グランドハイアット東京宿泊記・六本木の中心のギラリとした滞在【2020年版】

【この記事は私がこれまでグランドハイアット東京に滞在してきた記録をもとに構成したものです。最後の更新は2020年9月時点での情報なので、場合によっては現状と一致しない場合もあります。予めご承知おきください】

六本木は米軍基地があった関係でもとより多国籍な雰囲気の漂う地域ではありましたが、2000年代以降の再開発ラッシュなどに伴い、さらにギラリとした個性に磨きがかかったエリアです。東京ミッドタウンにあるリッツカールトンや、アークヒルズにあるANAインターコンチネンタルなどホテルにもその趣を感じさせるところが多いのですが、そうした中の最右翼はやはり六本木ヒルズにある【グランドハイアット東京】でしょう。

東京にあるハイアット系列のホテルはどこも特有の個性がありますが、ここは(ややもするすると俗物的な)煌びやかさや華やかさが前面に押し出されており、エネルギッシュに行き交う人々を眺めているだけでも、ギラリとした街の真ん中にいることを強く実感するものです。しかしその共用部分とは対照的に、客室は思いのほか落ち着いた雰囲気を漂わせています。このギャップがじつに魅力的であり、私もついつい足を運びたくなるところです。

今回はこのホテルの魅力について様々な客室の滞在を振り返りながら、リポートしてまいりましょう。

キングルーム宿泊記

※この部分は2019年1月の内容です※

今回は仕事の関係でひとりでの滞在。

通常であれば、ハイアットグローバリスト会員は10Fにあるクラブラウンジでのチェックインが可能ですが、今回は事前に連絡があり、ラウンジが改装中とのこと。そこで1Fのフロントで手続きをします。

このフロントのエリアでじっくりするのも久々です。全体的にキュービックなコンテンポラリー家具が置かれたフロントエリアの雰囲気は、六本木の街のイメージにもどこかつながっている気がします。

ここは昼でも夜でも無国籍な雰囲気。世界中の様々な人々が行き交っています。煌びやかさ、華やかさ、俗物的なのか、はたまた即物的なのか…ひとりでホテルに泊まるとき、私はしばしば言いようのない寂しさを憶える瞬間があるのですが、このホテルの賑わいは、その情感をややもすると打ち消していくような感覚です。

物寂しさを抱えたならば、私はぜひここのホテルに泊まりたい。そんな気持ちになってきます。

エレベーターホール前には巨大な2つの顔のオブジェ。ここから進んでいくと、これまでとは打って変わって落ち着いた雰囲気となっていきます。あたかも結界のようですね。

なおクラブラウンジにはアクセスできませんでしたが、このホテルのオールデイダイニング「フレンチキッチン」の一角を臨時のクラブラウンジとして使用していました。せっかくなのでオレンジジュースを頂いてから客室に向かうことにしましょう。

今回は特に客室アップグレードはありませんでした。このホテルはごくまれにスイートルームにアップグレードしてもらえることもありますが、基本的には通常の「キングルーム」にアサインされることが多いという印象です。ちなみに部屋の広さは42㎡ありますが、ラグジュアリーホテルとしてはやや狭めな方かもしれません。しかしひとりで宿泊するとなると逆にちょうどいいサイズ感だと思います。

ベッド・オットマン付きのソファー・ビジネスデスクが効率よく配置されています。ブラウン系のインテリアということもあり、落ち着く雰囲気だと思います。また家具の質感もかなり良好なものです。ベッドはやや低めの設定であり、このあたりはハイアット共通かと思われます。なおこのベッドにはこだわりを感じられ、枕の柔らかさと共にシーツの肌触りがとても良いです。

またベッドサイドボードに必要な機能がすっきりとまとめられているのも好ましい点ですね。コンセントと共に目覚まし時計やBluetooth接続式のスピーカーなども用意されています。

今回の部屋は「六本木ヒルズ・森タワービュー」でした。カーテンを開くと夜遅くまで仕事をしているオフィスの光景や、高速道路を行き交う車、そして遠くに東京タワーをはじめとしたスカイラインが広がります。

好き嫌いが分かれる眺望かと思いますが、私はこのホテルらしくて良いと思います。

客室のデザインを手がけたドン・シエンベーダとピーター・レメディオスのセンスが光るワーキングデスクエリアです。やや斜めを向いているのですが、使い勝手がよく作業が捗ります 。また置かれている革の椅子は、フリッツ・ハンセン社のオックスフォードチェア。背もたれがたかく、シンプルなデザインながら、極めて座り心地のよいものです。

ユニバーサル型のコンセントやUSBポート、BluetoothやHDMIそしてインターネットなどに接続できるようになっています。またブルーレイ/DVDデッキがテレビに接続されており、デスクの下にはBOSEスピーカーが収められています。シンプルに見えて案外機能的でもあります。

バスルームも快適です

バスルームはベッドルームに直接つながっています。スライド式のドアで仕切ることができますが、普段は開いており、開放感をもたせる設計になっています。

いくつもの「円形」で構成されたデザイン性の高いベイシンエリアです。可動式の液晶テレビも設置されています。

バスルームは前面がガラスで仕切られた独立式です。バスタブは水量がでるためにあっという間にお湯を貯めることができるようになっています。ホテル併設のNagomiスパのバスソルトも標準で用意されており、リラックスできます。

シャワーの水圧も十分すぎるほどです。マルチファンクションのハンドシャワーとレインシャワーが備えられています。またベイシンエリアの反対側にトイレとこのような大型のクローゼットがあります。
アメニティは世界のグランドハイアットで標準となっている「ジュンジェイコブズ」です。緑茶をベースにしてキューカンバーが引き立つ爽やかな香りとなっています。個人的にはかなり好きな香りで(スイートルームはRENのアメニティなのですが、個人的にはこちらの方が好きです)、洗い上がりもさっぱりとして心地よいものです。

六本木の中心のキングベッドで休む

煌々たる六本木の真ん中にあるグランドハイアット東京の客室はこのように、意外なほどモデレートな雰囲気なのです。この賑わいと穏やかさの幸福なギャップがこのホテルをさらに魅力的なものにしているといえましょう。

客室にはネスプレッソに加えて、このような茶器が用意されています。夜のターンダウンのときには冷たい氷も用意されます。外からもらう熱量を冷ましたり、高揚した気分を暖かく落ちつけたりできます。

客室からの夜景はこのような雰囲気。夜遅くになっても六本木ヒルズには明かりが灯り、遠く、近く、不夜城たる港区の中心を目の当たりにすることができます。もちろんその明かりのひとつひとつには様々な人々の営みがあり、あるひとは仕事をしているのかもしれないし、あるひとは大切な人との憩いのひとときをすごしているのかもしれない、などと思索をめぐらす夜にまどろんでいきます。ギラリと光る六本木の中心の穏やかなキングベッドの睡眠。この不思議なギャップを堪能するのもまた趣深いものといえましょう。

ギラリと光る夜の六本木にまどろみ、目覚めると、そこにあるのは、祭りのあとのような気怠さでしょうか。あるいは静かな都会の朝の清々しさでしょうか。いずれにしても、グランドハイアット東京に宿泊すると、夜とは全く異なるこの地域の表情を見ることができます。

そしてそんな光景を眺めながら身だしなみを整えたい、ついでに少し体も動かしてきたいという気持ちになってきます。高級ホテルには個性的なスパ施設がつきものですが、ここグランドハイアット東京もまさにその原則にしっかり当てはまります。

Nagomiスパ アンドフィットネス

グランドハイアット東京の5階にあるのがスパ・フィットネス「Nagomi」です。名前とは裏腹にかなり前衛的な雰囲気の漂う空間となっています。

石造りの重厚かつ洗練されたプールです。そこの部分の黒いタイルもまたその雰囲気を引き立てていますが、なによりも目立つのが奥の方に見えている白く輝くジャクジーです。

東京には様々な高級ホテルがあり、それぞれ上質なフィットネスを備えていますが、ここまで艶かしい雰囲気の場所はありません。しかしこのような雰囲気ではありますが、利用している人はほとんどいないため、実際にはかなり落ち着いて泳ぐことができます。

スパ・フィットネスに併設されているのがこのような温浴施設です。手前側にはドライサウナもあります。規模はそれほど広くありませんが、不思議とさほど圧迫感がありません。

スパNagomiのアメニティは、他ではほとんど見かけることのない「クリスチャン・フロリアン」のもの。こちらは期間限定トライアルで用意してある洗顔料ですが、シャンプー・コンディショナー・ボディジェルまでこのブランドの商品で揃えられています。香りも非常によく、また洗い上がりもしっとりとして満足度が高めです。

ボディローションやフェイシャルケアも「クリスチャン・フロリアン」の「ブルーカモミール」が用意されています。効能高く、また快適な使用感です。

スパエリアにはこのようにずらりテレビ付きの重厚なマッサージチェアが並べられています。ここで少しくつろいでいくのもまた悪くないものです。

フルーツやハーブウォーターなどを少し頂き、リフレッシュしてから出かけましょう。

フレンチキッチンの朝食

本来であれば、グランドハイアット東京に滞在すると、ハイアットグローバリストの朝食の特典はクラブラウンジでのみ利用することになります。しかし今回はラウンジが改装中とのことで、臨時でこのホテルの誇るオールデイダイニング「フレンチキッチン」での朝食に振り変えられていました。

昼はランチブッフェやアフタヌーンティーを提供し、夜はややモダンでカジュアルなフレンチを頂けるこちらのレストランですが、朝もブッフェ形式となっています。ちなみに宿泊客ではなくても利用可能です。

全体的な雰囲気はこのように開放感があり、またオープンキッチンとなっていることも手伝ってかなり賑やかです。手前側にはテラス席もあり、冬場は寒いでしょうが、春や秋などは風にあたりながら食事を楽しむことができるようになっています。

スタッフもゲストも多国籍であり、まさにこのエリアのインターナショナルなイメージにも重なります。

フレッシュジュースにスムージーで喉を潤したり、ビタミンを補給したりする。それからサラダメイキングをしてみたり、種類の豊富なパンを選んでみたり…得てしてホテルの朝食ブッフェにはそういう楽しみがあるものですが、ここグランドハイアット東京でもそれは同じ。突き抜けた個性があるわけではないけれど、カラフルかつ開放感があるので気分が明るくなります。

おなじ東京のハイアットのブッフェでも、パークハイアットのような落ち着いて洗練された雰囲気とも、アンダーズ東京やハイアットセントリック銀座東京のようなひねりの効いた感じとも異なるものです。

質の高いシャンボンブランはその場でカットしてくれます。マスタードを塗って、香ばしい香りをきき、口に運べばまろやかな余韻。洗練と豪胆さが奇妙に共存するこのホテルの朝食らしい一品といえましょう。

せっかくなので、このレストランの名前らしく「フレンチトースト」を注文してみましょう。

私はフレンチトーストに関して言えば、ホテルオークラの「ラ・ベル・エポック」の朝食を超えるものに出会ったことはありません。それはある種の理想的なものとして頑として存在しています。しかしそれでも様々な個性をもつフレンチトーストの味わいを妨げるものではありません。

フレンチキッチンのフレンチトーストは、しっとりしていながらも、ある種の硬さが残っているためにしっかりとした食感があるものです。ただしシナモンを加えてみたりといった小細工は一切せずに、ひたすらシンプルに勝負しているものです。グランドハイアット東京のメープルシロップはこだわりのある香り豊かなものなのですが、このシンプリシティをもってして、その風味が強く生きてきます。コーヒーにもよく合うものです。

メタリックな高級ホテルです

フレンチキッチンで朝食をしていて、ふとはじめてこのグランドハイアット東京を訪ねた頃のことや、まだグローバリスト会員資格(当時はダイヤモンド会員)を保有していなかった頃のことなどを回顧していました。

はじめてこのホテルを訪ねたのは、招待を受けてフレンチキッチンで食事をしたときなのですが、なんだかこれまで自分が持っていた高級ホテルのイメージを良い意味でかなり覆されました。それまでの私にとって高級ホテルというと、大理石やシャンデリアなどのいわゆる重厚な雰囲気をイメージすることが多かったものです。しかしこのホテルは確かに磨き上げられたつやつやの石材の床などはあるものの、なんだか軽やかでメタリックな格好いい空間というイメージ。しかし決して安っぽさを感じることはない。こういう高級感の表現も可能なのだと感動しました。

グランドハイアット東京は2003年開業ですから、すでに15年以上の歴史を刻んできたことになります。このホテルの開業に前後して「ストリングスホテル東京インターコンチネンタル」や「フォーシーズンズホテル丸の内東京」(そういえばこれらはどことなく雰囲気が似ているところがあるかもしれません)がオープン。そして後を追うようにして数多くの外資系ホテルが開業していきます。

グランドハイアット東京は、そうした居並ぶ超高級外資系ホテル群のなかでも、メタリックな格好よさと、上品と俗物の奇妙な掛け合わせ、刺激と平穏のギャップ…そんな要素を内に秘めながら独自の地位を保っています。私が漠然とホテルの上級会員を取得しようと思い立ったときに、(もちろんこのホテルがすべての理由ではないにせよ)グランドハイアット東京の持つこの不思議な魅力に引き込まれたのでした。

ハイアットのグローバリストになってみると、朝食はもっぱらクラブラウンジで取るようになり、以前のようにフレンチキッチンに足を運ぶ機会は少なくなるものです。しかし平会員だった頃には、グランドハイアット東京に泊まれば必ずここに朝食を取りに来たものでした。それは初めてこのホテルを訪ねたときに感じた(個人的には)新しい次元の高級感を反芻していたのだとも言えます。

そんなことをふと思い出した滞在でした。

グランドエグゼクティブスイートツイン宿泊記

※この部分は2019年3月の内容です※

六本木にあるグランドハイアット東京にはいくつもの魅力がありますが、やはり全体的にアップテンポな中にもメタリックで洗練された都会的な雰囲気は、このホテルならではのものといえましょう。このホテルは全部で387もの客室を有するというなかなかの規模なのですが、スイートルームはそのうち28室あります。マホガニー素材の家具やアースカラーの色合いが落ち着いた雰囲気を醸し出すデザインコードはそれらすべての客室に共通するものです。

さてこちらのホテルのスイートルームなのですが、じつはややカテゴリーが複雑になっているのが特徴です。事前の知識として、ハイアットにはアップグレードに必要なポイント数に応じて「プレミアムスイート」と「スタンダードスイート」の2種類があります。

グランドハイアット東京のスイートルームの種類は以下の通りです。

  • プレジデンシャルスイート(プレミアム)
  • アンバサダースイート(プレミアム)
  • チェアマンスイート(プレミアム)
  • ディプロマットスイート(プレミアム)
  • グランドエグゼクティブスイートツイン(プレミアム)
  • グランドエグゼクティブスイートキング(スタンダード)
  • グランドスイート(スタンダード)

チェアマン以上は別格のプレミアムスイートとして、問題はディプロマットスイート以下のカテゴリーのスイートです。最も下のカテゴリーであるグランドスイートはともかくとして、「グランドエグゼクティブ」と名前がついているにも関わらず「ツインはプレミアム」で「キングはスタンダード」になっています。

今回宿泊したのはグランドエグゼクティブスイート「ツイン」だったので、カテゴリーとしては「プレミアム」でした。こちらの客室は次の2つの点でかつて宿泊したグランドエグゼクティブスイート「キング」とは異なっていました。

  1.  ベッドルームが広く取られていて、デイベッドが置かれている。
  2. リビングルームのソファが革張りのより良いものになっている。

どうやらこのあたりが違いのようです。また階数としてはさほど高層階ではありませんでした。これはあくまで推測ですが、グランドエグゼクティブスイート「ツイン」は、設備としてはディプロマットスイートに匹敵するのではないでしょうか。ただしベッドタイプと階数の問題でおそらくこのような名称を与えられているのではないかと思います。

さて、通常であれば、World of Hyattの最上級会員であるグローバリストの特典による客室アップグレードは「スタンダードスイートまで」となっています。その意味で今回はサプライズアップグレードだったわけですが、その客室の様子や雰囲気についてレポートしてまいります。

今回は深夜帯の到着となりました。いつもであればグランドクラブでのチェックインを行うのですが、今回は1階ロビーにて行いました。顔なじみのスタッフから「特別な客室をご用意しました」との嬉しい言葉…そして期待しつつ客室に向かいました。

客室に入るとまずこのようなリビングルームです。グランドエグゼクティブスイート「キング」だと目の前に花柄のソファが置いてあったと思うのですが、こちらは革張りでより質感が高い印象です。奥の方にはBang and OlfsenのCDプレイヤーも置かれています。

ソファの向かい側には大型のテレビとスピーカー付きのipadなどが置かれています。スイートルーム共通で置かれているピンクのLOUIS VUITTON東京ガイドもありました。

ソファのサイドテーブルにはこのようなお菓子が用意されています。抹茶パウダーと梅パウダーの豆菓子は「虎ノ門きや」のものです。また中央の白いものは小さなマシュマロです。

特筆すべきほどのものではないかもしれませんが、さりげなくこのようなアイテムが置かれていると嬉しい気持ちになるものですね。

手前側はこのように大型のビジネスデスクが置かれています。このホテルは一般客室でも作業が捗りそうなデスクとオックスフォードチェアが置かれていますが、スイートルームにも同じことが言えそうです。また奥の棚にはネスプレッソもあります。

ベッドルーム&バスルーム

リビングルームから奥に入っていくとベッドルームです。

グランドスイートやグランドエグゼクティブスイートキングよりもさらにゆとりのある作りですね。デイベッドもあり、奥の細長い窓の外からは港区の臨海部方面の景色が見渡せます。

ハイアットらしい柔らかすぎないツインベッドです。質感自体はもちろん悪くなく、スレッドカウントの高いフレッテ社のリネンがとても心地よく、いかにも高級ホテルであるという主張を感じます。

ただ個人的にはキングベッドの方が全体的に余裕がある感じがして好みです。

ベッドルームの奥はバスルームとなっています。広さは一般の客室よりもありますが、インテリアコードや備品含めてだいたい共通しています。

なおバスアメニティはRENも選択できますが、私は通常のJUNE JACOBSが好きなので、こちらのままにしています。キューカンバーとグリーンティという個性的な香りですが、嫌味はなく、むしろ清涼感のあるものです。仕上がりもまずまず悪くありません。

朝食はグランドクラブにて。
先日少し改装を行ったようですが、ざっと見た感じではさほどの違いは見つけられませんでした。なお改装中はグローバリスト特典の朝食は、2階のオールデイダイニング「フレンチキッチン」に振り替えられていましたが、改装後は特にそちらに行くことはできないようです。
こちらグランドクラブの朝食は、内容としては必要最低限ですが、あって欲しいものはだいたい押さえてあるという印象です。だいたいの場合混雑もしておらず快適です。
部屋で一息着いてから出発しましょう。
今回の滞在もおかげさまで快適なものになりました。また今回のようにスパなどの付帯設備(このホテルはこちらも充実している)を利用しなくても、このホテルの魅力は十分に堪能することができました。
グランドハイアット東京はオープンからすでに15年以上経っていますが、全体的な設備面でもまったく古さを感じさせない優秀なホテルだと思います。最近ではかなり割安なレートが出ていることもあり、コストパフォーマンスも極めて良好です。引き続き東京に数あるホテルの中でも際立つ個性が輝くホテルであり続けるのだろうなと思いながらホテルをあとにしました。

久々のグランドハイアット、初めてのディプロマットスイート

※この部分は2020年8月の内容です※

何度となくこのホテルには足を運んできましたが、今日はパートナーと一緒に夏の終わりのひとときを過ごそうと、客室のアップグレードをお願いしていたのでした。じつはふたりがはじめてデートをした思い出のホテルでもあるのですが、今日は幸運にもディプロマットスイートに案内してもらうことができました。

迅る気持ちを抑えきれずに、少し早くホテルに着いてしまった我々は、客室の案内ができるまでのあいだに昼食を取ることにしました。ちょっとジャンキーなものを食べたいという思いが一致して向かったのが、このホテルを代表するレストランのひとつであり、不思議と強くアメリカを感じるステーキハウス「オークドア」。

オークドア・バーガーは、店の名を冠していることに恥じることのない味わいでした。肉厚でジューシーなパティに、ほんのり炭火の香りのするバンズ。しゃきっとしたレタスはあくまでも全体のやわらかさを妨げることなく、とろけるチェダーチーズにフライドオニオンの甘みと香味のアクセント。付け合わせのローズマリーフレンチフライは塩気もまろやかで、最後の一口に至るまで決して飽きることなく、また満腹感も相当なものでした。

他愛のない話をしているうちに時間は過ぎて、いよいよ上層階にある今日の客室に向かうことにしました。

今回滞在するディプロマットスイートの特徴はなんといっても、この本革貼りのソファが置かれたリビングルームにあるといえるでしょう。広く取られた窓からは東京の景色がダイナミックに展開します。他方のベッドルームはスタンダードルームと同じくらいのサイズ感と落ち着きがあり、快適に過ごせます。

この日はとても暑い日でしたが、夏の終わりの空模様を感じさせて、明るくも、どこか切なさを感じさせられました。

知らない間に変わったことといえば、バスアメニティが以前の「REN」から「BALMAIN」になっていたことでしょうか。香りはフローラル系の上品さが基調になっていて落ち着きます。また洗い上がりの質感も決して悪くありません。

このホテルのスイートルームに滞在すると持ってきてもらえる赤ワインとプレミアムウォーター。夏らしく巨峰もウェルカムフルーツとして用意されていました。この日はしばらく六本木ヒルズを当てもなくウィンドウショッピングしてみたり、ホテルの部屋で本を読んだり、なにげなく空を見つめていたりして過ごしていました。

夕方くらいに近所に住むパートナーの友人を迎えて、ワインのボトルを開けることに。私といるときとは違う様子で楽しそうに談笑している彼女の様子は、どこか微笑ましく、しかしどこか遠い存在に思えたりもしました。

夜も更けて友人が帰ると、部屋は急に静かになりました。ほどなくお風呂に入って、それから疲れて寝入ってしまった彼女を見守りながら、私は六本木の夜に消化しきれない孤独な気持ちを投げかけていました。何も生み出さないままに気付いたら30分。熱いシャワーを浴びて、私も眠ることにしました。

翌朝はやや寝坊気味。爽やかな空がリビングルームの外に広がり、昨日の孤独感はどこへいったのやら。人の気持ちは波打つものだと改めて感じた日でした。幸せな気分が永続しないのは悲しいことですが、しかし憂鬱な気分もまた永続しない。だからいたずらに一喜一憂する必要はないのだと思います(とはいえ、そう簡単に割り切れるものではないけれど)。

夜になり、このホテルの和食「旬房」へ。大好きな釜炊きのとうもろこしご飯をふたりで食べました。距離感と孤独感。その不思議な引きあいがあったことなど話しながら、次第に今度はどこに出かけようかと、気付いたら先々のことをふたりで語り合っていました。

もう戻ってこない今年の夏の記憶を噛み締めて、そしてまた巡ってくる夏に思いを馳せながら、このホテルをあとにしました。

フォローお待ちしています