パークハイアット東京 新春のデラックスビュールーム

ここだけはまるで時間が止まっているかのようだ、という感覚を持つような特別なホテル。パークハイアット東京に来ると、いつもそんな不思議な気持ちになってきます。

開業から25年という月日を感じさせないほどに洗練させた空間がそうさせるのか、新宿の喧騒の慌ただしい時間の流れから隔絶されたような静けさがそう思わせるのか、あるいは、いつ行っても、何度行っても、心が躍り、満たされた滞在が待っているからなのか…

2019年の幕開けにも滞在してきました。

チェックイン

基本的にこのホテルには車で行くものという認識があります。新宿副都心の超高層ビル群にあって、そのかなり外れの方に位置しているこのホテルは、新宿駅からのアクセスもさほどよくありません。しかしなぜかそのアクセスの悪さが、このホテルの隠れ家的な魅力と響きあうような気がしてくるから不思議です。

アーティスティックなエレバーターに乗って、41階まで到着したら、ひたすら歩いて奥へ。いつもながらにこのオールデイダイニングの「ジランドール」の雰囲気は洗練されています。

今回は入口付近のオブジェは「新春」を表現したものとなっていました。あまり強く主張しない、このさりげなさがなんとも良いものです。

そしてこのライブラリースペースを抜けていきましょう。ここは昼もいいのだけれど、夜の方がよりシックな雰囲気となりますね。いつもであれば客室でのチェックインとなりますが、今回はホテルに到着してから直接夕食に行ってしまったので、コンシェルジュデスクで手続きをすることになりました。

和食「梢」でふぐコースを堪能する

パークハイアット東京のレストランには、モダングリル料理の「ニューヨークグリル」と、オールデイダイニング(フレンチ)の「ジランドール」、そして和食の「梢」があります。

今回は「梢」で夕食を取ることにしましたが、こちらのレストランも典型的な和食のイメージからはかなり遠いモダンな空間です。しかし珍妙なジャパニーズモダンとは異なり、ホテル全体のデザインコードを崩さずに、なおかつ「和」を連想させられるような絶妙な空間で食事することができます。

今回は、冬の和食の王道であるふぐを堪能できるコース「曜」(ひとり:¥23,000)を選択しました。造り手のこだわりが光る器は、席ごとに異なり、それらをみているだけでも楽しい気分になります。

コースは河豚皮の煮凝りから…旨口の出汁の風味が広がり、ぷるぷるとした身が食欲をかきたてます。紫蘇卸しが添えられた唐墨や、炙った鯖寿司などが花を添える九品盛りに続いて、河豚の薄造りが運ばれてきます。ぷりっとした食感に、分葱の香味が加わります。特製のポン酢につけてすっきりといくのもいいし、肝醤油でこってりといくのもいい。ふと気がつくと弾んでいた会話も止まってしまうほど。

そして新鮮な野菜と共に肉厚のふぐをしっかりと煮込んでいく河豚ちり鍋が続きます。これもポン酢で。ふぐは美味しいのだけれど、淡白すぎて、やや満足感に欠ける…そんな発想を打ち破って余りあるほどの風味豊かな鍋です。シンプルな昆布だしに上質な野菜とふぐだけで、ここまでの味が引き出されるのかと感動します。

そして極め付けに取れた出汁でつくる河豚雑炊。給仕の方いわく、こちらがメインディッシュと言っても過言ではないとのこと。まさにその言葉通りの深い味わいです。ふぐから醸し出される甘味、分葱の香味、鶏卵の瀞味、それらが三位一体となって、この店が打ち出す「旨口」の真髄を見せてくれます。香の物も一緒に付いてくるのですが、この美味しさを前に他の味は必要ありません。

デザートには「幻のマスクメロン”天使音”」が出てきます。どんな渇きも潤すような瑞々しさ。まったく渋味がなく、優しい香りと柔らかな甘味が満ちてきます。

こうして極めて満足度の高い食事を終えてから部屋に向かうことにしました。

デラックスビュールーム

今回もハイアットグローバリスト特典で、スイートを除く客室の中では最も良い「デラックスビュールーム」へとアップグレードしてもらえました。私の経験ではこの部屋にアサインされることが最も多いように思います。

パークハイアット東京の「デラックスビュールーム」は、建物の角にあたる部屋のため、このような配置になっています。さりげない観葉植物がアクセントになっており、淡い緑色のカーペットと合わせて、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

しっかりと整えられた大きなベッドですが、その高さはかなり低めになっています。賛否両論あるかとは思いますが、個人的には落ち着きます。

部屋の奥のデスクは、アーティスティックながらシンプルで機能的。右側のソファーはかなりふかふかの質感となっており、リラックスできるものです。

夜景を堪能できるバスルームも魅力的です!

この部屋のもうひとつの特徴は、バスルームにこのように大きな窓があり、外の景色がよく見えるようになっているところです。右手にはシャワーブースもあり、ともに外の景色が見えるようになっています。

ベイシン周りなどはやや古めかしい感じもしますが、メンテナンスがしっかりされており、快適に使用できます。

アメニティはおなじみのイソップです。アロマティックな香りも使用感も優れています。

またその他のアメニティもこのようなバスケットの中に収められています。他のホテルにあってこのホテルにないものはない、といえるほどに、充実した内容です。なお右手にあるイソップの小箱には、クレンジング・フェイシャルクレンザー・フェイシャルトナー・クリームが入っています。

サービス面の評価

評価: 満点ハード面はもちろんのこと、サービス面も素晴らしいものでした。スタッフの方が優秀だと思うのですが、しっかりとゲストの名前や顔を覚えていて、外から戻ると、しっかりと私の名前を呼んで「おかえりなさいませ」と笑顔で挨拶。また1を聞いて10を理解する、と言えば大げさですが、求める以上のことをしてくれる印象があります。何度となく滞在してきたホテルですが、これまでサービスに不満を抱いたことは一度もありません。郵便物の手配、ランドリーの対応、客室への要望など…様々なことを信頼をもってまかせることができる最高水準のサービスを提供していると思っています。

季節ごとに変わるバスソルトを入れて、東京の夜景を堪能しながらバスタイムを楽しむ。そしてホールド感のある心地の良い大きなベッドに横たわれば天上の気分となります。

ジランドールで朝食を

翌朝目が覚めたら、オールデイダイニング「ジランドール」の朝食に出かけます。こちらもハイアットグローバリストの特典によって、自由にメニューから好きなものをオーダーできます。

しぼりたてのオレンジジュースや淹れたてのコーヒーと一緒に、フレッシュマンゴーをもってきてもらいます。またビュッフェ台からはサラダやコールドカットなどをもらってきます。そして今回は朝のスペシャリテとして「エッグベネディクト」をオーダー。
オランデーズソースが半熟卵に絡みあい、下に敷かれているスモークサーモンと交じり合います。活力を呼び起こすような濃厚な味わいです。またベリーの盛り合わせ(ストロベリー・ラズベリー・ブルーベリー)でビタミン補給もしたいものです。
朝食を終えたら部屋でくつろぎます。グローバリスト特典であれば午後4時までのんびりできます。ハイアットの場合はホテル修行もそう簡単ではないのですが、やはりこのグローバリスト特典は大きな魅力だと思います。
いつものように、過ごした時間を惜しむような気持ちで、余韻に浸りながら、このホテルをあとにしました。
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