スパとふぐ料理を満喫する日〜アンダーズとパークハイアットin東京

高級ホテルが高級ホテルたる要件とは一体何でしょうか?

もちろんホテルの基本的な機能は宿泊にあるのだから、第一には贅沢な客室を挙げることができるでしょう。それは旅先での快適性だとか、画一的な日々に刺激を与えるような非日常の空間を求める人の心を満たすものです。しかし個性的なホテルが増え続けている昨今、なにも高級ホテルに限らなくとも、快適な客室を見つけることはそれほど難しいことではありません。

私は高級ホテルの魅力は、共用部分までも含めた世界観がいかに優れているのか、という点にあると考えています。そしてそのためには魅力的なダイニングやスパは不可欠といえましょう。逆にいえば、こうした設備が貧弱であるようなホテルは、いくら客室が優れているといってもやはり高級ホテルには数えられないと思います。

私が会員資格を維持し続けているホテルロイヤルティプログラムであるハイアットのWorld of Hyattの特徴は、ダイニングやスパの利用でも会員資格の維持に必要なポイントを獲得できる点にあります。今回は東京のハイアットを代表するふたつのホテルをハシゴしながら、スパトリートメントと食事を堪能するという高級ホテルの使い方をリポートしてまいりましょう。

アンダーズ東京 AOスパ

最初に東京・虎ノ門にあるアンダーズ東京。2014年の開業以来ハイアットのライフスタイルホテルとして不動の人気を誇っています。このホテルのスパはフィットネス・プールと共に38階に位置しています。

AOスパと名付けられたスパのテーマカラーは「青」色です。レセプショニストもセラピストも藍色のユニフォームを着用しており、フレンドリーに出迎えてくれます。

こちらがレセプションの風景です。中央の木製のテーブルには様々なハーブやフルーツが載せられていますが、これらを使って飲み物を作ってくれたり、スクラブを作ってくれたり…ビジュアルにも実用にもよく考えられており、またこのホテルらしい個性も現れていて、好ましいものです。

なお今回は利用しませんでしたが、このホテルのプールもAOというテーマカラーを反映する綺麗なブルーのタイルが敷き詰められています。都内のホテルのプールでも指折りの洗練された場所といえましょう。なお外来でスパトリートメントを受ける場合、追加料金を払うとこちらのプールも利用できるようです。

トリートメントルームも素晴らしいです

最初にシャワーやサウナなどを備えたロッカールームに案内されます。こちらで体を暖めてから、バスローブに着替えてトリートメントルームに向かいましょう。

扉を開くとこのように全面ウインドウの開放的な部屋です。東京のベイエリアも一望できる昼の景色も夜景も素敵な空間です。トリートメント中はカーテンを閉めてもらうこともできますが、トリートメントが終了したときに視界にこの東京のスカイラインがぱっと広がるのも愉しいものです。

トリートメントルームにはこのような円形のバスタブも設置されています。トリートメントの内容によってはバスソルトやバスミルクを入れて、贅沢なビューバスを堪能することもできるとのことです。

アンダーズAOスパのトリートメント

フェイシャルのコースやアロマテラピーなどに使うオイルもこのように飾られています。AOスパオリジナルの四季をイメージした香調豊かなもので、保湿効果も高いものです。

さて今回受けたトリートメントは…

レディエンス(60分 ¥22,000)

評価: 5.0マザーオブパール、マンダリンオレンジ、ライム、フランキンセンスがブレンドされたボディスクラブを行ってから、シャワーで洗い流し、最後に保湿効果の高いローションでクイックマッサージ。スクラブの刺激が強めで心地よく、また施術後にも潤いがしっかりと出てきて満足度はかなり高めです。

トリートメントの内容は、フェイシャル・ボディともに大変満足のいくものとなりました。
今回は60分という短めのコースでしたが、AOスパには他にも様々なコースが用意されています。特に個性的なのは「Jiyujizai」と言われるもので、名前の通り、ゲストの要望に合わせて「自由自在」にトリートメントを組み合わせるというスペシャルコースです。こちらは30分のカウンセリングとトリートメントを合わせて最低でも2時間以上はかかる充実の内容となっていますが、セラピストの方たちのレベルも高いので、機会があればぜひ試してみたいものです。

パークハイアット東京「梢」のふぐコース

場所変わって、今度は東京・新宿にあるハイアット系列のフラッグシップ【パークハイアット東京】です。このホテルには圧倒的な洗練と料理の質を誇るレストランを擁しており、モダングリル料理の「ニューヨークグリル」や、オールデイダイニングの「ジランドール」などがあります。

和食の「梢」はメインの動線から少し外れた40階に位置しています。空間の洗練度は他のレストラン同様に極めて高く、一見すると「和」の要素がない無国籍な空間なのですが、ところどころに「和」を感じさせるインテリアコードになっています。景色も見渡せますが、西側に位置しているので、やや物静かな印象。しかし昼であれば富士山が見える絶好の席にもなります。

この「梢」では和食のコース料理・アラカルトを提供していますが、今回は冬の味覚の王道ということでふぐのコース「曜」(¥23,000)を注文することにしました。

コースは河豚皮の煮凝りからはじまります。

透明感がありぷるぷるとした河豚皮の食感は、寒い窓の外を眺める暖かい室内でこそ頂きたい清涼感があるものです。旨口の出汁の風味が広がり、後に続く料理への期待を募らせていきましょう。

続く九品盛りは「梢」の季節の前菜が大きく長い皿に一列に並べられて色鮮やか。

紫蘇卸しが添えられた唐墨や、炙った鯖寿司や金目鯛の押し寿司…生のいくらが詰め込まれた金柑など一口ごとに広がる味わいの響宴が楽しいものです。

そしていよいよ河豚の薄造りが運ばれてきます。

水晶のように透き通った身は歯ごたえ十分。そこに分葱の香味が加わります。特製のポン酢につけてすっきりといくのもいいし、肝醤油でこってりといくのもいい。

そして河豚ちり鍋が続きます。

新鮮な野菜と共に肉厚のふぐをしっかりと煮込み、ポン酢につけてさっぱりといただきましょう。だしは昆布だけ、素材もとにかくシンプルなものだけ、しかしなぜか味わいは深く深く伸びていきます。

河豚ちり鍋の出汁でつくる河豚雑炊。

ふぐや米から醸し出される甘味、分葱の香味、ほどよい塩気の鶏卵の瀞味、それらが三位一体となって「旨口」の真髄を見せてくれます。

デザートには幻のマスクメロン”天使音”。

金の飴細工と透明のサイダーゼリーが涼やかかつ上品です。そしてなによりこのマスクメロンの甘さとみずみずしさ。心の底まで甘く潤っていくかのようです。

和食が美味しい店というのは、高級店から庶民的なお店まで色々とあり、それぞれに個性があるものです。しかしこと「ふぐ」となると意外と「美味しい店」を探すのは大変なような気がします。ふぐ自体は淡白な味なので食感やそこから取れる出汁の味などは単一になりがちです。つまりどこで食べてもそれなりに美味しいし、逆にいえば個性が出しにくい。しかし「梢」に関しては、「ふぐの美味しい店」と言って良いでしょう。はじめから終わりまでまったく尽きることのない感動は、まちがいなく価値ある体験といえます。

こうしてふたつの「泊まらない」ハイアットホッピングはとても満足のいくものとなり、World of Hyattの最上級会員資格を維持し続けたいという想いを強めることとなりました。

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