ブログ開設から3年をふりかえって

最近すっかり更新が滞ってしまっているこちらのブログですが、おかげさまで開設から3年を迎えることとなりました。どういうわけか3という数字には節目の意味合いを感じてしまいます。中等教育が3年間だから?石の上にも3年?3年目の転職?あるいは3年目のジンクス…??

なぜ3という数字が節目に結びつくのか、私には即座に用意できる答えがありませんが、これを機会にこのブログについて私が考えていることについて改めて書いてみようと思います。

もともと私は無類のホテルステイ好きで、旅行先を決めるときも、まずはどこのホテルに泊まりたいかというところから始めるのが基本というほどです。ホテルには折り込まれた物語があり、そのひとつひとつの体験はそれぞれが特別なものです。その魅力的な体験について語れたら…素敵なホテルに泊まれば泊まるほど、そうした思いを募らせていきました。そうして迎えた3年前の自分の誕生日。なにか新しいことをしよう…こうしてブログを書き始めることにしました。またブログを書き始めるのとほぼ同時にTwitterも始めることにしました。ブログとは別に短い言葉でホテルの魅力を伝えたり、ブログよりも気軽にコメントのやり取りができるというところが魅力的に思えたのでした。

どうして「夜間飛行の見聞録」なのか?

ブログを始めようとするときに最初に考えなければならないことがあります・・・命名です。

ページのタイトルを名付けることは小さいようで大きいことであるように思います。

そもそもこのブログではどのような配信をしたいと考えていたのか。最初の記事を読み返してみるとその形跡を見ることができます。それによれば、ここではホテルの情報だけではなくて、それに派生する旅、グルメや交通のことなど、もう少し広い話題を配信しようとしていたのです。そこでタイトルを考えたときになにか「旅」にまつわる名前をつけたいと思ったのでした。色々な候補があった(そのほとんどは忘れてしまいました)のですが、私は、ホテルステイにしても、飛行機や鉄道にしても夜景を眺めている瞬間が好き。そしてもうひとつ、私はフランス文学が好き。そんなわけで思いついたのがサン=テグジュペリの「夜間飛行」でした。

(しばしば私のブログを読んでくださった方から「JET STREAM」を連想すると言ってくださる方がいて、とても光栄かつ嬉しいのですが、じつはこのページの由来は小説の方なのです)

またもうひとつ「見聞録」というとマルコ・ポーロの「東方見聞録」を連想し、もちろんそこからインスピレーションを得たものです。見たり聞いたりしたことを記録する。もっと日常的なニュアンスの言葉でいえば「日記」もそうだと思うのですが、ホテルという非日常体験を書き記すということ、そして単に「夜間飛行の日記」というよりも語感がいいかなと思って、こちらをタイトルに持ってきたのでした。結果的にホテルの話題が中心になり夜間「飛行」の要素は無くなってきてしまいましたが、最初につけたタイトルに対してそれなりに愛着も持つようになってきて、事実に合わせてタイトルを変えるということも特にしませんでした。

どうしてこんなスタイルのホテルブログになったのか?

なにごとも初めてのことは不安と楽しさでいっぱいなものです。どんな人が読んでくれるのだろう。そしてどれくらいの人が読んでくれるのだろう。あるいはまったく誰も読んでくれないのではないか…いままで完全に閉じられた体験だったホテルステイや旅行の話題を公開することの楽しさがあり、誰にも読まれないにしても備忘録として残しておけるというのも、それはそれで嬉しいことではないか。あれこれ考えていました。そしてTwitterでこのブログの宿泊記について告知したときに、「いいね」をもらったり、コメントをもらったりしたときの喜びは言い表せないほどのものでした。自分の書いたものを読んでくれる人がいる。反応してくれる人がいる。本当に嬉しいなぁ…。

それは自分の好きなもの、特にここではホテルの魅力についての語りを受け止めてくれる人(もちろん異なる意見を持っている方も含めて)がいるということであり、大きくても小さくても配信をしている人ならおそらく誰もが持つ喜びなのではないかと思います。

読んでくれる人がいるのだから、有益な情報を伝えなければ…!

当初はそのように考えて「情報」を配信することを意識していました。もちろん私よりも優れた書き手の方はたくさんおり、インターネット上にはホテルに関する情報が数え切れないほどにあります。その情報の量も質も私が書くものとは比べ物にならない。ホテルステイの記録。それに派生した旅行の記録。そうした記録に自分の考えたことを載せることの楽しさはあるものの、果たして自分の提供する情報にはどれほどの価値があるのだろう?…そう考えると、途端に自分の書いたものが陳腐に思えることもしばしばありました。お得に泊まる情報を探してみたり、ロイヤルティプログラムを紹介したり、ホテルを比較してみたり…評論的にホテルの設備について書いたこともありましたし、あれこれと調べて、ホテルの歴史について書いてみたこともありました。でも元来無精な私のことですから、さほど長続きしませんでした。

結局行き着いた答えはシンプルでした・・・ホテルに泊まって、そのときの体験を言葉にする。私にはそれしかできないし、逆にそれこそがこのブログの存在意義ではないか。そう思いました。ホテルの詳細な情報や鮮度の高い情報にアンテナを常に張り巡らせるというのは、私にはとてもできないし、そうした情報配信をしている方がたくさんいるなかで、自分が同じような内容を発信したとしてもまったく陳腐なものになってしまう。それだったら情報としての価値はほぼないかもしれないけれど、ホテルに流れる空気とかそこでの滞在の雰囲気や自分なりの楽しみ方などが伝わればいいのではないか、と思うに至ったのです。結果的に、リライトしたり、個別のホテルごとに複数の記事を統合したものもありますが、そうしたスタンスで3年間で180のホテルに関する記事を書いてきました。

私のブログは結果的に次のような特徴が出てきたと思います。もちろんこれは、このスタンスがなによりも優れているということを主張するものではなく、あくまでも自分がブログで出来ることを続けてきて生まれてきた特徴を挙げたに過ぎません。

  • 詳細な情報よりもホテルでの体験しか書かない(書けない)
  • ホテルの良いところしか書かない

詳細な情報が書けないのは自分の不精な性格のせいが大きいのですが、それ以上に有益で詳細な情報をたくさん提供していらっしゃる方を前に、自分のブログを読むと絶望的な気持ちになるので、ホテルの個人的な体験だけに焦点を当てて書くことにしたのでした。掲載する写真についても、例えばホテルの客室の設備の詳細やホテルへのアクセスやあるいはレストランやパブリックスペースなどの様々なところを丁寧に紹介する…というのとは逆で、印象的な部分だけを切り出して、言葉でおぎなうことにしています。それがどれだけの情報の価値があるのかは読者のみなさまの感想を待つほかないのですが、少なくとも、自分で読み返したときに、そのホテルに対してどんな印象を持ったのか、あるいはそこでの体験がどのようなものだったのかを追体験できたらまずはそれでよいと思っています。

ホテルの良いところしか書かないのも特徴のひとつだと思います。よっぽどのことがないかぎりホテルの悪いところは書かないし、書けません。別になにかを宣伝するブログではないので自由に書きたいように書けばいいのですが、どうにも悪いところを書こうと思ってもうまく言葉に載せられないのです。これは私の欠点のひとつですが、喧嘩下手というか、批判的思考に乏しいというか…実生活でも違和感を持ったことがうまくいえないという悩みによく直面します。しかし逆に、良いところを見つけることに関してはそれなりに自信があります。自信のあるところでものを書かないと、結果的に、自分の満足のいく文章が書けないのです。自分の満足のいく文章でなければ、とてもではないけれど人に見せることなどできません。結果的にホテルの良いところしか基本的には書かないようになってきたのでした。

やや自虐的な語り見えるかもしれませんが、こうしたスタンスを取ることで見えてくるものも少なからずあるのではないかと信じてもいます。

いま思うこと

自分の誕生日とこのブログの誕生日は同じ。別に一心同体というわけではありませんが、ホテルに関する配信が自分の人生の一部であるという気持ちは強く持っています。つまるところ私はホテルという空間が好きで、そしてホテルに集うさまざまな人が好きなんだと思うのです。非日常の体験。スタッフから受ける心の満たされるようなサービス。そしてそうした体験を通じた様々な人との交流…もちろんそれはブログやTwitterを介していなかったとしても体験することはできたものだと思いますが、配信を通じてその質も量も高いものになったことは間違いありません。そもそも私がこうして3年間配信を続けることができたのも、多くの交流があったからに他なりません。宿泊記を読んでコメントをくださる方、TwitterやInstagramなどを通じて交流してくださる方、あるいはホテルのスタッフで読んでくださる方…自分の好きなものを同じく好きと思っている方たちのあたたかさを感じます。改めて本当にありがとうございます。

開設から3年の節目とはいえ、なにか新しいことをはじめるわけではありません。むしろいままで通りのスタンスでこれからも配信したいと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

(…まずは最近実生活の方の忙しさにかまけて、書けずにいたこの2ヶ月の間のいくつかの宿泊記を書きたいと思います)

 

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