【2021年・グランドハイアット東京宿泊記】ときにはラウンジとプールでゆっくりと

昨今の社会状況であまり遠くに旅をすることも難しくなり、東京周辺の好きなホテルで静かに過ごすことが多くなりました。改めて考えてみると、グランドハイアット東京は私にとって特別なホテルのひとつです。これまでに何度もひとりで滞在してきたホテルであり、またパートナーと出逢った場所でもあり、家からもほどよく近く、頻繁に足を運んでいます。それほどまでに馴染み深いホテルではあるのですが、同時に、いつ行っても新鮮な感動を味わえるホテルでもあります。

定期的に、あのコンテンポラリーモダンな空間で過ごしたい、という思いに駆られるのですが、先日もパートナーと一緒に滞在する機会を持ちました。今回はそのときのリポートです。

オークドアバーガーとチェックイン

いつものように車でパートナーを迎えに行き、そのまま六本木ヒルズの回遊ルートを通って、グランドハイアットの車寄せへ。久々に見かける馴染みのドアマンが名前を覚えてくれていたとき、なんともいえない嬉しい気持ちになりました。

本日はどちらへ…?

今日は泊まるのですが、その前にオークドアでランチしてから、グランドクラブに伺います。

そのような会話をしてから、消毒と検温。そして美術館の入り口のようなフロントロビーを抜けて、グリルレストランの「オークドア」へと向かいます。もともと中華料理の「チャイナルーム」と迷っていたのですが、久しぶりにハンバーガーでも食べたいね、というパートナーが言いだして、すっかり私もその気になっていたのでした。

昼下がりのオークドアはちょうど居心地が良い程度に客が入っていて、和やかなムードが漂っていました。特徴的な八角形を重ねたライトの下に冬の日差しが差し込んでいました。

パートナーはブルームーン。私はオークドアフルーツスカッシュ。どちらかがどちらに合わせることもなく、好きなものを好きなように飲む。最近の私たちが感じている心地よい距離感です。ベリーとミントが爽やかに弾けるスカッシュを飲みながら、最近あったことなどをとりとめなく話すとき、私はとても幸せを感じます。

そうそう、最近嬉しいと思っていることのひとつには、お互いにハンバーガーを大口開けてほおばれることです。以前に来たときは、たぶん、きっと、お互いに遠慮があって、口を小さく開けて、ときに相手の顔を覗き込みながら、そっけない表情を覗かせて、おっかなびっくり食べていたのです。

しゃりしゃりとリズム感のよいレタスを抜けて、とろけたクリーミーなチーズの奥から少しスパイシーなソース。香ばしいビーフとベーコン。それらが渾然一体となった味わいを口の中に広げていく…

ハンバーガーはやはり豪快にかぶりついたほうが、美味しいし、なによりも綺麗に食べられるね。

パートナーがお互いにいい意味で気を遣っていないことに気づいて、そんなふうに笑顔で話してくれたとき、確かにそうだな…と心の中でひそやかな幸せを噛み締めました。

キャラメリゼされたバナナとチョコレートブラウニーの苦味と甘さ。それをミルクを強く感じさせられるソフトクリームが包み込むようなサンデーをデザートに。やはりグランドハイアットといえば、サンデーだな…と納得しながら、食事を終えました。

1月の午後の日差しは強くて、どことなく切ない。ラウンジに着いたのはまだ15時前でしたが、なんとなくすでに夕暮れを感じさせられるような気がしました。ライムの入ったペリエをウェルカムドリンクに頂いて、そのままチェックインの手続きを。今日もアップグレードはなく、コンパクトだけれど機能的で快適なスタンダードルームに案内されることになりました。

ゲストルームについて

特に客室へのエスコートもなく、カードキーを受け取って高層階へ。

毎度のことながら、この客室は快適だと思います。部屋の広さはそれほどでもない。しかし必要十分な設備がしっかり備えられ、高級感もしっかり感じさせられる。窓辺から六本木ヒルズ越しの東京タワーを眺めるときの黄昏た気分もまた良い…もちろんラグジュアリーホテルにも様々な形があると思いますが、私はこの部屋が最も落ち着くし、なんだか気分も高まります。

昼にたくさん食べたし、少し体を動かしたい…そういう気分になり、今日はフィットネスに行くことにしましょう。そういえば、ふたりでここに滞在していてプールを利用したことはこれまでありませんでした。

フィットネスとスパについて

そういうわけで部屋から楽な格好でエレベーターに乗り、低層階に位置するNagomiスパ&フィットネスへ。

ギラリと光る真っ白なジャクジー、オレンジの間接照明が印象的なプールです。World of Hyattのグローバリスト会員であれば、ロッカーやスパエリアが無料で利用できるほか、水着やトレーニングウェアも無料で貸し出してもらえます。今は人数制限を設けていますが、我々が行った時には誰もいなかったため、すんなりとプールで泳ぐことができました。

程よい疲れが出てきたところで、プールから上がり、スパエリアでシャワーを浴びたり、ジャクジーでくつろぎます。クリスチャンフロリアンのバスアメニティが用意されているところも、ここの気に入っているところのひとつです。

この日はフィットネスの利用だけでしたが、翌朝に久々にスパトリートメントも受けてみることにしました。パートナーがネイルケアをする一方で、私は生姜をつかったNagomiマッサージを。とても快適でした。

グランドハイアット東京で過ごす夕方、そして朝へ

Nagomiから戻ってきた我々は、夕暮れのグランドクラブに向かうことにしました。

私はトニックウォーターにライムを入れて。パートナーはワインを楽しんでいました。今日もグランドクラブでは様々な軽食がトレーに載せられて運ばれてきます。ラタトゥイユや野菜寿司や白身魚とザワークラウトなど(本当は地味に好きなここのたこ焼きもまた食べたかった)を味わいながら、夕暮れのひとときを過ごします。

いまは19時半にはラストオーダーで20時にはラウンジも閉まってしまいます。利用しているゲストの数もいつもより少ないように思いました。

いつもの客室からの好きな東京の景色。東京タワーも夜20時で消灯しており、なんだか今日は物静かに見えます。一方で煌々と灯りのついた六本木ヒルズのオフィス。世相を反映しているような気がしました。
東京の夜の光。おそらく宇宙から見たとしても、この明るさが見て取れるのではないでしょうか。そういう壮大な規模の話に思いを致してみるときに、私は、きまって、いま自分のもとを過ぎていく時間の流れの早さとその虚しさを感じてしまいます。ひとつ、またひとつと年を重ねていく。ここグランドハイアット東京も開業からもうすぐ18年。いったい私たちはあと何回ここを訪ねてくることができるのでしょうか…
いや、あまり、余計なことを考えるのはやめましょう。ただ、いまを大切に。
ゆっくりと眠り、目が覚めたら、2階のフレンチキッチンで朝食を。通常であれば、グランドクラブで朝食が用意されますが、今日は昨今の社会情勢の関係で閉鎖。代わりにこちらでの朝食に振り替えられていたのでした。
ちなみに店内は、六本木ヒルズの森美術館での展覧会の関係でしょうか、村上隆のアート作品が飾られていました。すっきりと落ち着いた雰囲気の空間ですが、このような作品が違和感なく溶け込んでいるように思います。改めてここが美術館のようなコンテンポラリーモダンなインテリアを備えたホテルだと思わされます。
本来であればブッフェ形式での朝食ですが、グローバリストの特典を利用して、アラカルトメニューから気になったものをオーダーすることにしました。これはポーチドエッグの載ったガレット。ディルサワークリームと合わさったスモークサーモンが入った生地を口にすると、ほのかに残る蕎麦の香り。
パートナーとシェアしながら頂くのが、アーモンドミルクパンケーキとシナモンシュガーフレンチトースト。帝国ホテルやホテルオークラなどのシンプルでクラシカルなものも大好きなのですが、ここグランドハイアットらしいモダンなパンケーキやフレンチトーストもやはり良い。どちらかに決められないほどに美味しく、またコーヒーと一緒に頂く瞬間の幸福感も堪りません。
最後にミックスベリーとヤクルトを使ったスムージーを頂いてからレストランをあとにしましょう。
朝食の後は、部屋でゆっくりと思い思いのことをしたり、スパトリートメントを受けたりして、ゆっくりと過ごしました。世相は明るいとは言えません。グランドハイアットからほど近い私たちの気に入っていたお店も先日閉店してしまいました。チェックアウトのとき、グランドクラブや車寄せのスタッフが、いつもの笑顔でサービスを行っている姿が印象的でした。
またのお越しをお待ちしております。
その言葉に応えるように、また来ます…車内から手で合図をして、ホテルをあとにしました。
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