グランドハイアットソウル宿泊記・漢江を一望するスイートとグランドクラブと

※この記事は2018年11月に滞在したときの記録です。最新情報とは異なる点があるかもしれないことをご承知おきください。

韓国にはパークハイアットが2軒(ソウル・釜山)、グランドハイアットが2軒(ソウル・仁川)、アンダーズが1軒(ソウル)あり、また済州島には新しいグランドハイアットが計画されています(2020年9月現在)。そうしたなかで、グランドハイアットソウルは、1978年開業ということで、アジアにあるハイアット系列の中では最古参の部類に入ります。そしてアジア太平洋地域で唯一のハイアット本社による直接の運営がされているホテルでもあります(通常は現地企業との提携)。

近年のアジアのハイアット的なモダンな雰囲気というよりは、重厚長大な昔ながらのホテルという印象がありますが、後のアジア各地のハイアットのデザインの原形的なものを感じさせるという意味では面白いかもしれません。なお場所はソウルの南山という明洞などの繁華街からは離れたところにあり、最寄りの地下鉄の駅から歩こうとすると急勾配で簡単な登山のような気分になるかもしれません。ここは車で行くホテルという印象です。ただし賑やかなエリアから離れている分、静かで落ち着いた雰囲気だし、山の上なので眺望も良いです。とりわけここからみる漢江の景色はスペクタクルであるといえましょう。

今回はこのグランドハイアットソウルについてリポートしてまいりましょう。

レストラン・バー

グランドハイアットソウルのレストランとバーは次のようになっています。

  • Gallery(ラウンジ・軽食など)
  • The Terrace(インターナショナルブッフェ)
  • Kauri(和食・寿司)
  • Steak house(グリル料理)
  • Teppan(鉄板焼き)
  • Tenkai(焼き鳥)
  • J.J.Mahoney’s(ディスコ・バー)
  • JJ Deli(洋食・カジュアルダイニング)
  • The Paris Bar(メインバー)

グランドハイアットらしくレストラン・バーの数は多いです。しかし和食系のお店が3軒もある一方で、現地の韓国料理を食べられるお店がなく、中華料理などもないのでやや偏りがあるようにも思われます。

またもうひとつの特徴はJ.J.Mahoney’sというディスコが常設されていることです。東京のグランドハイアットでもディスコイベントはたびたび開催されていますが、こちらでは毎晩それと思しき人たちが出入りしています。先日泊まったW台北にも似たような雰囲気がありましたが、こういう煌びやかさは日本のホテルにはなかなか見られないので、ある意味面白いと思います。

施設の充実度

ビジネスセンターやフィットネス、スパなどの高級ホテルに必要な設備はすべて備わっていると言っていいでしょう。最新のホテルと比較するとデザインに古さを感じさせるところも少なくないですが、よく手入れが行き届いており、快適に過ごすことができます。また周囲は高級住宅街のため、商店は少なく外に何かを買いに行こうとするとやや大変です。ホテルの中にはショッピングアーケードがありますが、こちらも高級なブティックばかりが並んでいます。

なおホテルのプールはインドアとアウトドアの2種類があり、冬にはスケートリンクが開設されます。またスパ施設には大浴場があるなど、都市型のリゾートという趣があります(単純な比較はできないけれど、東京で言えばホテル椿山荘のような?)

ホテルへのアクセス

仁川国際空港からはKALリムジンバスが20〜30分おきに出ています。しかし金浦空港から直接アクセスしようとすると、タクシーを利用するかホテルにKRW110,000で専用車を手配してもらうほかありません。

周囲には鉄道の駅がなく、最寄りの地下鉄6号線のハンガンジン駅までは急な坂道を20分ほど歩かなければなりません。なお繁華街の明洞と梨泰院まではシャトルバスが1時間おきに出ています。

いずれにしてもアクセスのよさを取るのであれば、目的に合わせて明洞や江南地区などにあるホテルを利用するほうが良いでしょう。

チェックイン

空港からタクシーでホテルまで向かいます。

ホテルのエントランスには黒塗りの高級車がずらりと並び、煉瓦造りの外壁に囲まれていて、周囲の高級住宅街の景観もあいまって大邸宅のような雰囲気があります。なおホテルは庭園に遊歩道があり、ちょっとした散歩ができるようになっています。このあたりは東京の庭付きのホテルに似通ったものを感じます。

ロビーエリアです。石造りの壁や大きな絵画があり、堂々とした迫力があります。なお写真向かって右手のほうがラウンジのThe Galleryがあり、左手にはチェックインカウンターがあります。

こちらがチェックインカウンター。お気づきの方もいるかもしれませんが、なんとなく東京のパークハイアットの雰囲気に似ています。そしてもっとそれを感じさせる場所がエレベーターホールにあります。

かなり個性的なエレベーターホールです。

ぜひ東京のパークハイアットと見比べていただきたいのですが、書物をインテリアのアクセントとして巧みに利用しています。これは両方のホテルのデザイナーが同じジョン・モーフォード氏であることに由来しています。そうしてみると、グランドハイアットソウルのインテリアは後のパークハイアット東京の原型のようにも見えてきます。

観葉植物に小さな枠に入れられたカリカチュア。オリエンタルな椅子など…壁の緑色の使い方などを見てもやはりパークハイアット東京との共通点を感じます。

グランドスイートでの滞在

今回の滞在は、World of Hyattのグローバリスト特典で最上階のグランドスイートにアップグレードされました。

大理石の床と絵画の飾られたエレベーターホールを進むとこのような廊下に出ます。モダンなデザインのスタイリッシュさではなく、かといってクラシカルなホテルの重厚さでもない不思議な空間です。古めかしくもあるけれど、なかなか「攻めた」インテリアといえましょう。

エントランスから入ると、クラシカルだけれど、ところどころに感じるモダニズム。例えばそれば、額縁のない絵画が壁にさらっとかけられているところにも現れます。どことなくモダンな印象を与えるのですが、シャンデリアや家具の雰囲気はクラシカル。エレベーターホールや廊下にも、あるいはホテル全体にも共通する絶妙なインテリアコードと言えるかもしれません。

奥の鏡がかけられている方が玄関です。全体的にあたたかい雰囲気の配色ですが、黒っぽいエントランスと対照をなしています。楕円形のテーブルはビジネスデスクとして利用でき、なかなか使い勝手はよかったです。ちなみにその奥にあるアコーディオン型の木の仕切りは、パークハイアット東京の客室にも使われており、どことなく共通性を感じさせられます。

玄関部分にはミネラルウォーターやアイスストッカー、それからネスプレッソなどがしっかり揃えられています。特に過不足のない取り揃えられ方といえましょう。

リビングから奥に進むとベッドルームがあります。しっかりとしたサイズ感のあるキングベッド。そして天井にはまたシャンデリア。手前にある箪笥のようなものがさらっと韓国を感じさせるものです。

ベッド側から見たリビングルーム方面です。大型のテレビにDVDデッキなども常備されています。なおこの部屋にチェックインしてからずっとセーフティボックスがないと探していたのですが、最終的にこのテレビの上の棚の中に発見しました。少しこのあたりはわかりにくかったように思います。

ベッドルームの左手にはバスルームがあるのですが、その手前に簡単なウォークインクローゼットがあります。収容力はそれなりにありますが、ちょっと手狭で使いづらいものでした。

ベッドルームの奥にはウェットエリア。独立式のトイレとシャワーブースのついたバスルームです。ベイシンは大理石調でどっしりとした雰囲気があります。グランドハイアット標準のアメニティは一通りそろっていますが、シェービングキットだけはないので注意が必要です。またタオルをかける場所がないのも少々不便でした。

バスタブは深さが十分にあり、アカスリタオルなどの用意もあり、それなりにくつろげます。ただなんとなく古めかしく、私はあまり見ないのですがグランドハイアット東京などのように入浴しながらテレビを見られるような仕掛けもなく、そのあたりで見劣りすることは否めませんでした。

トイレにはしっかりと機能するTOTOのウォシュレットが備わっており、この点はかなりの高く評価できますね。

アメニティはグランドハイアットで標準的に採用されているジューンジェイコブズ。緑茶と胡瓜の爽やかな香りが特徴で、使用感も良好だと思います。

グランドハイアットソウルで過ごす

グランドハイアットソウルのスイートに宿泊した翌朝は、クラブラウンジで朝食を。じつはこちらのラウンジではカクテルタイムも用意されていたのですが、美味しいものの多いソウルの繁華街に繰り出していたもので、まったく利用しませんでした。

目覚めてカーテンを開けると、漢江沿いのソウルの街並みが広がります。周囲には煉瓦造りの高級住宅街があり、東京や大阪とは一味違った都会の景色を眺めることができます。

反対側は南山タワービューです。エレベーターホールから地下階まで降りていきます。

ここがラウンジ、グランドクラブの入り口です。

黄色のカーペットが目を引きますが、それ以上に銅像がどんと置かれているのがなんともいえません。なお扉に鍵をかざすと解錠されて中に入ることができるようになっています。

中はこのような雰囲気です。基本的なインテリアコードは客室とも同じクラシカルモダンといったところでしょうか。

朝食のラインナップを見ていきます。

フルーツはメロンにスイカ、バナナやぶどう、ベリーコンポートなどが用意されていました。特に過不足なしというところです。

パンの種類はそれほど多くはありませんが、手前側のパン・オ・ショコラはまずまず美味しいかったです。ただしそのほかは、ハイアット系列のわりにはそれほどクオリティは高くないように思いました。

コーヒーはスタッフが客席まで注文を聞きに来てくれます。また持ち帰り用のカップも用意してもらえるので客室や外出先で飲むこともできます。

ホットミール。こちらも洋食のラインナップが中心です。味も種類も標準的といえましょう。

ごくわずかではありますが、アジアの料理も用意されています。

こちらは点心ですが、特別美味しいわけではないものの一応、韓国粥やテンジャンチゲなどもありました。

振り返ってみると、こちらのホテルでの朝食は、質はそこまで悪くはないものの、ここで満腹にするくらいなら外で昼食をしっかりと取った方がいいかなという印象です。なお雰囲気はホテルの庭園も望むことができて、落ち着いた良い雰囲気です。

朝や昼のひとときにコーヒーや紅茶などを飲みつつ、気分をリフレッシュするにはなかなか使い勝手が良いのではないかと思いました。

食後しばらくしたら、このホテルに特有の立派なスパ施設を訪れましょう。残念ながら写真は撮影できなかったのですが、こちらには大浴場が備え付けられており、それぞれ温度の異なるサウナなども設置されています。

スパの受付に部屋番号を伝えて入るとこのようなラウンジスペースがあります。テレビや雑誌の用意もあり、ブースに仕切られているのでゆっくりとくつろぐことができます。

ラウンジコーナーには水やお茶の用意がされています。

セーフティーボックスが並んでいるエリア。一見してわかるようにかなり大規模なスパ施設です。どうやら宿泊者以外にも会員の利用もあるようです。ロッカールームの鍵は暗証番号を入れるのではなく、受付でもらえる鍵をかざすと開くタイプでした。

このホテルのスパ施設の特筆すべき点(韓国の他のハイアットもそうですが)は、かなりパウダーエリアが充実している点でしょう。このように化粧水からモイスチャライザー、整髪料まで色々と取り揃えられています。また歯磨きや塩!まで用意されていました。


やはりアジア最古参のハイアットだけあって、重厚長大なやや古めかしさを感じさせるホテルという印象は強いです。またアクセスもそれほど便利ではなく、他にも魅力的なホテルが数多いソウルの滞在にこのホテルを積極的には勧められません。しかし落ち着きや景色の良さに関しては他の追従を許さないし、シティリゾートとしては十分な設備を有するので、ホテルでゆっくり過ごすことを目的とした旅であれば選択肢に入ってくるでしょう。

またハイアットファンであれば、のちにアジアに広がっていくハイアットの原型を色々と見つけることができるので、そういう意味での楽しみもあるかもしれません。

フォローお待ちしています