東京の日系ホテルにおいて別格の格式を誇るホテルオークラ。同列によく並べられる、帝国ホテルやホテルニューオータニとともに東京のホテル「御三家」の一角を担っています。2015年の旧本館が取り壊されてから現在までは、別館のみの単独営業が行われています。この別館の客室は、清潔感があって品良くまとめられてはいるものの、同価格帯のより新しいホテルと比べると、どうしても古臭さを感じてしまうかもしれません。
さてこの別館の最上階にはペントハウスフロア(PH)というものが存在していることは、あまり知られていないかもしれません。ペントハウスフロアは通常階の雰囲気とは全く異なり、スイートルームとデラックスルームが数部屋のみ存在している隠れ家的な雰囲気があります。
今回の記事はこちらホテルオークラのペントハウスフロアのデラックスルームに宿泊してきたので、そのリポートです。先日はアンダーズ東京に宿泊してきましたが、かなり近い位置にありながら、まったく異なる魅力をもつホテルだと思いました。
チェックイン
今回は深夜の到着でした。車で行き正面エントランスに着けてみると、この時間になると駐車場の入り口には鍵をかけてしまっているとのこと…ここでどのような対応になるのかと思っていたら、ベルスタッフが走って駐車場まで車を誘導し、荷物を運びつつフロントまで案内してくださいました。
非常に気持ちのよいチェックインでした。そして相変わらずの和製モダニズムの空間美です。クリスマスシーズンということでロビーにはクリスマスツリーが置かれていましたが、なぜかこのインテリアにマッチしてしまうのはいつもながらに不思議です。
エレベーターにもホテルでゆっくりしてほしいという哲学があり、ドアを「閉める」ボタンの表示がない仕様になっています。フロントからの客室係に案内されて最上階に向かいます。
エレベーターを降りるとこのような(無駄に)広い空間。幾何学模様の壁紙や毛足の長いカーペットがこのフロアが特別であることを物語っています。フロント周辺の和製モダニズムともまったく雰囲気が違います。
このようにソファーも置かれています。このペントハウスには外来客はおろか宿泊客ですらほとんどこないはず。それにもかかわらず、このように非常に贅沢な空間の使い方をしているあたりに、このホテルの格式の高さと老舗の余裕を感じます。
非常に長い廊下を通って客室に向かいましょう。このやたらと重厚な雰囲気の空間を歩くと非常に優雅な気持ちになってきます。最新の外資系ホテルの洗練はないけれど、この落ち着きと特別感は変えがたい魅力であり、他のホテルの追従を許さないものでしょう。
客室 ペントハウス デラックスツイン
それでは客室の中をみていきましょう
客室は横長になっており、入って左手がベッドルーム。そして入って右手がリビングルームになっています。向きを変えられる薄型テレビや楕円形のテーブル。そしてクリスマスシーズンなのでツリーも飾ってあります。客室は明るめの色合いで落ち着きます。
またそれぞれの家具の質感もなかなか高いものであり、なによりも清潔感があります。ちなみにこの客室は禁煙ではなく、しかも私はかなり煙草の匂いが苦手なのですが、驚くべきことにまったく匂いが気になりませんでした。むしろ日系の高級ホテルに特有のしっかりと整えられた客室という印象が強く残っています。
ベッド&リビングの手前側にはこのようなウォークインクローゼットがあります。こちらも適切な広さがありきわめて使いやすいものでした。
無料のミネラルウォーターやネスカフェドルチェグスト(コーヒーメーカー)なども常備されています。
バスルームはリビングスペースの奥側にあります。シャワーブースなどはありませんが、十分な広さがあります。大型の鏡や大理石のベイシンなども高級感があります。
タオルも非常に柔らかいうえに吸収性も高いもので、非常に質感が高いと感じました。ハード面では外資系に対抗できないものの、やはりこのようなソフト面に日系の高級ホテルの矜持を感じずにはいられません。ちなみに帝国ホテルやホテルニューオータニも同じような雰囲気を持っているのですが、ホテルオークラはそれらの上をいっていると個人的には思います。
アメニティも資生堂が手がける「ホテルオークラシリーズ」という、このホテルのためのオリジナル。非常に上品な香りで、日本の水事情に適合的なのか洗い上がりもごわつかず良好な仕上がりです。
ホテルオークラといえばこの折り鶴。極めて柔らかく清潔感の感じられるベッドで休むことにしましょう。そしてこの部屋のもうひとつの素晴らしい魅力や翌朝の様子については次のページにて…
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