【※この記事は私がこれまでハイアットリージェンシー箱根に滞在してきた過去の記事を整理し、2020年10月に滞在したときのことを盛り込んで再構成したものです。記事前半はこのホテルの特徴的な設備である温泉スパ施設やドッグフレンドリールームのリポート、最新の宿泊記は後半にあります】
首都圏でも屈指の温泉リゾートである箱根の強羅地区。このエリアには「強羅花壇」などの名門旅館が軒を連ねており、彫刻の森などの美術館や庭園が有名な強羅公園などもあり、箱根の中でも特に瀟洒な雰囲気が漂います。また2020年のはじめにはIHG系列の高級ライフスタイルホテルである「インディゴ」も同地区に進出して、温泉+外資系ホテルの選択肢をさらに広げましたが、その先駆的なホテルといえば、ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパでしょう。
箱根にはこのホテルの開業前から何度となく通ってきましたが、都心の外資系ラグジュアリーホテルとも遜色のない雰囲気を持ちながら、リゾート地らしいエッセンスも兼ね備えたその雰囲気に初めて触れた時の衝撃は大きかったものです。開業は2006年なのですが、およそ15年の年月をほとんど感じさせない洗練された空間とあたたかなサービス水準は、いまもって、強羅地区のリゾートホテルを牽引するものと言っていいでしょう。
今回はこのハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパについてリポートしてまいりましょう。
スパ施設&温泉大浴場
ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパの特徴のひとつには、温泉付きのスパが備わっていることです。大涌谷由来の硫黄泉であって循環はされているものの効能は高いと思われます。このホテルには浴衣が用意されているのですが、部屋にセットで置いてある丹前を羽織れば、ホテル内の施設に浴衣姿で出かけられるようになっています。この気軽さもこのホテルの魅力のひとつと言えましょう。
温泉大浴場は東館の2階に位置しており、フロントや「リビングルーム」などがある本館とはエントランスを通っていくか、室内の通路でも結ばれています。施設名は「izumi」といい、YonkaやThreeのトリートメントメニューを取り揃えたスパに併設されています。
誰もいなかったので温泉のなかの様子も…御影石調のとてもすっきりとしたインテリアです。温泉旅館などの設備に類似しますが、やはりハイアットらしく外資系ホテルの洗練された「スパ」の側面も感じさせられます。どことなくグランドハイアット東京のNagomiを連想させられました。タオルはこまめに補充され、空間全体としてもかなり清潔感があります。残念ながら露天風呂はありませんが、それでもこの洗練された温泉の雰囲気はなかなか他では見られないものだと思います。
愛犬と滞在する〜ドッグフレンドリールーム
犬と一緒に宿泊できるタイプの客室である「デラックスツイン&ドッグフレンドリールーム」です。
ホテルにチェックインすると、犬専門のスタッフが出迎えてくれて、チェックインの手続きの間に預かってもらいます。そこで犬の体調確認やブラッシング、爪切りなどをしてくれます。そして部屋に入ってしばらくすると、犬を客室に連れてきてくれます。
さて客室に入ってすぐ気づくのは、床が通常のホテルの客室と異なりタイル張りになっているというところでしょう。そして窓際にはこのようにドッグスペースがあります。外出時にはここの中に犬を入れておくことが求められています。なお天井にはドッグモニターが設置されており、外出時は犬の様子をリアルタイムで見られるようになっています。なにかあればいつでもスタッフを呼べるあたりも、かなり安心感が高いと思います。
ドッグスペースの横にはこのようなテラスもついています。愛犬に触れ合いながら、箱根の山の風に当たるというのも心地が良いものだと思います。
玄関付近にはこのように犬用のメタルの食器が置かれています。またこちらのアーモアを開けると…
これらのドッグアメニティが入っています。散歩の時などに使えるアイテムからウェットクリーナーまで用意がされており、すべて持ち帰ることができます。マイクロファイバータオルは質感もよく、またティーツリーの香りの犬用シャンプーとデオドラントスプレーまであるのは嬉しいものです。
こちらは小型犬用のスタンドネットです。ドッグスペースの仕切りが大きすぎる場合や、玄関から飛び出してしまうことを防ぐために利用することができるようになっています。
玄関部分には犬用のシャワーが用意されています。大型犬でも十分なスペースが確保されており、散歩から帰ってきたときなどにも重宝します。
ベッドはこのようにホテルの標準的なベッドが置かれています。部屋全体が犬と滞在することに特化した仕様となっていて、例えばソファにしても布製ではなく化学繊維の硬めのものになっています。残念ながら後半でリポートする標準的な客室と比べると質感では劣ると思います。しかしペット同伴可能で、これほどしっかりとした設備が整えられていて、なおかつ快適性もしっかりと担保しているというのは利用価値が高いと個人的には思います。
ハイアットリージェンシー箱根 グローバリスト特典
宿泊記の前にこちらのホテルのグローバリスト特典はどのようなものか確認しておきましょう。
ハイアットリージェンシー箱根 スパ&リゾート グローバリスト特典
- リージェンシースイートまでの客室アップグレード
- 16時までのレイトチェックアウト
- 「ダイニングルーム」での無料朝食
- 「リビングルーム」のカクテルタイムに特別メニュー
- 専用チェックインカウンター&30%のボーナスポイント
まず客室アップグレードですが、繁忙期でなければリージェンシースイートへの客室アップグレードが見込めます(経験済み)。また今回はドックフレンドリールームについては特にアップグレードはありませんでしたが、当初予約したゲストルームツインは、デラックスツインになりました。このデラックスツインルームは客室から箱根の山々が見える快適な客室でした。また16時までのレイトチェックアウトも大丈夫でした。やはり時間に余裕があるというのは心強いものです。
こちらのホテルにはダイニング以外にラウンジ「リビングルーム」があるのですが、こちらで宿泊客向けに17:30~19:30の間はアルコール含む飲み物が無料(グローバリスト向けには特別メニューが用意)で楽しめるカクテルアワーを行なっています。このあたりのサービスはアンダーズ東京とも共通するところですね。夜になると真ん中の暖炉に薪がくべられて、木の香り燻る焚き火を囲む雰囲気が優雅です。
デラックスツインルーム宿泊記
2020年10月…久々に箱根を訪れることができました。
もともとはもう少し早い日程で予約を入れていたのですが、諸々の用事と重なってしまったこともあり、急遽予約を取り直してから秋の爽やかさを感じられるいまの時期に訪れることとなったのでした。紅葉はまだ見頃ではなかったけれど、車でしばらくのところにある仙石原の一面のすすきの草原はまさに豊かな秋を感じさせるにちょうど良い…そういうときにこのホテルに来られたことはむしろ幸運だったかもしれません。
車を駐車場に停めて(このホテルにはバレーパーキングサービスはありません)から、チェックインを済ませます。GoToトラベルの影響で多少混雑している印象はありましたが、特に待ち時間なく部屋に案内してもらうことができ、レイトチェックアウトも問題なく行うことができました。
今回の客室は数年前に家族で来たときにも滞在したデラックスツインルーム。入り口で靴を脱いで上がると、幾何学模様のカーペットが敷かれた73㎡もの広さのゆったりとした部屋。ベッドは低めで程よい硬さで、ハリウッドツインタイプとなっています。奥のサンテラスからは箱根の山の稜線が一望できるようになっています。完全な屋外となるバルコニーほどの開放感はないものの窓はかなり大きくパノラミックな形式が楽しめます。窓を開くと秋の新鮮な山の空気が吹き込んできました。
ウェットエリアもしっかりとした作りになっており、ベイシンはダブルシンク。バスルームも独立式になっていて使い勝手は良好です。バスアメニティはハイアットリージェンシーでおなじみの「ファーマコピア」で、以前の柑橘系のものから、爽やかさと甘さが同居する香りのものに変わっていました。
個人的に気に入っている設備のひとつはバスルームの手前あるタオルヒーター。冬の寒い時期に暖かいタオルが使えるという意味でもありがたいものですが、秋の今頃であっても、ひんやりした水で洗顔をして、そのあと温まったタオルを使うことで、ほっと落ち着くというのもなかなか良いものです。
ハイアットリージェンシー箱根での滞在を満喫する
この日はオンライン会議などもあり、チェックインから夕方過ぎまで部屋にずっと籠っていました。
すっかり日が暮れると、ホテルのメインロビーから階下まで吹き抜けになっているリビングルームは賑やかな雰囲気になっていました。浴衣をきてゆったりくつろぐ人、子連れから老夫婦まで様々な人が集まってカクテルタイムを楽しんでいます。パティオの植生には柔らかい光が当たり、山の森の中にいながらも、どこか都会的なニュアンスを感じさせられます。自然素材とポップなカラーの組み合わせはこのホテルのデザインを担当したスーパーポテトらしい世界観。どこを切り取っても絵になるホテルだと改めて思います。
リビングルームのカクテルタイムに私は桃のジュース、パートナーはシャンパンを。ブラックな枠の向こうの広い窓から見える緑がとても綺麗…そういえば我々は山(というか高原)のリゾートにいくと、なんだか愁いの気持ちを覚えて、テンションが下がってしまうことが何度かあったけれど、今日はなんだかとても良い気分…そんなことを話し合っていました。夏に行った軽井沢やニセコのことなどを思い返して、色々なことを経て、あのときよりも心の距離が近づいたことを確かめ合っていました。
夜の食事は今日は寿司を選択。駿河湾を中心とした海の幸を堪能したいと楽しみにしていたのでした。かつてひとりで滞在したこともあったこのホテルで、いまこうして、日本酒の杯を交わしていること。それはなんだか不思議な感じでした。我々の寿司を握ってくれた板前さんの言葉によると、客足もかなり戻ってきて、いまは連日なかなかの賑わいとのこと。活況なことはいいことだと素直に思えました。
このホテルの特徴のひとつは、リビングルームでボードゲームやカードなどを貸し出してくれるということです。我々はオセロで遊ぶことにしました。なかなかスリリングな展開となりましたが…私は負けました。
そのまま穏やかな時間を過ごした翌朝。箱根の穏やかな山の稜線は涼しい秋の風の中でも、どこかあたたかいものを我々に感じさせるものでした。
箱根には数多くの名だたる旅館やクラシックホテルなどもあり、どれも素晴らしいものだと思いますが、こちらのホテルはその洗練度やハイアットタッチを体現するスタッフの方などによって何度でも訪れたくなると私は思います。
2019年以降にはますます多くの外資系ホテルが、これまであまり注目されてこなかった日本の観光地(温泉地含む)に進出してきていますが、こちらのホテルはそのパイオニア的な位置にあると思います。恋人と、家族と、愛犬と、あるいはひとりでこもるのでも、ハイアットリージェンシー箱根は、そうした多様な需要を柔軟に受け止められるホテルだと思います。折々に変化する箱根の四季に出会い、喧騒から離れたゆっくりとした時間に再び出会いにこのホテルを訪ねたいものです。