今回は「比較宿泊記」をお届けしたいと思います。
ご存知のように羽田空港の国際線ターミナルと国内線第2ターミナルには、それぞれエアポートホテルがあります。すなわち国際線には「ザ・ロイヤルパークホテル東京羽田」が、国内線には「羽田エクセルホテル東急」があります。これらのホテルを利用するとした場合に、多くの方は乗るのが国際線か国内線かによってどちらに宿泊するかを決めていることでしょう。しかし今回は少し視点を変えて、ホテルとしてはどちらのほうが優れているのか?という点を(主観的に)検証してみたいと思います。
※ちなみに国内線第1ターミナル(JALなど)にも新世代型カプセルホテルのファーストキャビンが入っていますが、今回はこれは比較の対象に含めません。
まずは話の前提からお話していきましょう。
比較の条件
はじめにまず羽田空港のターミナルにあるふたつのホテルの位置関係についてお話ししましょう。
ザ・ロイヤルパークホテル東京羽田は、羽田空港の国際線ターミナルの3F出発ロビーに位置しています。少しわかりにくいのですが出発ロビーの北側の外れのあたりにあります。ちょうど出国手続所(北)をもう少し進んだあたりですね。
MAP:http://www.haneda-airport.jp/inter/map/
他方で羽田エクセルホテル東急は、国内線第2ターミナル(ANAやADOなど)の2F出発ロビーに位置しており、こちらもその北側の外れにあります。SNAやADOのカウンターのそばで、また待ち合わせ場所としてしばしば使われる「時計台1」の近くでもあります。
MAP:https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/map/
このようにそれぞれのターミナルを利用する場合には、なかなか便利である両ホテルですが、乗りたい飛行機が違うターミナルから出発する場合には当然移動が必要となります。ご存知の方も多いかもしれませんが、羽田空港の各ターミナルの間はかなりの頻度で無料のシャトルバスが運行されており、国内線ターミナル間であれば2~3分、国際線と国内線の両方のターミナル間も10分とかからずに移動することができます。
もちろんこうした移動が面倒だという見方もありうるでしょう。しかしこれくらいの時間差であれば、もしどちらかのホテルに積極的に利用する価値を見いだせるのであれば、この10分の時間差は惜しくないと感じられる方もいるかもしれません(私はそうです)。そこで両方のホテルで、同じくらいの料金を支払った場合に、それぞれどのような体験を得ることができるのか、ということの比較を宿泊記形式でお届けしたいと思います。
さて今回の比較対象のお部屋は以下の通りです…
ザ・ロイヤルパークホテル東京羽田:スタンダードダブル ¥22,000
羽田エクセルホテル東急:デラックスダブル ¥23,000
どちらも食事なしのスタンダードタイプの客室で一休から申し込みました。もちろん価格に変動はありますが、だいたい同じような条件かと思います。
比較宿泊記
それでは両者の特徴を比べながらみていくことにしましょう。
まずはエントランスの雰囲気から…
こちらは「ザ・ロイヤルパークホテル東京羽田」のエントランスです。天井のアートや開放的な窓の配置が近未来を感じさせます。これから飛行機で遠くへと旅立つ前の高揚感を掻き立てるようなデザインですね。
他方こちらが羽田エクセルホテル東急のエントランスです。「ロイヤルパーク」に比べるとコンパクトで落ち着いた印象です。奥にレストランがあることも原因かと思いますが、少しごちゃごちゃしたイメージです。
ちなみに両方のホテルともルームキーを係や機械に渡すだけでチェックアウトが可能となっています。また空港にあるホテルらしくフライト情報が表示されるモニターが設置されています。個人的な好みをいえば、エントランスの雰囲気は「ロイヤルパーク」に軍配を上げたいと思います。しかし肝心なのは部屋の様子なので、このあたりを詳しくみていきましょう。
ザ・ロイヤルパークホテル東京羽田・スタンダードダブルルーム
まずはこちらの部屋からみてまいります。
壁紙がかなりビビットですが、全体のトーンとしては暗めで落ち着いた雰囲気です。広さはそれほどでもなく、手前のベッドとデスクの間はやや圧迫感を感じるほど。
ベッドの手前側にはこのように簡易的なソファが置かれており、ちょっとくつろげるようにはなっています。ただし座り心地はそれほどでもなく、ベッドに寝転がった方が快適な気がします。ちなみにベッドも枕も割と硬めです。
ちなみに客室からの眺めはこのような感じ。残念ながら滑走路などは見えません。このホテルは全体的に眺望のいい部屋は少ないのですが、最上階の一部の部屋からは滑走路を眺めることができるとのことです。
デスク周りはこのような感じです。ビジネスホテルだとときどき背もたれがない場合もあるのですが、こちらは背もたれつきの椅子が置かれています。なおデスク自体はあまり広くなく、一応ラップトップPCは置けますが、余裕はほとんどありません。
こちらの客室にはハンガーラックなどは特にありません。それだけ空間は広くなりますが、やや不便と見る向きもあるかもしれません。またケトルやティーカップ、無料のミネラルウォーターなども提供されます。ちなみに冷蔵庫はペットボトル2本でいっぱいになってしまうので、あまり大量に買い込んできても冷やすことはできません。なお各フロアに自販機があります。
特筆すべきは、DVDデッキやアイロンなどの貸し出しが無料である点で、通常のビジネスホテルや一部のミドルクラスホテルでさえ有料であるなかで、このあたりのサービスは評価できますね。
こちらはバスルーム。特に独立式になっているわけではなく、通常のビジネスホテルと大差ない設備です。シャワーヘッドはハンスグローエ製で水圧は十分でした。
反対側にはトイレ。この配置によってさほど狭さを感じることなく利用できます。物理的な狭さや独立式でないのは仕方ありませんが、このあたりの工夫は評価できます。
ヘアケア・ボディケアはミキモトコスメティクス。特別感はさほどありませんが、安定の質感と香りというところです。またタオルにはこだわりを感じます。ワッフル地でやわらかいなかなか良い使い心地でした。
さてこのように見てきましたが、少なくとも¥20,000前後だとこれくらいの設備です。もっとも国際線ターミナル内部ということで、さほどあれこれと詰め込まなくても一定の利用者はいるのだと思います。特にマイナスの要素もなければ、プラスの要素もない、というのが正直な感想です。
とはいえ、よりグレードの高い部屋になれば、独立式のバスルームや滑走路の見える客室などもあるとのことです。このあたりは嗜好性の問題もありますが、やはり前泊に¥25,000以上はかけたくないとも思います。
羽田エクセルホテル東急・デラックスダブルルーム
つぎに「羽田エクセルホテル東急」の部屋の詳細をみてまいりましょう。
上述の「ロイヤルパーク」と打って変わって、客室内部はスマートかつシンプルで、しかもかなり明るいイメージです。やや質感の高さに欠けるような気もしますが、清潔感があって使い勝手は上々です。こうした万人受けする部屋づくりは、東急ホテル系列が得意とするところという印象があります。
なおベッドの寝心地はというと、ベッドマット・枕ともにやや硬めです。このあたりはロイヤルパークとさほどの違いはないように思われました。
テレビはかなりの大きさがあります。ただ一見して明らかなようにビジネスデスクの用意はありません。したがって作業をする場合は窓に面したテーブルで行うことになります。テーブルのサイズはそれなりにあるので、作業するにはひとまず困りませんが、コンセントがないために充電をしようとするとちょっと大変です。またDVDデッキの貸し出しも行なっていますが、こちらは有料です。
この客室の最大の特徴と言っていいのは、この窓からの景色でしょう。一面のANAビューです。ロイヤルパークにも同様の滑走路が見える部屋はありますが、どうやらここまで飛行機との距離は近くはないようです。またこの価格帯で比較的滑走路ビューの部屋が多く用意されているというところも好ましい点ですね。
こちらはしっかりとしたハンガーラックが入り口付近にあります。また無料のミネラルウォーターやUCCコーヒー、緑茶などの標準的なものは一通り揃っています。面白いのはスリッパが使い捨てのものと、消毒済みのものと、両方あるところでしょうか。
こちらのバスルームはこのようにまずまずの広さがあります。トイレも独立式になっていて圧迫感はまったくありません。なおヘアケアやボディケアは資生堂製でした。特にこれもラグジュアリーではないけれど、万人受けはしそうな感じです。
特に心踊ることはないけれど、無難に快適に使用できるバスルームとトイレという印象で、このあたりの空間づくりの巧さは東急ホテルらしいところだと思いました。
まとめ
さてこのように見てきましたが、いかがでしたでしょうか。これらの検証を踏まえて、羽田のロイヤルパークかエクセル東急のどっちかと聞かれたら、私ならこのように答えます。
- 主観的には「羽田エクセルホテル東急→国際線ターミナル」ならば移動時間を超える価値ある滞在ができる
- 人的なサービス面では「ザ・ロイヤルパークホテル」にも利がある
個人的には「羽田エクセルホテル東急」は空間構成の巧さや眺望がかなり優れていて個性的だという印象を持ちました。それは10分間の移動時間を補って余りあるものだと思います。もちろん利便性だけを考えれば自分の利用するターミナルに最も近いホテルに前泊するのが最良の選択肢となりますが、同じ価格帯で個性的な体験が可能となるなら、私であれば少し移動が伴っても悪くないかと思います。
もちろんザ・ロイヤルパークホテル東京羽田も利便性に加えて、サービスの面ではいくつかのアドバンテージもありますので、そのあたりは読者の皆様の旅行のスタイルに合わせて選ばれるのがよろしいかと思います。