ザ・プリンスパークタワー宿泊記・妹の結婚式前夜に
それはもう一昨年の冬くらいのことでしょうか。母が少し寂しそうな表情で妹が結婚するという話を私にしたのでした。結婚はめでたいのだし、本人たちを喜ばしい気持ちで送り出すもの…確かに。しかし世間一般がどれほどそのように言ったとしても、やはり親心というのは、そんな簡単に割り切れるものはないのでしょう。 私の母は必ずしも子どもたちを溺愛するようなことはないし、外向的で常に外に出かけていたいし、休日でも仕事を […]
それはもう一昨年の冬くらいのことでしょうか。母が少し寂しそうな表情で妹が結婚するという話を私にしたのでした。結婚はめでたいのだし、本人たちを喜ばしい気持ちで送り出すもの…確かに。しかし世間一般がどれほどそのように言ったとしても、やはり親心というのは、そんな簡単に割り切れるものはないのでしょう。 私の母は必ずしも子どもたちを溺愛するようなことはないし、外向的で常に外に出かけていたいし、休日でも仕事を […]
秋空が広がるようになると、どういうわけか、様々なものごとに敏感になってしまう…少なくとも私はそうなのです。感覚が研ぎ澄まされるということについていえば、ひとつひとつの出来事に強く感動するようになるので、まさに生きている実感を強く持つのですが、同時に些細なことに落ち込んだりもしてしまうのです。そのことでいらない心配をしてしまったり、すっかり自信を失ってしまったり。そういえば「うれい」という言葉には「 […]
私の最初のホテルステイがどこだったのかを明確に思い返すことはできませんが、はじめて世界レベルのラグジュアリーホテルを体験した日のことは、もちろん覚えています。それはフォーシーズンズホテル・シンガポール。 もともとホテル好きではあったけれど、さほど海外の動向には詳しくなかった祖父母がシンガポールに滞在するときに、当時東京に出来て間もなかった「フォーシーズンズ椿山荘」と同じ系列ということならば安心だと […]
元妻との別れが決定的になったのは昨年の12月のことでした。 プロポーズをして、婚姻届を書いて、新しい生活が始まっていって…しかし私はそのような流れとはならなかった。今から考えたら、そのように自分の人生が展開していったことは必ずしも悪いことばかりではなく、むしろ最近では肯定的に捉えられるようにさえなっているのですが、様々なことを考え、悩み、なかなかに苦しい年末でありました。さらにちょうど同じ時期に同 […]
客室にギターやレコードプレーヤー、古着を集めたパッチワークに彩られたロビー。クラシカルなホテルしか知らない人からみたら卒倒するようなフランクなスタッフたち…最近では増えてきたライフスタイルホテルですが、やはりここは突き抜けて個性的だと思わずにはいられません。京都の地下鉄烏丸御池駅に隣接する新風館。2020年、古い建物の質感を残しつつもリノベーションしたこの場所に、日本初のエースホテルが開業しました […]
ラグジュアリーホテルというのは、それ自体がひとつの目的地になるほど魅力的なものですが、ホテルステイの楽しさというのはそれだけにとどまるものでないということは繰り返し考えることです。いわゆるビジネスホテルというカテゴリーに括られながらも、様々な個性を持ち、コンパクトでも快適な空間を実現しているようなところは数多くあることは言うまでもありません。 大阪は最近ではラグジュアリーホテルも増えて、今後も数多 […]
いつものように仕事をこなし、日常生活に潜む雑事に頭を悩ませて、そうして毎日を過ごしているうちに感性がどこかへとなくなってしまうような感覚になることがあります。そういうときに私は海の近くに行きたくなるのですが、せっかくならば美食も楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしたい。そのような場所として前々から訪ねたいと思っていた場所がありました。 静岡県の伊豆半島の付け根に位置する熱海。駿河湾を見下ろす位 […]
京都の市街地に逗留するという言葉には、特有の心躍る響きがあります。それはこの街の賑わいに触れることや見知らぬ路地にある素敵な場所の発見へと開かれています。そしてもしその逗留を素晴らしいホテルで行うことができるとすれば、それを逃す手はありません。 1000年の都として、日本国内のみならず世界中の人々を魅了する京都には、近年では数多くのラグジュアリーホテルが進出してきて、素晴らしい宿泊体験を可能にして […]
怒りや悲しさや疲労やその他もろもろのことに身をやつしたときには、しばしば、そうしたことに対してすべて無関心になってしまいたくなるものです。今いる場所からまったく離れたところに避難することもそのためのひとつの手段かもしれませんが、意外と身近なところにも自分を匿名的にできる場所があるかもしれません。 フォーシーズンズホテル丸の内東京(Four Seasons Hotel Tokyo at Maruno […]
長く続いているお店には、長く続いているだけの理由がある。このことは当たり前のようでいて、意外と見過ごされやすいひとつの事実かもしれません。東京にある伝統的な高級ホテルを見回してみても、創業当時からほとんど変わらないままに営業しているようなお店というのは、案外ないものです。 もちろんお店に求められるものを時代に合わせて変えていきながら、基本的な部分にあるものを変えない、というようなコンセプトのお店も […]