パークハイアット京都・二念坂ハウス宿泊記〜八坂の塔を展望するスイートの魅力

目が覚めて目に入るのは、朝焼けの八坂の塔と、その背後に控える京都の街並み。遠くには冬の寒々しい山が見えるけれども、ベッドはあくまで暖かく、雲のように快適…このような朝を迎えられる場所はそう多くはないと思いますが、もしそのような機会を得られるのであれば、体験しないわけにはいきません。

昨年の開業からしばらく時間が経った、高台寺のそばにあるラグジュアリーホテル、パークハイアット京都。以前に滞在したときには、良くも悪くも軽やかな雰囲気をもつホテルと評すとともに、スタッフ間の連携がうまくいっていないことが気になったものでした。

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前回はいわゆるスタンダードスイートである「パークスイート」に滞在したのですが、先日もう1ランク上の客室であるプレミアムスイート「二念坂ハウス」に滞在する機会を得ました。今回はその客室の様子についてリポートしてまいります。

チェックイン

今回は前日に大阪に滞在していたのですが、車にて京都まで向かうことになりました。やや狭い高台寺前の通りを進んでいくとパークハイアット京都のエントランス部分に到着。24時間体制でバレットパーキングサービス(¥4,000)を行っているので、ここで車を預かってもらってチェックインの手続きへと進みましょう。開業したばかりの頃は車寄せですらかなり多くの人で賑わっていましたが、今回はかなり落ち着いた雰囲気になっていました。またベルデスクのスタッフからも余裕を感じられました。

ロビーエリアのラウンジは、ある程度の出入りはあるのですが、賑やかさはなく、むしろ心地よく落ち着ける雰囲気になってきていました。アンダーズ東京と似た雰囲気がある(もちろん同じデザイナーなのである程度の共通点はありますが)と以前来たときに思っていましたが、京都らしい独自性をより感じられるようになったのは、あまり多くの人でざわつかなくなったからなのかもしれません。

チェックインの手続きは非常にスムースに進みました。少し早い到着ではありましたが、すでに客室の準備は整っているとのことで、早速部屋に向かうことにしました。客室へと案内してくれたスタッフも感じの良い方で、嫌な感じがしない絶妙な会話が印象的でした。

二念坂ハウス

今回は3Fに案内されました。以前も印象的だと思ったかなり暗い廊下を通って客室へ。そして部屋に入ってカーテンを開けてみると…

このような光景が望めます。まさに京都らしさに溢れる八坂の塔と伝統的な建造物の街並み。そしてその背後にも街並みと山々が見渡せて、非常に素晴らしいものです。

反対側はこのように高台寺に至る坂道に接しています。昼は数多くの観光客が行き交う場所でもあるので、カーテンを開けていると、人と目があってしまうほどです。もちろん京都の街並みを眺める絶好の場所であると同時に、ホテルとしてみても、ここまで道路や行き交う人のまなざしに近いホテルというのは、かなり珍しいのではないでしょうか。

フルハイト・ウインドウ越しのこの開放感。落ち着かない人には落ち着かないと思いますが、私はそれほど気になりませんでした。カーテンを閉めてしまえば外からは見えませんし、なんといってもこの絶景を望めるのは何物にも変えがたいのですから。

スイートなのでベッドルームと先ほどのリビングルームとは扉で仕切ることができます。こちらは通りには面していないのでもう少し落ち着いた雰囲気。しかしもちろん開放的な窓からの絶景を望むことができます。改めてこのベッドで休んでみたところ、ハイアットらしい程よい硬さがあるのですが、改めて枕の柔らかさのバランスがよく、寝心地はかなり良いと思いました。

プライバシーもあるので臨機応変にカーテンを使いたいところですが、例えば、昼寝でも夜寝でも、目覚めたときに、このような景色が展開しているというのは、ひとつの大きな価値があると思います。あるいはスツールに腰掛けて、コーヒーをかたわらに新聞を読むときに、投げかける一瞥に八坂の塔と京都の街並みがあるというのは、なんともいえない贅沢な時間であると思います。

バスルームやベイシンエリアはスタンダードスイートと基本的に同じです。ダブルシンクで使い勝手は良好だし、独立式でレインシャワー付きのバスは快適。ただしデザインはかなりクセが強いので好き嫌いは分かれそうだと思います。

さりげなく置かれたグリーンが映えるシンクまわり。バスアメニティもスタンダードスイートと同様のものです。ドライヤーはかなりの強風で知られるDysonのものが用意されているなど、最新の高級ホテルとしては文句のないラインナップだと思います。

トイレはエントランス付近にまず1箇所。こちらは広くて明るい雰囲気のトイレです。もちろん最新鋭の機種が設置されており文句のない空間。

もう1箇所はウォークインクローゼットの横に設置されたややムーディな雰囲気のトイレ。設備はエントランス付近のものとさほど変わりませんが、なんとなくこちらの方が落ち着くかもしれません。

なおリビングルーム・ベッドルーム・バスルーム・ウォークインクローゼットはそれぞれつながっていて、回遊性のある客室になっています。これはパークハイアット東京のパークスイートなどもそうですが、なかなか便利な構成だと思います。

今回はウエルカムフルーツとして2種類のいちごが用意されていました。陽の光が差し込むなかで開放的な京都の景色を眺めながら頂くのもいいし、夜すっかり静かになった二念坂の入り口と遠くに見える街の明かりを見つめながら頂くのもまた悪くないものです。

落ち着きをとるか、気持ち良さをとるか

パークハイアット京都のプレミアムスイートである「二念坂ハウス」ですが、じつは基本的な構成はスタンダードスイートの「パークスイート」と変わりません。ベッドやバスルームの設備は同じであり、小庭園がついているか、このような京都の街のパノラマかというところが主な違いです。

私なりの印象を述べると落ち着いた滞在をしたいときには「パークスイート」の方が良いと思いました。もちろんパークスイートでも小さな庭に出て、京都の風を感じることができます。それはそれでこのようなホテルとしては「あり」だと思うのです。他方でどちらが気持ち良いかと言うと、これは圧倒的に「二念坂ハウス」の方ですね。昼のあの開放感も素晴らしいし、夜の静かな夜景の魅力を堪能できるのもこの部屋の魅力のひとつ。そして朝の爽やかさも段違いです。

そもそも東京などの都市であれば、朝でもある種の「刺激」のようなものを感じます。しかしここパークハイアット京都の朝はあくまでも静かで落ち着いているのです。しかし同じく落ち着いているということで山や海のリゾートのような感覚かというと、それとも違うのです。そこには確実に人々の息吹を感じる「街」の部分もあって、しかし気持ちの良い落ち着きを持っている。この客室はそんな絶妙なダイナミズムを感じるための特等席と言えましょう。

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