まだその数は少ないとはいえ、それなりに全国各地に着実に増えていくハイアットのネットワーク。その日本初のホテルといえば、新宿副都心にあるハイアットリージェンシー東京です。そもそもの運営主体は小田急で、かつては「センチュリーハイアット」という名前でした。
このホテルを特徴付けるのは、まずなによりもエントランスから見上げるスワロフスキークリスタルのシャンデリアとシースルーエレベーターにあり、1980年の開業当時からの威容はいまもって受け継がれてきています。また何度かリノベーションも行われており、都内のより新しいハイアット系列のホテルと比較すると古さを隠せないものの、なかなかに快適な水準を保っているのではないかと思います。
今回は私にしては珍しく自家用車ではなく、早朝に新宿駅から電車で移動する用事があったため、大好きなパークハイアットではなく、あえてこちらのハイアットリージェンシー東京に宿泊してきました。当日は混雑しておりクラブルームへの客室アップグレードはありませんでしたが、高層階のビューデラックスルーム(キング)がアサインされましたので、そのリポートです。
チェックイン
今回は羽田空港からリムジンバスでこちらのホテルに到着しました。夜遅い到着ではありましたが、ちらほらとゲストが出歩いており、やはり都心のホテルだなという実感。
エントランスから見上げるとこのように非常に広大なアトリウムと名物のシャンデリア。見渡してみるとステンドグラスやガラスでより立体的な広がりを見せるような空間づくりがなされており、非常に贅沢な構成になっていることがわかります。そしてこのアトリウムの真ん中をイルミネーションを輝かせながら上り下りしているシースルーエレベーターも見え、まさに堂々たる威容を感じさせます。
堂々たる威容といえば、このように地下空間も無駄に広く作られています。このハイアットリージェンシーのビルの隣には同じような外観の小田急第一生命ビルがあり、その間にあたるのがここです。この場所に夜のひとけのない時間にいくと、なにかしらこうごうしい「伽藍堂」のような趣があります。単になにもない「がらんどう」とは少し性質が違うのは散りばめられた大理石のためでしょうか。
右奥には24時間営業のセブンイレブンもあり、その奥に進むと都営大江戸線の都庁前駅。周辺はともかくとしても利便性はなかなか高い場所にあるといえましょう。
チェックインの手続きはフロントにて。World of Hyattのグローバリスト会員であれば「リージェンシークラブラウンジ」でもチェックインを行うことができますが、遅い時間だったのでこちらで。スタッフの方は新人の方でしたが、とても丁寧でフレンドリーな好感のもてるものでした。ささやかなところですが、やはり「ハイアットタッチ」と思わされる対応で、とても安心感をもって滞在できる印象を持ちました。
客室:ビューデラックスルームキング
続いて客室をみてまいりましょう。
客室のインテリアコードはブラウン中心の落ち着いたもの。デザイナーは異なりますが、どことなくグランドハイアット東京にも通ずる雰囲気があります。なおこちらのビューデラックスルームは高層階に位置していますが、よりカテゴリーの高い「クラブルーム」は低層階にあります。これは隣接する新宿中央公園の景色をより近くで感じられるというメリットもあります。
なおインテリアの雰囲気でいえば、上質感はさほどありませんが、古さを感じさせず、また飽きのこないデザインだと思います。
ブラウン系が主体なのでやや客室は暗く見えますが、ライトの数は十分にあり、実際のところはそれほどでもありません。ベッドの質はハイアットらしくやや硬めの低反発系です。このベッドについてはさほど特筆すべき魅力はありません。ただまず万人受けはしそうな印象です。
デスクまわりはこのようにシンプルなものですが、使い勝手は文句ありません。椅子もちょうどよく、スペースもちょうどよく、またテレビも大きくみやすいもので不満がありません。
ミドルクラスにおいて「優等生的」なのはヒルトンかと思いますが、こちらのハイアットリージェンシー東京のビューデラックスルームも同じく「優等生的」という感じがします(なおその他のハイアットリージェンシーやこのホテルのクラブルームなどはもう少し「クセ」があるような印象です)
デスクの上にはアイテムリストと折り鶴。ふとホテルホークラの鶴と亀の折り鶴を連想させましたが、こういう小さな心遣いは素敵だと思います。準備するのも大変だろうからその手間に感謝と声援を送りたいと思います。
ネスプレッソなどの設備は特にありませんが、ひととおりのティーバッグやケトルの用意はあります。そして無料のミネラルウォーターも、もちろん用意されています。
バスルームはコンパクトですが機能的です
続いて客室のエントランス付近にあるバスルームをみてまいりましょう。
部屋のサイズからいってユニットバスなのかと思いきや、このコンパクトな空間のなかでうまくシャワーブースとトイレとバスタブが分離されています(トイレはエントランス付近に独立してあります)。
リノベーション前はこのようなものではなかったと記憶しています。水回りを改造するのは非常にコストがかかるため、このような空間をつくるのは大変だったはずです。(少なくとも日本の)ハイアット系列のホテルはランクに関わらずバスルームが非常に快適に作られている印象がありますが、こちらのホテルも古いながらも非常に力が入っていると思われます。こうした点は積極的に評価できるのではないでしょうか。
ベイシンはブラックの天板に白いボウル状の印象的な洗練されたデザイン。ダブルシンクではありませんが、決して使い勝手も悪くありません。
バスアメニティはおなじみのファーマコピア。この柑橘系が強く出る香りをきくと、ハイアットリージェンシーにいることをいつも強く感じます。
ホテル全体の印象について
今回の滞在はさほど長時間のものではありませんでした(最近こういうパターンが多い気がしますが…)。
翌朝の部屋からの眺めです。都庁が目の前にどんとあり、右手には新宿中央公園の緑が映えます。そしてその向こう側には私が最も好きなホテルである「パークハイアット東京」が…こちらのホテルもいいホテルですが、パークをみているとあちらに行きたい衝動に襲われてしまいます。
ホテルと新宿駅西口の間にはこのようにシャトルバスが出ています。頻度も20分間隔(8:00~21:40)であり、まずまずの利便性の高さを誇ります。チェックアウト後にはこちらのバスで私は新宿駅に向かいました。
さて、以前の経験から考えると、こちらのホテルのスパ・フィットネス施設は(特に男性用は)さほど充実しているものとは言えないものだったと記憶しています。プールもリゾート感のある作りにはなっていますが、近所にあるパークハイアットと比べてしまうと、さすがに見劣りしてしまいます。
ホテルのレストランは数としては充実しており、ミシュラン星付きのグランメゾンである「ミッシェル・トロワグロ」も入居しています。しかし全体的な雰囲気や料理の質などが東京のその他のハイアットに比べると、やや洗練されていないような印象もあります。ホテルの古さを考えると仕方のないことかもしれませんが、このあたりは残念なところです。同じ地区の外資系でいうと、パークハイアットは別格としても、同じくらいの年数を数えているヒルトンの方がこのあたりの洗練度でいえば上だと思います。
新宿西口地区のミドルクラスホテルでは最上級といえば、やはり(その優等生的な雰囲気も含めて)ヒルトン東京かと思います。しかし私はハイアットリージェンシー東京も決して悪くないと思います。ビジネス利用などでホテルステイ自体をさほど重視しなければ、客室自体は万人受けするものだと思うし、スタッフの方達のあたたかいホスピタリティの感じは、ヒルトンとは一味違うものを感じさせられます。
価格帯も比較的リーズナブルなレートが出ていることもあり、ヒルトンよりも手頃に泊まれる場合もあります。そこで私の考えでは、もし新宿エリアでミドルクラスを探している場合には、ヒルトンとハイアットの両方を比較して、より安いレートを出している方をおすすめします。もちろん予算が最優先の場合はそうかと思いますが、ホテルの設備なども総合的に考えたい方にとっては特に。