パークハイアット釜山宿泊記・海雲台にたたずむモダンラグジュアリーホテル

この記事は2018年11月当時の情報であり、現在とは内容が異なっている場合があることをご承知おきください。

グランドハイアットソウルを後にして、KTXに乗って、韓国第二の都会釜山へ。中心市街地からやや外れつつ、ビーチリゾートと高層ビルの立ち並ぶのが海雲台。このエリアでもひときわ目立つモダンなラグジュアリーホテルがパークハイアット釜山です。同じ韓国のパークハイアットでも、ソウルの方が値段が高く、もちろん素晴らしいホテルなのですが、こちらもまったく引けを取らないほどの設備とサービスを誇っていると思います。

また最近のアジアのモダンなハイアットの優等生的な性格のホテルと言えると思います。まずなによりもどのスタッフも笑顔を絶やさないとてもフレンドリーかつ丁寧な接客。英語はやや韓国訛りだけれども聞き取りやすく、さらに日本語を流暢に話せる人も何人もいます。ホテルステイの決定打は「人」だと思いますが、これを高い水準で満たしています。またハード面も京都や箱根のハイアットリージェンシーやグランドハイアットシンガポールのデザインを手がけた「スーパーポテト」が手がけており、あの特有の石とガラスと骨董が見事に調和した空間が広がっています。

今回はこのホテルについてリポートしてまいりましょう。

レストラン・バー

パークハイアットプサンのレストランとバーは次のようになっています。

  • Dining Room(グリル料理&寿司)
  • Living Room(フランス料理&バー)
  • Lounge(ラウンジ・軽食)

あまりレストランの数は多くありません。それぞれの店名はかなりシンプルに名付けられています。ブッフェ形式の朝食も行っているDining Roomがこのホテルのオールデイダイニングという位置付けで、Living Roomはバーカウンターが併設されており、カジュアルなフランス料理とバーの機能を並存させています。韓国料理はほとんど提供されていませんが、プサンには数多くのローカルな名店がありますので、そちらを尋ねるのが良いでしょう。

またLoungeは軽食を中心に、アフタヌーンティーもやっていました。周辺の富裕層らしき人たちの利用が割と多い様子でした。またいずれのレストランも海側に広く眺望がひらけており、このあたりのランドマークである広安大橋を眼下に望むことができます。

施設の充実度

ビジネスセンターやフィットネス、スパなどの高級ホテルに必要な設備はすべて備わっています。とりわけフィットネスにあるプールはとてもよい雰囲気です。どことなくパークハイアット東京の「クラブ・オン・ザ・パーク」を彷彿とさせる開放感と高級感があります。

同じ韓国のグランドハイアットソウルとは異なり、ショッピングアーケードなどは特にありませんが、隠れ家的な魅力を売りにしたこのホテルのコンセプトとしては正解だと思います。ちなみにホテルのエントランスの至近にはコンビニエンスストアがあり、少し足を伸ばせば新世界百貨店などが入居するセンタムシティという大規模なショッピングモールもあります。

ホテルへのアクセス

このホテルの唯一の欠点と言えるところが、このアクセスの悪さです。

ただし空港とホテルを結ぶリムジンバスは30分おきに出ています。またホテルのリムジンも日本円換算で¥10,000ほどで利用できます。鉄道利用でソウルや韓国のその他の地域からきた場合には、釜山駅にもホテルリムジンを¥10,000で呼べるほか、手荷物の運搬サービスも3個まで¥1,000ほどで受け付けてもらえます。釜山駅で荷物を預けて身軽になってから、少し買い物や食事などして、地下鉄やタクシーなどでパークハイアット釜山を目指すことも可能です。

しかし、プサンで食事や買い物あるいは観光などをしようとすると、そのほとんどは町の西側にかたまっている(西面地区や南浦洞地区など)のですが、パークハイアット釜山はそのエリアからかなり離れたところにあります。概ねタクシーで20〜30分くらいはかかってしまいます。なお地下鉄の駅は徒歩圏内にはありますが、やはり中心部までは同じくらい時間がかかります。このあたりは利用者を選ぶこととなるでしょう。ちなみにリゾート地となっている海雲台(ヘウンデ)ビーチまでは徒歩15分ほどでいけるので、こちらが主な目的という方には都合がいいかもしれません。

チェックイン

KTXを下車したらタクシーで海雲台地区を目指します。

ガンガン飛ばしていくタクシーで、シンボリックな広安大橋を渡っていくと、窓の向こうに青い空を反映させたパークハイアット釜山のガラス張りのビルが見えてきました。とても心高鳴る瞬間です。

ホテルの前でタクシーを降りると、シーサイド特有の潮風を感じます。後ろを振り返ると、さっき超えてきた広安大橋が見渡せます。昼でもかなり開放感があり印象的な景色ですが、夜はライトアップされてよりロマンチックな雰囲気になります。

エントランスにはモダンなガラス張りの空間に螺旋階段。そして真ん中には赤く光る印象的な椅子があります。とても洗練された雰囲気のロビーですが周囲に観葉植物があり、不思議な落ち着きもあります。以前、グランドハイアットソウルが、パークハイアット東京の原型のような雰囲気があると書きましたが、こちらもパークハイアット東京に近いものを感じます。しかしグランドハイアットソウルよりもさらに洗練さに磨きがかかっており、私はこちらの方が好みです。

エレベーターに乗って30Fまで上がると、再び観葉植物と石壁に囲まれた落ち着いたロビーエリア。そしてそうした中にもある種の醸し出される洗練があります。私はパークハイアット東京のピークラウンジを連想させられました。しかしどことなくこちらの方が気取らないカジュアルな雰囲気があります。

なおフロントの手前にはLoungeがあります。ここでアフタヌーンティーなども行っていますが、とても上品で落ち着いた雰囲気があります。チェックインを前に少しここで休憩を取ることにしましょうか。

ソファに腰掛けるとこのように一面に広がる海。想像以上に開放的な眺めにしばし時間を忘れて見入ってしまいました。

ラウンジで提供しているホットチョコレート。甘さ控えめですが、香り豊かかつやわらかな口あたりにほっと一息。これから客室に向かう高揚感とのバランスが心地よい時間でもあります。

さあ、チェックインに進みましょう。

グローバリスト特典

  • 客室アップグレード(今回はスタンダードスイートに!)
  • Living roomでの無料の朝食(2名分)
  • 16:00までのレイトチェックアウト
  • スパアクセス

このホテルのグローバリスト特典は、ハイアットの標準以上には特徴はありませんが、過不足はない印象です。

パークファミリースイート

てきぱきとしていて、なおかつ親切なスタッフがチェックインを担当してくれて、そのまま客室へとエスコートされました。このホテルには5種類のスイートルームがありますが、今回はパークファミリースイートというタイプの部屋でした。この部屋の特徴は家族での滞在にも対応できるように、キングベッドに加えてシングルベッドが常置されている点にあります。

フロントのある31階からは客室・スパ利用者専用のエレベーターを利用します。スーパーポテト・デザインの特徴のひとつといえる枯れ木の魅力を横目で眺めながら、エレベーターに乗り込みましょう。

全面がミラーのエレバーターというのもかなり前衛的です。そしてうっすらと伝統家屋の意匠がほどこされているところが心にくいです。

静粛性が高く、ウッディーなドアがおしゃれな廊下を抜けていきます。絨毯の模様は韓国の伝統的な木組みを連想させるものであり、さりげないローかリティの主張がまた心地よく感じます。

エントランスを入ると、流木を加工したような荒い趣のベンチと、すっきりと整えられたメープルウッドの壁、そして白木の床と全体的にウッディな雰囲気にほっと落ち着きます。

入り口の左手には温水洗浄便座完備のトイレがあります。ハイアット系列に限りませんが、韓国のホテルでは普及率が高くてこれも高く評価したい点ですね。

リビングルームはちょうど建物の角の部分になっていますが、うまく空間が活用されている印象があります。部屋全体のウッディな雰囲気にソファやカーペットの赤がアクセントとなり、ポップさも両立させています。

テーブルにはこのようにコンプリメンタリーのクッキーが用意されています。ソファの座り心地はほどよく硬くて、なかなか快適です。

間接照明が本や調度品を照らし出して、品の良いインテリアを実現しています。また手前側のテーブルの上にはウェルカムフルーツのグレープフルーツが用意されていました。

無料のミネラルウォーターに加えて、高級ホテルではもはや定番となった感のあるコーヒーマシンも常備されています。

木箱の中に入っていたのが、これらのコーヒーと紅茶やハーブティ。ALTHAUSというものは初めて見ましたが、おそらくドイツのものでしょうか?

リビングルームから進んで行くとベッドルームです。この写真だとまるでクイーンサイズベッドが2つ並んでいるようにも見えますが、実際には手前にシングルベッドがあり、奥にキングサイズベッドがあります。

この配置を見る限り標準で3人はこの部屋に泊まれる仕様になっているのかもしれません。ちなみに寝心地は他のパークハイアット同様のやや柔らかさを抑え、かつ寝起きに腰などが痛くならない快適なものでした。

バスルーム編

このスイートルームをさらに魅力的なものとしているのはこのバスルームです。十分な広さに加えて、バスルームでゆっくりしてしまうような仕掛けが色々と施されています。

これがバスルームの全景です。右手前側の木の枠は窓に面していて、浴槽でくつろぎながら外の景色を眺められるようになっています。また奥の方にシャワーブースがあります。

ベイシンはダブルシンクになっています。一面すべてが鏡となっていますが、よく目をこらすと真ん中あたりが少し黒っぽくなっているのがお分かりになると思います。中にはテレビが埋め込まれており、浴槽やベイシンから見ることができます。このあたりの一体的なデザインのセンスの良さには脱帽します。

なお浴槽からの眺望はこのような感じです。さすがに全開とはいきませんが、それでも広安大橋やプサンの景色をこのように眺めながら入浴できるのはかなり贅沢な時間といえましょう。

こちらがシャワーブースです。建物のコーナー部分なのでちょっと不思議な三角形のブースになっています。窓は磨りガラスとなっていて外は見えません。

水圧も申し分なく、レインシャワーもついています。ベイシンエリアには木の椅子も用意されているので、座りながらシャワーを浴びることができます。ホテルとしてはまったく不足ない設備といえましょう。

こちらがバスアメニティです。BERGAMOTE 22というブランドで統一されています。その名の通りベルガモットの上品な香りが豊かに立ちのぼる、とても良い製品だと思いました。私がこれまでに宿泊したことのあるホテルでは見かけたことがなかったのですが、一度で気に入ってしまいました。

パークハイアット釜山での滞在

街に繰り出して、ホテルに戻ってきたらラウンジに足を運んでみましょう。

ラウンジから見下ろす夜景は、まず鮮やかにライトアップされた広安大橋に圧倒されます。そして遠くの青く光るビルや釜山の中心市街地の灯など、とてもロマンチックな景色でした。

ラウンジにはこのような「特等席」がいくつも用意されています。こんな雰囲気にも関わらず、人もさほどいなく適度に静かで、私にとっては韓国で5本の指に入るほどの大好きな空間となりました。

素晴らしい夜景を堪能しているうちに眠気に襲われて、そのまま部屋に戻ってベッドに。緩い気分で過ごせるラグジュアリーホテルはやはりいいものですね。

翌朝の窓からの眺めです。マリーナビューで、いかにも海沿いというムードを感じさせられます。

朝食は31Fにあるオールデイダイニング、Dining Roomでいただきます。ブッフェ形式で提供されており、World of Hyattグローバリストであれば無料です。またオムレツやフレンチトーストなどのホットミールも選び放題となっており、満足度は高いです

このようにオープンキッチンに沿って、パンやフルーツ、シリアルなどの定番のメニューが並んでいます。ちなみにパンのレベルはハイアットらしくかなり高いものです。

通常のテーブル席もありますが、このように眺望を最大限に楽しめ、かつプライベート感のある座席も用意されています。

眺めも極めて良好です。この景色を前にして、優雅に朝食をとることは、プサンにあってもかなり上質な朝の時間といえることは間違いないでしょう。

なおブッフェのメニューには、洋食に加えて、韓国料理も多少ラインナップされています。手前にはご当地の名物のイカの塩辛や韓国海苔、エゴマの葉やチヂミなどがあります。奥にあるのはアワビのお粥です。ごま油を注いで食べると非常に美味しいです。

最後にスパ施設の様子を少し見てまいりましょう。エレベーターで5Fまでおりてくるとスパ施設やフィットネス、プールなどがあります。今回はフィットネスは利用しなかったのですが、またぜひ来たいと思わせる大変良い雰囲気でした。

こちらがロッカールームです。スポーツウェアや水着などは貸し出してくれるようです。タオルなどの補充や清掃もよく行き届いており快適に利用できます。

またスパ施設に用意されている化粧水やスキンケアもIOPEやO HUIなど韓国のブランドが取り揃えられていますが、かなり使用感は良好です。

特にO HUIのモイスチャライザーなどはかなりよかったものです。客室に用意されているアメニティは違うブランドですが、パークハイアット共通のAesopではなく、どちらも独自性があります。独自色を打ち出してしまうと失敗する場合も往々にしてあるのですが、こちらは成功していると思いました。

以上のように見て来ましたが、韓国で宿泊したなかでも最上位クラスの素晴らしいホテルだったと思います。スタッフの良さと設備の洗練度に比して、価格は異様に安いし、特に利便性やホテルチェーンにこだわらないのであれば、利用価値は極めて高いと思います。私であれば、たとえ西面や南浦洞などの中心市街地に用事があったとしても、あるいはハイアット修行をしていなかったとしても、あえてこちらに泊まることを選択するでしょう。それほどに魅力的なホテルがここ海雲台にあるのです。

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