系の香りだったのですが、ヴァーベナ&ラベンダーというハーバル系の香りになりました。
ヒルトン東京を楽しむ
西新宿という日本のみならず世界でも有数のビジネス街に位置する【ヒルトン東京】ですが、雰囲気は近年の外資系ホテルほど洗練されてはいないものの、華やかな雰囲気が漂っています。特に1階から2階へと螺旋階段が伸びているマーブルラウンジはその最たるものといえましょう。このマーブルラウンジはスイーツブッフェで有名であり、連日多くの人で賑わっています。
スタッフの対応も好意的かつ安定感がありました。
ヒルトンの個人的な印象は、強い個性はないものの安心して宿泊することができるホテルというものですが、概ねその印象どおりの滞在だったと思います。
カーテンを開くと新宿の摩天楼。
客室の雰囲気も奇抜なようでいて、思いの外落ち着いているので安心して宿泊できました。ホテルの施設は常に混雑している印象がありますが、なんとなく新宿という街を象徴しているような感じがして、なぜだかちょっと楽しい気持ちになります。