コンラッド東京(2) 朝食と浜離宮を望む風景

コンラッド東京の宿泊記の続きです。今回は主に朝食の内容やホテル全体に対する印象などについてリポートしてまいりましょう。

ベイビュールームは南南東に向いているため、カーテンを開くと東京湾に立ち上る朝の陽の光がふわりと差し込んできます。かなり高さのあるベッドから目覚めたときに眼下に見えるのは浜離宮。ビジネス街である汐留の朝は、ぴりっとした緊張感ともさっとした気だるさを含みながら、高層ビルの谷間にある種の熱気を生み出しています。しかしコンラッド東京の客室からみるその光景は、まさに鳥瞰的であって、不思議な静けさが妙に心地よくさえ思えてきます。

浜離宮と水で隔てられた向こう岸は勝どき、豊海、そして晴海埠頭があり、そのさらに向こうにはお台場が見えます。冬の倉庫街のひんやりとした朝の空気。そして寝惚けたように静かなお台場の風景。コンラッド東京はまさにその結節点にあるのだと感じさせられます。

滞在した日は私も仕事があり、やや慌ただしい気持ちであったのですが、ふとこの東京のベイエリアのコントラストに目を奪われてしまったのでした。

もはや高級ホテルには必要不可欠といっていいコーヒーマシン。コンラッド東京に置いてあるのはネスプレッソでした。やや強めのコーヒーの熱と香気で眠気を吹き飛ばしましょう。洗顔などしてすっきりしたところで朝食へと向かいます。リゾートホテルの優雅な朝も好きですが、このような都市部の高級ホテルのぴりっとした朝もまた悪くないものだと感じるところです。

コンラッド東京 朝食

今回はアメックスプラチナなLHR特典でオールデイダイニング「セリーズ」で朝食が提供されます。ここのレストランは朝からそれなりに多くの人がいましたが、かといって圧迫感があるというわけでもなく、適度に賑やかさもあって雰囲気は良いと思いました。

高い天井と巨大な窓によって非常に開放的な空間です。窓の外に見えるのは汐留の高層ビル群。インテリアは淡青とベージュという清潔感のある色使い。華美すぎることなく、またカジュアルすぎるもない。遊び心がないわけではないけれど、優等生的なインテリアコードである…レストランにも貫徹される「中間的な」雰囲気は、まさしくコンラッドらしいところだと思います。

セリーズの朝食は基本的にブッフェ形式となっているのですが、卵料理などはオーダー式で注文を取りに来てくれます。私は断然甘いものを食べたくなったので、フレンチトーストをオーダーすることにしました。コンフィチュールがとろりとした甘さと酸味を与える現代的な味付けのものですが、フレンチトースト自体の風味はクラシカル。こんなところにも見出されるのはコンラッドらしい「中間的」なもの。本当にバランス感覚の取れたホテルだと思わされるところです。

ブッフェも充実しています

コンラッド東京「セリーズ」の朝食のブッフェですが、これはきわめて満足度の高いものです。なによりもまず食事の種類がきわめて豊富であり、洋食のみならず、和食も充実しているのに加えて、点心やフムスやキムチなどもしっかりとした質の高いものが用意されていました。またデザートやパンの種類も豊富で、しかも丁寧に作り込まれた味わいで、とても楽しい内容でした。
個人の勝手な見解ではありますが、ヒルトン系列はブッフェ形式のレストランのレベルが総じて高いような気がします。以前このページでもご紹介した「ヒルトン東京」の1階にあるマーブルラウンジは連日大人気ですが、あちらでも質・量ともに充実したブッフェを提供していました。

チェックアウト

今回はLHR特典で16時までのレイトチェックアウトを活用しました。私は午前中仕事があったために、あまりのんびりすることはできませんでしたが、パートナーはゆっくりと過ごすことができたようです。

コンラッド東京には今回が初めての宿泊でしたが、繰り返しになりますが、ラグジュアリーとコンテンポラリーがほどよく合わさった「中間的な」魅力をもったホテルだと思いました。個人的には場所柄なかなか宿泊する機会もありませんが、このレベルのホテルとしては、きわめて良心的なレートがしばしば出るのも評価できる点のひとつかと思われます。また東京の最高級レベルのホテルとしては、最も東京湾に近いところにあり、個性的な眺望を望めるのも愉しいものです。

はっとさせられる奇抜さや、これみよがしの派手さもなく、かといってビジネス街のホテルにありがちな面白みのなさからも距離を取った非常にバランス感覚に優れている。ホテルステイの楽しさの原点を知る意味でも、また様々なホテルステイを楽しんでいるときの「中庸」の感覚を想起する意味でも、コンラッド東京に泊まることの価値は高いものといえましょう。

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