しゃぶしゃぶのお店は大きく2つに分かれると思います。
ひとつは料亭みたいに高級感のある雰囲気のなかで恭しいもてなしを受けつつ、とにかく高品質な素材を堪能するもの。そしてもうひとつは、カジュアルな空間で賑やかに楽しみ語り合いながら鍋をつつき合うもの。
中途半端に高級感を持たせつつ、でもカジュアルな要素を取り入れようとした店となると、どことなくちぐはぐなものになってしまっていまひとつ楽しめない…そういう経験が少なくとも私には何度かあります。しかし表参道にあるKINTANは、カジュアルかつ雰囲気のいい、おしゃれなカフェのような雰囲気の店内で、高級料亭のような恭しいもてなしを受けつつ質のよいものを食べられるお店だと思います。
ここのお店はコースが中心になっていて、高いコースもありますが、比較的リーズナブルなものもあります。しかしどのコースにするにしても、私が必ず食べたくなるものがあります。
それがこの「サーロインユッケのハーフ&ハーフ」。
口に入れると瞬時に牛肉の旨味が広がり、次の瞬間には赤身と脂身の絶妙のバランスのゆえか、まさに肉が溶けていき、最後にはまろやかな余韻が残る…鮮度が高く、質の高い牛肉だからこそ実現できる妙味といえます。片側には葱塩のタレがかかっており、胡椒のぴりっとした風味が冴え渡る感じが楽しめます。そしてもう片方はやや甘めのナッツと岩塩がかけられており、なかなかコクがあります。この両方を交互に口にしていくともうそれだけで大きな満足を得られます。
そんなわけでリーズナブルなコースを注文しても、これだけは必ず別に注文しています。なおKINTANはしゃぶしゃぶ店以外にも、都内に数店の焼肉店も出しています。そちらでもこの「サーロインユッケ」は提供されているようです。
しかしこちらのお店で提供されるしゃぶしゃぶもまた質がよく、野菜にまでよくこだわっており、その合わせ技を楽しみに私はまたこちらに足を運ぶことでしょう。