グランドプリンスホテル新高輪といえば、年末の大型音楽番組「FNS歌謡祭」に利用される「飛天」などの大規模な宴会場施設を備えたマンモスホテルとしてよく知られています。またマリオットのオートグラフコレクションにも数えられている【ザ・プリンスさくらタワー】や、旅館型の「花香路」を備えた【グランドプリンスホテル高輪】とともに、高輪エリアのプリンスホテル群を構成しています。
高輪エリアのプリンスホテル群の敷地内には、旧竹田宮邸を利用した「貴賓館」(現在は結婚式場として利用)や20,000㎡に及ぶ庭園もあり、ビジネス街・品川の至近にありながらも、落ち着いた空気の流れる場所となっています。
東京のホテルの中ではやや古めかしくなってきた印象の否めなかった【グランドプリンスホテル新高輪】ですが、2016年にリニューアルがなされて、和モダンな雰囲気の漂うホテルになりました。今回は所用で宿泊してきたので、そのリポートです。
宿泊記:スーペリアモダンキング
それでは見てまいりましょう。
大規模なホテルが多いプリンスホテルの中でもひときわ広さが際立つロビーです。とにかく広く、庭園に面していることもあり、圧倒的な開放感があります。リニューアル後のロビーはこのような雰囲気です。高級感や落ち着きはさほど感じられませんが、ポップな感じでもない…個性的ですが、どこかやはりプリンスホテルらしさを感じさせるインテリアです。
ロビー全体がこのようにかなり派手です。しかし不思議と下品な感じはそれほどしません。これが超高級ホテルであればさすがに疑問符がつくし、かといってビジネスホテルでは当然こうした空間構成はできない。ミドルクラスホテルにあって、個性が光っているというちょうどいいポジションにあるように思います。
客室に入っていきましょう。ロビーの派手な雰囲気に比して、なかなか落ち着いた雰囲気です。ベッド自体の寝心地は思った以上に柔らかめなのですが、特別快適というほどではありませんでした。
反対側にはこのようにテレビボードがあります。湯沸かしポットはあるのですが、無料のミネラルウォーターは用意がありませんでした。このあたりは少しマイナス点ですね。
こちらのデスクは作業するのにちょうどよい大きさがあり、使い勝手はなかなか良好でした。ホテルはどちらかというと暗めの部屋が多いように思うのですが、こちらは全体的に明るい雰囲気です。
バスルームはこのような雰囲気。ちょっと独特の構造になっていますね。手前側にベイシンがあります。
アメニティーは「エラバシェ」が用意されています。またバスミルクなども常備されています。全体的に質はビジネスホテルより少し上という程度でしょうか。
最後にこのホテルの特徴のひとつは、すべての部屋にこのようなバルコニーがついてることです。もちろん外に出ることもできます。このちょっとゴシック調の意匠は建築家・村野藤吾によるものです。村野藤吾といえば、ウエスティン都ホテル京都やザ・プリンス箱根芦ノ湖などのホテル建築も手がけたことで有名なモダニズムの建築家です。村野の特徴はコンクリートと鉄とガラスというモダニズムの中にも、こうした凝った意匠を散りばめるところで、このバルコニーはまさに村野の建築らしさが出ていると感じられるところです。
さて最後は少しマニアックな話をしてしまいましたが、ホテル全体の評価としては悪くないものだと思います。たしかに高級ホテルと比べると質感に劣る点が多々あることも否めませんが、ミドルクラスにしてかなり個性的な空間づくりや、庭園を臨む部屋の落ち着いた雰囲気は十分に価値のあるものだと思います。